人的資源を活用する「HRM」とは

HRM(Human Resource Management)とは人事に関する用語で、日本語では「人的資源管理」と訳されます。ヒト・モノ・カネ・情報の四つの要素から成る経営資源のうち、「ヒト」に関する企業のマネジメント活動を指します。

日本では、飲食や情報通信、運輸、卸売、小売、金融、保険サービスなども含めたサービス産業がGDPの7割を占めています。一方で、サービス産業は人手不足に悩んでいる業界ともいえます。パーソル総合研究所と中央大学が発表した「労働市場の未来推計2030」の予測では、2030年に最も人手不足になる産業がサービス業、その後を医療・福祉、卸売・小売が続きます。

参考:労働市場の未来推計2030(パーソル総合研究所・中央大学)

人手不足が大きな課題になっていく中、人材のマネジメントがこれまで以上に企業経営にとって大事になってきています。今回は、HRMとは何か、またHRMの活用方法について解説します。

「ヒト」を管理するとは

alt text

企業を運営していく上で「ヒト」に関わる業務には、主に以下のようなものがあります。

人事企画
企業の経営目標を達成するために、適切な部門構成や人員配置、採用計画を練ります。

採用
年間の採用計画に基づき、必要な人員の採用活動を行います。公共職業安定所や求人サイト、ソーシャルメディアやイベントなど、さまざまな手段を活用して採用を行います。

評価
従業員のパフォーマンスを評価し、給与や配属などに反映させる人事評価制度を定めます。

教育
従業員への研修や教育を行います。自社の従業員に必要なスキルは何かを把握し、企画を立て、必要があれば外部の企業や講師に委託・依頼することもあります。

労務管理
雇用契約、社会保険の手続き、給与計算、勤怠管理、福利厚生業務といった業務です。

HRMとは何か

人材を単純にコストや労働力とみなし、管理・統制することに重きを置いていた時代もありました。しかし、最近では人材を経営戦略実現のための「経営資源」と捉え、中長期的に教育や能力開発などの投資を行って、一人ひとりの生産性を上げる方向に転換しています。このように従業員の価値を重視するマネジメントの考え方がHRMです。

HRMの二つのモデル

HRMには、1980年代に米国で提唱されたハーバード・モデルとミシガン・モデルの二つのモデルがあります。

ハーバード・モデルは、経営層が人的資源を効果的にマネジメントする際のフレームワークを提示しており、人材を「社会的財産」ととらえます。HRMの施策を通じて従業員の能力開発、コミットメント向上を重視します。

ミシガン・モデルは、人材を「経営資源」ととらえ、有効活用することで企業目標を達成することを重視します。採用、評価、報酬、開発というHRMを経営戦略の一要素とし、HRMの施策を通じて個人と組織のパフォーマンスを上げることを目的としています。

ビジネスの効率を上げるPOSレジアプリ

手軽さを追求した無料で使える直感的なPOSレジ

HRMの活用方法

alt text

それでは、HRMをどう自社に導入していけばよいでしょうか。具体的には、人事制度や評価制度の整備、人材育成制度の充実などが考えられます。

人事制度を整備する

少子高齢化による労働力不足に加え、早期退職や中途入社、非正規雇用の増加といった終身雇用制の崩壊など、日本の労働市場は大きく変化しています。

人材という資源を長期に渡って経営に活かすには、人を採用し適正な業務に配置するだけでなく、それぞれの状況にあわせた柔軟な人事制度の整備は欠かせないといえます。たとえば、育児や介護といった個別の事情に対応できるように短時間勤務や在宅ワークを導入する、長時間労働を規制してメンタルヘルスや健康問題の発生を抑止する、正社員・非正規社員間の格差を是正して一人ひとりの従業員のモチベーションを下げないといった取り組みが挙げられます。

評価制度を整備する

人事評価制度を変えることで、従業員が仕事に対するモチベーションを向上させ、より良いパフォーマンスにつながることがあります。

上司や部下など立場や関係性が異なる複数の人から評価される多面評価(360度評価)や、成果につながる行動特性を評価するコンピテンシー評価など、これまでの職能資格制度とは違った評価制度を取り入れることで、従業員が評価制度に抱いていた不満を解決できるかもしれません。

また、キャリアパスが見えないことに不安を感じる従業員もいます。目標に向けて日々の業務に取り組めるよう、キャリアパスを可視化するのも良い方法でしょう。

人材育成制度を充実させる

OJT(職務を通じた教育訓練制度)や Off-JT(職務を離れた教育訓練制度)、eラーニングなどを使った教育・学習体制を充実させることで、一人ひとりがスキルアップできると同時に、企業全体の生産性向上につながります。新人、中堅、管理職など、経験年数や職位に合わせた育成制度を設けることも効果的です。社内でのコミュニケーションを円滑にするために全員が楽しめるようなレクリエーションや、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント防止講座、メンタルヘルスに関連した研修なども役に立ちます。

人材をコストや労働力ではなく、資源として捉える、HRM。従業員にとって快適な職場環境を用意し、最大限に能力を発揮させることができれば、組織全体の発展になります。経営改善をはかる方法の一つとして、取り入れてみてはいかがでしょうか。

関連記事

人材採用の新手法「タレントプール」とは
まとめてみました!リファラル採用について

執筆は2019年2月20日時点の情報を参照しています。
当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
Photography provided by, Unsplash