廃業とは?概要や廃業前にできること、必要な手続きと費用について解説

Square (スクエア), ブログ編集者

後継者不在や高齢化、経営不振などで廃業を選ぶ人が増えてきています。この記事では、廃業の概要、廃業前にできること、廃業に必要な手続きと費用について中小企業と個人事業主のそれぞれに分けて解説します。

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廃業とは

「廃業」とは、会社の経営者や個人事業主が、自主的に事業をやめることです。近年、中小企業においては、経営者の高齢化による廃業が増えてきています。

2019年版中小企業白書によると、中小企業において、1995年から2018年までの23年間で、経営者年齢のピークが47歳から69歳へ移動しています。それに伴い、休廃業などの総件数も、2013年の34,800件から2018年の46,724件と、5年間で約1万件もの急激な増加が見られます。

廃業の理由としては、「もともと自分の代で畳むつもりだった」が最も多く、その後に「事業の将来性が見通せなかった」「資質のある後継者候補がいなかった」「事業に引き継ぐ勝ちがあるとは思えなかった」が続きます。

参考:2019年版中小企業白書(中小企業庁)

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廃業する前にできることとは

後継者不在などを理由に廃業を選ぶ前に、次の方法が考えられます。

・親族外事業承継
・M&Aによる事業承継
・経営の立て直し

親族外事業承継
事業を引き継ぐ(事業承継)相手は、子どもなどの親族に限りません。自社の役員や従業員などにも承継可能です。中小企業庁によると、経営者の在任期間が5年未満の中小企業では、親族外承継が65%を超えているデータもあります。

参考:事業承継ガイドライン(中小企業庁)

M&Aによる事業承継
また、M&Aによって第三者である企業に事業を承継する方法もあります。M&Aを選ぶメリットは、株式譲渡などによる売却益といった金銭的メリットや、相手が企業のため後継者教育が不要で比較的短期間で承継できる点などです。

経営の立て直し
経営難の場合は、経営の立て直しを図りたいものです。たとえば、赤字事業を事業譲渡で売却して売却益を黒字事業の拡大に充てるなど、事業の選択と集中を行う方法などがあります。

廃業に必要となる手続きや費用とは

個人事業主と中小企業に分けて解説します。

中小企業の廃業に必要な手続き

中小企業(法人)における廃業の手続きについては、解散理由や選ぶプロセスによって異なり非常に複雑です。ここでは、株式総会によって会社を解散し、倒産や破産ではない通常清算を行う場合について触れます。実際に廃業を行う場合は、まずは専門家に相談することをおすすめします。

会社の「解散」と「清算」の違い
事業体が株式会社などの法人である場合、会社を廃業するには、会社を「解散」してから「清算」を行う必要があります。

「解散」とは、法人格を消滅させるための手続きの入口となります。会社の解散事由として、会社法では六つの事由が定められていますが、廃業時に多いのは「株主総会の決議」や「破産手続開始の決定」でしょう。

会社の解散だけでは、会社に資産や負債が留まっている状態のため、資産や債権を整理し、債務が残っていれば支払いをする必要があります。その手続きが「清算」です。

株主総会を開催
株主総会を開催して次の2点を行ないます。株主総会には、議決権をもっている株主のうち過半数が出席する必要があります。

・会社の解散について、株主の同意をもらう
・清算人を選出する

株主からは、次のどちらかの方法で解散について決議をします。

・特別決議:出席した株主の3分の2以上からの賛成を得る
・書面決議(株主総会を開催しない場合):全員の株主から賛成を得る

株主総会で上記の決議が済んだ時点で、会社の営業は停止します。

解散登記を申請
株主総会後、解散日から2週間以内に、会社の解散と清算人選任についての登記を法務局に申請します。

財産目録と貸借対照表の作成
企業の財政状況が分かる財産目録・貸借対照表を清算人が作成し、株式総会で承認を得ます。

官報にて解散公告を掲載
解散登記後、官報にて解散公告が掲載されます。債権者が債権の申し出ができるよう、解散公告は少なくとも2カ月の間は掲載する必要があるため、清算に移れるのは最短でも2カ月後です。企業側で把握している債権者には、個別に通知を発送します。

会社の清算を行う
官報での公告期間が終了したら、清算を行います。清算人によって、債権をすべて回収した後に、未払いの債務をすべて弁済します。このプロセス後、会社にまだ資産が残っていれば株主に分配します。

清算結了登記を行う
会社の清算後、清算結了についての登記を法務局に申請します。この時点で、会社は廃業となります。

上記の手続き以外にも、解散の決定時に異動届書を税務署に提出するなど、解散や廃業に関する届け出を各種機関に行う必要があります。廃業のプロセスによって提出書類などは異なるため、各種機関や専門家などに相談してください。

中小企業の廃業にかかる費用

一般的には、次の費用が最低限かかるといわれています。

・解散登記:30,000円
・清算人登記:9,000円
・清算結了登記:2,000円
・官報への公告掲載:1行3,534円〜

そのほかに、店舗などの原状復帰にかかる費用や、司法書士など専門家への依頼料金など、実際に廃業を行ううえでは、これ以上の費用が発生する可能性があります。

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個人事業主の廃業に必要な手続き

個人事業主における、廃業に必要な手続きを解説します。

個人事業主の廃業に必要な書類を提出
廃業に必要な書類を提出します。個人事業主の廃業に必要な提出書類は、主には次となります。

対象 書類の名称 提出先 提出期限
全員 個人事業の開業・廃業等届出書 次の2カ所
・税務署
・都道府県税事務所
税務署:廃業日から1カ月以内
都道府県税事務所:都道府県により異なる
青色申告を行っていた場合 所得税の青色申告の取りやめ届出書 税務署 廃業した翌年の3月15日まで
課税事業者の場合 事業廃止届出書 税務署 開業の決定に合わせて速やかに
給与を従業員などに払っていた場合 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 税務署 廃業日から1カ月以内
予定納税をしていた場合 予定納税額の減額申請書 税務署 第1期分+第2期分 7月1日〜7月15日
第2期分のみ 11月1日〜11月15日

個人事業主の廃業にかかる費用
個人事業主の廃業では登記などの費用が発生しないため、最低限かかる費用はゼロとなります。

廃業を選ぶと、事業や法人自体がなくなってしまいます。一方、親族外事業承継やM&Aを選べば、経営者が変わっても事業や会社は存続します。老舗店など、企業として受け継いできた歴史や技術、財産を残したい場合には、親族以外の事業承継を検討してみると、選択肢や視野が広がるかもしれません。

執筆は2019年9月4日時点の情報を参照しています。
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