電子マネーの種類と国内での利用状況。消費者が電子マネーを使う理由とは?

Square (スクエア), ブログ編集者

▶この記事では、日本で扱われている電子マネーの種類や国内での利用状況について説明します。

世界規模でキャッシュレス化が進み、現金を好む傾向にある国内でも少しずつ決済手段が増えています。店舗で決済端末の導入や買い替えを検討するうえで、どの決済手段に対応するべきか迷う事業主も多いのではないでしょうか。今回はなかでもここ数年で決済件数が増えている「電子マネー」に着目します。現金を取り出さずに決済が完了する電子マネーのなかでも主要のものをカバーしつつ、国内での利用状況を掘り下げていきます。

本記事における電子マネーの定義は「今さら聞けない!電子マネー決済について」をご確認ください。

電子マネーの種類

この記事では、「交通系電子マネー」と「支払い系電子マネー」の二種類に分けて説明をします。

交通系電子マネー

電車に乗り降りをする際に切符を改札機に差し込むのはいまや昔。2001年にはJR東日本の「Suica」が、2007年には株式会社パスモの「PASMO」が誕生して以来、交通系ICカードを専用機にかざして改札を通る光景がお馴染みになりました。

交通系電子マネーの現在の利用状況を簡単にまとめると、

・利用店舗数はここ数年で着実に増加している
・電子マネーのなかで最も使われている
・なかでも20代の利用者が最も多い

の3点が大きく挙げられます。それぞれの点を細かく見ていきましょう。

利用店舗数はここ数年で着々と増加中

交通機関での利用はもちろんのこと、コンビニエンスストアや自動販売機など、移動に縛られないシーンで使用できる点も利用率の増加に貢献しているといえる交通系電子マネー。いまやドラッグストアやスーパーなど至るところで利用が可能となり、10年前までは利用可能店舗数が10万件程度だったものの、2019年3月には61万6千件まで拡大、前年比でも14万件ほど増加しています。

参考:ファクトシート Suica/新たな事業領域への挑戦 ~グローバル化~(JR東日本)

電子マネーのなかでも最も愛用されている交通系電子マネー

株式会社ヴァリューズが2019年8月に発表した、国内の20歳以上の男女1万38人を対象に行ったキャッシュレス決済利用実態調査では、電子マネーのなかでも交通系電子マネーが最も利用率が高いことが明らかになっています。利用経験のあるキャッシュレス決済手段のうち、1位のクレジットカード(86.7%)に続いて、交通系電子マネーは2位(64.6%)という結果になっています。

参考:消費増税に向けユーザー囲い込みにしのぎを削るキャッシュレス決済業界を調査~QRコード決済利用者は4人に1人にまで拡大(2019年8月23日、manamina)

では、どの交通系電子マネーが最も使用されているのでしょうか。マクロミルが2018年に全国で18歳から69歳までの男女1,000名を対象に行った電子マネーの調査では、認知度が最も高いのはSuica(87%)で、利用率もトップを占めています。次にランクインした交通系電子マネーはPASMO。認知度は62.3%と半数を超えており、利用率は調査対象とされた16種類の電子マネーのうち4位となっています。

参考:生活者に選ばれている電子マネーとは?利用実態を調査(2018年2月10日、市場調査メディア ホノテ by Macromill)

最も利用しているのは20代

ソフトブレーン・フィールド株式会社が20代から60代までの男女4,458人を対象に、2017年に発表した電子マネーの調査では、年代によって電子マネーの利用率が少しずつ異なることが明らかになっています。

なかでも交通系電子マネーの利用率がもっとも高い年代は、20代(43.8%)。全年代において全体の4分の1近く利用者はいるものの、20代はその2倍ほどの利用者がいる状況です。

参考:電子マネー「週に1回以上利用」は8割以上、年代別でも特徴あり(2017年12月14日、ソフトブレーン・フィールド株式会社)

SuicaとPASMOの特徴を、下記の表で確認しましょう。

  Suica PASMO
発行元 JR東日本 株式会社パスモ
チャージ限度額 20,000円  20,000円
Apple Pay ◯(ただし、Visaブランドのクレジットカードでチャージする場合は、Suicaのアプリから行なう必要があります) ×
Google Pay ×
利用可能箇所 約61万6千箇所
※2019年3月時点
約5万箇所
※2017年5月時点
使える場所 交通機関、コンビニエンスストア、ファーストフード店、本屋、洋服屋など
詳しくはこちらをご確認ください
交通機関、コンビニエンスストア、家電量販店、ファーストフード店など

参考:
ファクトシート Suica/新たな事業領域への挑戦 ~グローバル化 (JR東日本)
PASMO電子マネーの加盟店数が、5万店を突破!(2017年5月11日、東京都交通局)

支払い系電子マネー

支払い系電子マネーは、前払い型である「流通系電子マネー」と主に後払いとなる「ポストペイ型」の二つに分けて説明します。

1. 流通系電子マネー

交通系の次に利用者が多い電子マネーは、前もって現金やクレジットカードなどでチャージし、利用する「流通系電子マネー」です。そのなかでも代表的なものを三つ紹介します。

WAON

Suicaに続いて二番目の認知度(80%)と利用率(29.0%)を誇るのが、イオンリテール株式会社が発行するWAONです。カードを発行し、指定の場所でチャージをすればWAON加盟店にてキャッシュレスで買い物ができます。また、利用した分だけポイントを貯めることができ、貯まったポイントはWAON加盟店での買い物に充てられる点が特徴的で、前述のソフトブレーン・フィールド株式会社の調査からは30代の利用がもっとも多いことがわかっています。

参考:
生活者に選ばれている電子マネーとは?利用実態を調査 (2018年2月10日、市場調査メディア ホノテ by Macromill)
電子マネー「週に1回以上利用」は8割以上、年代別でも特徴あり(2017年12月14日、ソフトブレーン・フィールド株式会社)

nanaco

WAONと同じく流通系で普及している前払い型電子マネーといえば、株式会社セブン&アイ・ホールディングスのnanacoでしょう。WAONカードと同じく、プラスチックカードを発行することもできれば、「nanacoモバイル」またはGoogle Payでの入会・利用も可能です。セブン&アイグループの対象店舗ではもちろんのこと、ドラッグストアやスーパーでも使用ができ、nanacoモバイルであればスマートフォンの電源がOFFでも利用ができるそうです。前述のソフトブレーン・フィールド株式会社が行なった調査によると、40代から50代での利用率がそれぞれ25.8%と24.8%と全年代のうち最も高く、反対に30代がもっとも低い(17.1%)結果でした。

楽天Edy

流通系の電子マネー以外でも、プリペイド型で普及しているのは、2019年7月1日時点で1億2,060万枚の発行数を誇る、楽天Edy株式会社の楽天Edyです。使用するには「Edyカード」を発行する、または「楽天Edyアプリ」をダウンロードする、のいずれかが選べます。周辺機器を揃えれば、iPhoneでの使用も可能です。

前述のマクロミルの調査によると、認知度は16種類の電子マネーのうち4位で68.7%、利用率は5位で16.3%という結果が出ています。「Edyでポイント」を活用すると、通常の二倍ポイントが貯まる「2重獲得」や加盟店によっては「3重獲得」「4重獲得」もあり、お得にポイントを貯められる点が魅力の一つです。ソフトブレーン・フィールド株式会社の調査を見ると、楽天Edyの利用者は30代がもっとも多く(19.6%)、次に40代の利用者が多い(16.8%)結果になっています。

参考:
「楽天ペイ(アプリ決済)」で「顔認証」や「事前オーダー」のデモを実施(2019年8月21日、ペイメントナビ)
電子マネー「週に1回以上利用」は8割以上、年代別でも特徴あり(2017年12月14日、ソフトブレーン・フィールド株式会社)

チャージの限度額など、細かい特徴は下記から確認してみましょう。

  WAON nanaco 楽天Edy
発行元 イオンリテール株式会社 株式会社セブン&アイ・ホールディングス 楽天Edy株式会社
チャージ限度額 50,000円
※1回のチャージ可能額は1,000円から49,000円まで
 50,000
※1回のチャージ可能額は1円から30,000円まで
50,000円
※1回のチャージ可能額は1,000円から25,000円まで
Apple Pay × × ×
Google Pay
利用可能箇所 約37万3千箇所
※2017年末時点
約49万4千600箇所
※2019年7月末時点
-
使える場所 イオングループの対象店舗、コンビニエンスストア、ドラッグストア、など。
詳しくはこちらをご確認ください
セブン&アイグループの対象店舗、コンビニエンスストア、ドラッグストア、など。
詳しくはこちらをご確認ください
コンビニエンスストア、スーパー、服飾店、雑貨店、ホテル、など
詳しくはこちらをご確認ください

2019年9月13日現在の情報です。

参考:
国内IC型電子マネー初 「WAON」年間利用金額が2兆円を突破!(2016年3月22日、イオン株式会社)
使えるお店を探す(nanaco)

2. ポストペイ型電子マネー

クレジットカード情報を登録することで使える、ポストペイ型(後払い)電子マネー。

通常クレジットカードで支払いをする場合、サインや暗証番号の入力が必要となりますが、ポストペイ型電子マネーであれば(1)専用カード、または(2)スマートフォンを専用端末にかざすだけで決済ができ(※)、スピーディーに支払いが完了します。「100円など少額でもクレジットカードを利用する」とちょっとした買い物にも利用する人には、毎回暗証番号を打ち込む手間が省けるので、時間短縮になるでしょう。

※一定額を超えると、サインまたは暗証番号の入力が必要となります。

代表ブランドとして挙げられるのは、NTTドコモの「iD」やJCBの「QUICPay」です。いずれも指定のクレジットカード会社に申し込みをすると、クレジットカード一体型や専用カード、またはApple PayやGoogle Payなどでの利用が可能となります。ただし利用率は前述の電子マネーに比べるとやや低く、ソフトブレーン・フィールド株式会社の調査では5%未満という結果が出ています。

  iD QUICpay
発行元 株式会社NTTドコモ 株式会社ジェーシービー
1回あたりの利用可能限度額 クレジットカードの利用限度額に準ずる 20,000円まで
※ただしQUICpay+の場合は2万円以上の利用が可能
Apple Pay
Google Pay
使える場所 コンビニエンスストア、スーパー、本屋、美容院、など
詳しくはこちら
コンビニエンスストア、スーパー、飲食店、レジャー施設、など
詳しくはこちら
備考 前払いのプリペイド型、即時引き落としのデビット型としての利用も可能 QUICpay+であれば前払いのプリペイド型、即時引き落としのデビット型としての利用も可能

電子マネーの利用状況

現金でのやりとりが発生しない分、「小銭を数える」「釣り銭を待つ」などの手間が省け、専用端末にかざすだけで簡単に決済ができてしまう電子マネー決済。実際どのような点が消費者から好まれているのでしょうか。

理由は(1)交通系電子マネーと、(2)流通系電子マネー、ポストペイ型電子マネーで少しずつ異なり、前者は「レジでの支払いが早く済むから」が51.7%でもっとも多く、後者は「ポイントが貯まるから」が多くの回答(68.1%)を占めました。その他にも共通する理由として「現金を持たなくて済むから」「支払いのときにお釣りが出ないから」など現金の煩わしさから解放される点が挙げられています。

電子マネーでの決済件数も過去数年で着々と増加しており、2010年には20億件だったところが、2017年には60億件近くにまで上昇しています。このような流れもあり、2017年に発表されたソフトブレーン・フィールド株式会社の調査で電子マネーの利用頻度を聞かれると、「週1回以上」と回答する消費者が8割にも及ぶ結果となりました。

月額利用料金は1,000円以上3,000円未満と回答する消費者がもっとも多く(21.7%)、電子マネーには基本的にチャージ限度額が設定されていることもあり、7割以上の利用者が10,000円未満と回答しています。

参考:
生活者に選ばれている電子マネーとは?利用実態を調査 (2018年2月10日、市場調査メディア ホノテ by Macromill)
電子マネー「週に1回以上利用」は8割以上、年代別でも特徴あり(2017年12月14日、ソフトブレーン・フィールド株式会社)
キャッシュレス決済の現状(日本銀行決済機構局)

かざすだけで支払いが完了する手軽さから、ちょっとした買い物をサッと済ませるうえで活用されている電子マネー。この記事ではポイントが貯められるなど、現金にはない付加価値を求めて利用する人も多いことがわかりました。店舗経営をするビジネスオーナーとしては、お客様が普段から利用している決済手段に対応できるよう、電子マネーにも対応した端末機器を用意しておきたいところでしょう。

次回は導入前に心得ておきたい「電子マネーを取り扱ううえで大切なポイント」を紹介します。

▶▶▶電子マネーを導入するメリットや注意点とは?

電子マネー決済についてもっと知りたい方は
(2) 電子マネー決済を導入する上で大事なこと
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*執筆は2019年9月13日時点の情報を参照しています。
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