都市部を中心に人気のシェアハウス。メディアでも、ユニークなシェアハウスが紹介され、住みやすさやシェアハウスならではの楽しみ方などが話題になっています。空室待ちが出るような人気のシェアハウスもあるほどです。
不動産投資としても注目されているシェアハウスの経営について、知っておきたいポイントを紹介します。
シェアハウスとは
シェアハウスとは、一つの物件を複数人に貸し出すタイプの賃貸住宅です。リーズナブルな家賃で部屋を借りられ、住居としてだけでなく、出張時の宿泊先や仕事場として借りている人もいるようです。
シェアハウスと似たかたちとして、ルームシェアがあります。一つの賃貸物件に複数人が共同生活をする点は同じですが、大きな違いは物件の契約相手が誰かという点です。
ルームシェアの場合、物件の契約者は1人です。賃借人として契約した人が、共同生活をするルームメイトを決め、一つの物件で発生する家賃や生活費などをルームメイトと分担します。一方のシェアハウスでは、各部屋の住人が個別に賃貸契約をします。隣の部屋に入るのが誰かを住人が決めることはできず、家賃も個別に発生します。
シェアハウスには、マンションタイプや一戸建てタイプなどさまざまな物件があります。キッチンやリビング、トイレ、バスルームなどは共用で、個室には鍵がつけられ、家電などが備え付けられている物件も多いようです。共用のリビングやキッチンが広く作られている物件も多く、住人同士の交流を盛んに促すイベントが開かれることもあります。そのため、家賃だけでなく、共同生活の楽しさや交流を求めて入居したいという人もいるようです。
国土交通省の調査によれば、シェアハウスの物件で最も多いのは、既存の戸建て住宅のリノベーションでしたが、新規にシェアハウスとして建築された物件もあります。また、女性専用や入居者同士のコミュニケーションを促すなど、特徴をアピールする物件も多いようです。
参考:シェアハウスに関する市場動向調査結果について(国土交通省)
人気の理由は収益率の高さ?
アパートやマンションではなく、あえてシェアハウスを経営する理由の一つには、物件の収益率の高さがあると考えられます。
ワンルームマンションやアパートなどの賃貸物件では、部屋ごとにキッチンやトイレなどの設備が必要です。シェアハウスの場合は、共用部分としてリビングやキッチン、バス、トイレを作っておけば、一つずつの個室はそれほど広くなくてかまいません。前述の調査によれば、シェアハウスで最も多い1人あたりの専用スペースの広さは、7.5から10平方メートル程度です。入居者1人あたりに貸す面積が小さい分、物件あたりの戸数を増やせます。
たとえば、1棟に4戸よりも、10戸の場合の方が、1戸あたりの空室リスクを減らせます。退去者がいても、家賃収入をそれほど減らすことなく、経営が継続できます。
シェアハウス経営はコンセプトが重要
収益が高いといわれているシェアハウスですが、入居希望者を集め、空室が出ないよう経営するためには、最初に決めておくべき重要なポイントがあります。それは、「入居者にどんな共同生活を提供するのか」というコンセプトです。
国土交通省の「貸しルームにおける入居実態等に関する調査」によると、シェアハウスの入居動機として最も多かったのは、「家賃が安いから」でした。家賃の安さが一番の魅力かもしれませんが、都市部を中心にシェアハウスの存在が珍しくなくなってきた最近では、家賃に加え、「コンセプト」や「住人同士のコミュニケーション」などの点でも入居者を満足させる必要があると考えられます。そのため、個室や共用スペースの設備をどうするかを決める前に、どんなコンセプトで運営するかを明確にしなければ、なかなか入居者が集まらない可能性もあります。コンセプトが明確になれば、ターゲットとなる入居者のニーズもわかり、入居者に満足してもらえる設備もはっきりします。だからこそ、最初のコンセプトが大切だといえます。
参考:貸しルームにおける入居実態等に関する調査 結果概要(国土交通省)
女性向けやシングル親向け、外国人留学生向けなど、特別なニーズをもつ人をターゲットにしたシェアハウスであれば、ある程度賃料が高くなっても、入居者が見込めます。明確なコンセプトが、他のシェアハウスとの差別化にもつながります。
シェアハウスならではの入居者同士のトラブルに注意
共用部分が多く、入居者同士の距離が近いシェアハウスで、最も心配な点は入居者同士の人間関係かもしれません。ゴミ出しや清掃など、最低限のルールを決めていても、入居者全員がすべてそのルールを守ってくれるとは限りません。また、趣味が同じだったり、価値観が似ていたりする人が集まりやすいシェアハウスでも、考え方や生活習慣の違いからトラブルは生まれます。
入居者間のトラブルを防止するためには、定期的に入居者とコミュニケーションをとり、シェアハウス内で問題が起きていないか、不満を募らせてないかなどを把握し、早めに対処することがポイントです。場合によっては、個別に注意を促すなどの対応も必要になります。また、誰でも入居できるようにするのではなく、入居希望者に実際に会って、他の入居者との相性がどうなのか、判断した上で決定することも重要です。
契約期間の設定もトラブル防止の有効な方法です。通常の賃貸物件では、2年ごとの契約が多いのですが、シェアハウスの場合、短いところでは1カ月単位という物件もあります。契約期間を短くしておけば、トラブルが多い住人がいる場合は、契約を更新しないという方法もあります。
また、入居者が多いシェアハウスでは、管理の手間と費用がかかるということも知っておきたい点です。管理会社に委託することもできますが、費用を抑えるため、自分で管理を行う経営者もいます。共有部分の清掃やメンテナンスなど、かなり時間をとられることも想定しておく必要があります。
さらに、シェアハウスの場合、家具や家電が備え付けられていることが多く、設備の故障や買い替えの費用は経営者の負担になります。使用する人が多い共用部分の設備は、修理対応の頻度も多く、思っている以上の費用が発生することもあります。
そのほか、シェアハウス運営で注意したい事項などについて記載した国土交通省発行のガイドブックなどもあるので、目を通しておくとよいでしょう。
シェアハウス経営をスムーズにするために準備したいもの
シェアハウスをスムーズに経営するために、準備しておきたいものにはどんなものがあるのでしょうか。
まずは「シェアハウスのルールを明文化する」ことです。入居前にルールを確認してもらった上で、シェアハウス内に「ルール」として掲示しておけば、トラブル防止にもなります。ルールを守ってもらえない場合は最悪退去してもらうなど、対処方法も決めて、周知しておきましょう。
賃料をスムーズに回収できる仕組みを作っておくことも、シェアハウス経営には重要なポイントです。物件の取得や改装などの開業前の費用だけでなく、修繕費など、シェアハウスを経営していくには安定した家賃収入が必要です。家賃未払いのトラブルも、経営者としては避けたいものです。できれば、余分な手間をかけずに、回収できるような仕組みを作っておきましょう。
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執筆は2019年1月18日時点の情報を参照しています。2021年9月30日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash