ハラルビジネスとは?ムスリム対応で日本でもビジネスチャンスに

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イスラム教の戒律に則った食品や日用品を提供するハラルビジネスは、日本でも注目を集めています。中東やアジア、アフリカなど各地域を含めて現在全世界のムスリム(イスラム教徒)人口は16億人以上に上ります。

日本で生活するムスリムの人々もおよそ10万人から20万人いるといわれており、また数十万人規模のムスリムが訪日しているようです。

参考:イスラム教とは?(一般社団法人 ハラル・ジャパン協会)

ムスリムの食や文化習慣に対応したハラルフードの販売、宿泊施設や飲食店での対応など、ハラルビジネスによる集客のポイントや、ハラル認証について説明します。

ハラルとは?

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西暦610年頃にアラビア半島で興ったイスラム教は、毎日の行動によって信仰心を体現する宗教です。そのためムスリムの人々の生活様式や食事は教義に従ったものです。

イスラム教において、許されているものを「ハラル(ハラール)」、避けるべきものを「ハラム(ハラーム)」と呼びます。食品や生活用品に関して、イスラム教では以下のような基準が設けられています。

ハラル(許されているもの)の例
・野菜、果物、穀類
・卵、牛乳
・魚介類
・イスラム式に処理された肉(牛、羊、鶏肉)

ハラム(禁止されているもの)の例
・豚、犬
・イスラム式に処理されていない肉と派生物
・血液、死んだ動物の肉
・水陸両生の生物
・酒類

参考:ハラル(ハラール)について(一般社団法人 ハラル・ジャパン協会)

これらの基準は、宗派や国、地域、個人によって解釈が異なる場合があります。また、実際には豚肉だけでなく豚由来の成分を含む食品のほか、アルコールを含むみりんなどの調味料も避けるなど、原材料のレベルで識別する必要があります。

ハラルビジネスをする行う際には、このようなハラルに対しての理解が重要です。

ハラル認証とは?

アレルギー体質の人が特定の食品を避けたり、ベジタリアンの人が植物性の商品を選んで購入したりするように、ムスリムの人々はイスラムの教義で許されているものを購入します。そのため、イスラムの教義で禁じられたものをムスリム向けに販売したり使ったりすることは避けるべきことです。

ムスリムの人々の買い物や外食時の助けとして、ハラル認証と呼ばれるものがあります。ハラムを使わずハラル原料だけで作られた食品であることを証明するハラル認証のマークを事業者が付けることで、原料や由来成分が分かりにくい加工食品でも安心してムスリムのお客様が購入できます。

ハラル認証は、専門家が組織するハラル認証機関の審査に合格した品や店に与えられます。製品の原料だけでなく、製造や流通の過程においてもハラルのルールが遵守されていることが、ハラル認証の条件です。

ただし、ハラル市場への対応などを支援する一般社団法人ハラル・ジャパン協会によると、ハラル認証機関は世界に200以上あるといわれ、統一基準は設定されていません。イスラムの宗派などによりハラルの見解が異なることが理由ですが、一方でインドネシアやマレーシアなどイスラム教人口を多く擁する国では政府が統一基準を制定しているケースもあります。

国によっては、特定の認証機関が認証していない品はハラルとしての輸入を認めないこともあるため、海外向けのビジネスでは国ごとのハラル認証取得を検討する必要があります。

参考:ハラル認証の実態(一般社団法人 ハラル・ジャパン協会)

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今後ますます注目されるハラルビジネス

イスラム教は現在キリスト教に次いで2番目に信者の多い宗教であり、その成長速度は他の宗教より格段に早く、今世紀末までにムスリムがキリスト教徒の数を追い越して最多になると予想されています。

参考:Muslims and Islam: Key findings in the U.S. and around the world(Pew Research Center)

また、訪日ムスリム観光客市場の拡大も期待できます。2013年にマレーシア、2014年にインドネシアの訪日観光ビザが緩和されました。ムスリムの多いこれらの国々からの訪日観光客の増加が予想されます。

参考:Japan Muslim Travel Index (JMTI) 2017(CRESCENT RATING)

近年は食品だけでなく、化粧品や石けん、シャンプーなどの日用品に対してもハラルへの要望の高まりを受け、日本でも積極的に対応を進める企業が出てきています。日本在住のムスリムの人々はもちろん、留学生や外国人旅行客といったインバウンドのニーズのほか、日本産製品の輸出についてもハラル対応への需要は今後ますます高まると考えられます。

ハラルビジネスによる集客のヒント

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イスラム教国だけでなく、最近では世界各国のスーパーマーケットでハラル認証済みの食品を取り扱ったり、ホテルやレストランで独自の対応を進めたりする例も増えてきています。日本でハラルビジネスへの参入を検討する場合、業態ごとに以下のようなポイントを押さえておくと効果的です。

飲食店

2020年の東京大会に向けて飲食業界のハラル対応への期待は今後ますます高まっていくと予想されます。グルメ雑誌のハラル対応レストラン特集や、ムスリム向けの飲食店検索サイトを目にしたことがあるかもしれません。

認証機関のハラル認証を取得するほか、独自に「ムスリム向けメニュー提供店」として店頭やウェブサイトなどでアピールすることも可能です。その際には、ただ豚肉や豚由来原料を使わないだけでなく、ムスリムが求めるハラルの定義に合致しているかどうかをしっかり確認する必要があります。

また、多言語表記にしたり、ムスリムの嗜好に合う味付けのメニューを研究したりするなど、ただイスラムの教義に沿うだけではない「おもてなし」も併せて提供することで、ハラルビジネスをより効果的に行うことが可能です。

宿泊施設

インバウンド需要の高まりにより、ホテルや旅館、リゾート施設でもムスリムの人々への対応が求められます。ハラル認証取得やムスリム向けのメニュー開発により、他社が取りこぼしているかもしれないムスリムのお客様を惹きつけることができます。

宿泊施設の場合、食事のハラル対応だけでなく「場所」についてもイスラム教の信仰を理解する必要があります。

たとえば、敬虔なムスリムは決まった時間ごとに指定の方角に向かって祈りを捧げることが生活の一部になっており、どこにいても毎日この礼拝が欠かせません。留学先や旅先でも例外ではないため、非イスラム教国でも学校や宿泊施設などではムスリムの人々のための礼拝専用の部屋を設けているところも珍しくありません。こうしたスペースを用意することで、ムスリムの人々に対して開かれた場所だとアピールできます。

メーカー、小売店

メーカーや小売店がハラル認証を取得する場合、まず注意しなくてはならないのがハラル認証機関の数の多さです。日本国内だけでも10以上の団体があり、認証機関ごとに対応している輸出先国が異なるといった特徴があります。輸出向けのハラル認証を取得する場合は、必ずそのハラル認証が対応している国かを確認しましょう。

農林水産省が2015年に発表したハラル食品の実態調査報告によると、ハラル認証を取得した品目は多い順に加工食品、調味料、飲料となっており、日本企業が海外工場で製造した食品に対して海外のハラル認証を取得するケースもあります。

参考:平成26年度ハラール食品に係る実態調査事業(農林水産省)

今後もムスリム市場は、製造や小売り、サービス業などさまざまなビジネスにとってで見逃せない存在です。ムスリムの人々に対する理解を深めた上で、集客につなげてみてはいかがでしょうか。

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執筆は2018年5月25日時点の情報を参照しています。
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