企業に勤める従業員の雇用形態には、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどがあります。今回はその中でも、派遣社員について紹介します。経営者として、派遣社員受け入れのメリットや気をつけることをしっかり理解しておきましょう。
派遣社員とは
期間を限定し、比較的短期間での契約を結ぶ雇用形態を非正規雇用といいます。非正規雇用の例には、派遣社員のほかに契約社員という雇用形態があります。派遣社員と契約社員の主な違いは以下の通りです。
・派遣社員は人材派遣会社と雇用契約を結ぶ。契約社員は就業する会社と直接雇用契約を結ぶ。
・派遣社員の給与や福利厚生は人材派遣会社が担当する。契約社員は就業する会社が担当する。
このように、派遣社員は就業先ではなく、基本的には人材派遣会社に雇用されます。
派遣社員の現状
派遣社員の雇用を守るために2013年に労働契約法が改正され、派遣社員を取り巻くルールが変わりました。派遣社員の現状を知るためには、以下の点について説明をします。
・労働契約法
・データで見る派遣社員
労働契約法
労働契約法のポイントは以下の通りです。
・労働契約が繰り返し更新され、通算5年を超えるときは労働者の申込みによって無期労働契約を結べる
・有期契約労働者が無期契約労働者と比べ不合理な労働条件にならないようにする
有期契約労働者は派遣社員や契約社員(非正規雇用)を、無期契約労働者は正社員を指しています。
上記のように、通算契約期間が5年を超えた場合は、本人が申し込めば正社員へ雇用形態を転換することができます。また、条件面でも正社員と比較して、大きな違いがないように交渉できるようになりました。これらは、働き方改革の一貫であり、派遣社員の雇用を守るために作られたルールです。
参考:労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~(厚生労働省)
データで見る派遣社員
契約社員も合わせた「非正規雇用」の現状と課題について厚生労働省が発表した内容について、要点をまとめると以下の通りになります。
・非正規雇用の数は平成6年からほぼ増加し続けている
・正社員として働きたいが非正規雇用で働いている人(不本意非正規)は全体の15.6%にのぼる
・非正規雇用は正規社員よりも賃金水準が低い傾向にある
・福利厚生などの各種制度は非正規雇用の方が適用率は低い傾向にある
このように、正社員に比べて待遇が悪いといえる状況にありながらも、非正規雇用の数は増え続けています。雇用の安定との待遇改善のためにも、前述の通り労働契約法が改正されました。
派遣社員を受け入れるということ
派遣社員を受け入れるメリットや経営者として気をつけることはどのようなことでしょうか。
メリット
派遣社員を受け入れるメリットは以下の点です。
・直接雇用の従業員と比較して労務管理が楽
・採用、教育コストを削減できる
・即戦力として受け入れるため業務効率を上げやすい
・人員計画に柔軟に対応できる
正社員や契約社員などの直接雇用の従業員の労務管理は、雇い入れた企業が責任を持って行う業務になります。一方、派遣社員の労務管理の主な部分は派遣元の人材派遣会社が担当するので、労務管理が正社員や契約社員よりも楽と感じられるかもしれません。
また、直接雇用の従業員を採用する際には広告や面接などの手間やコストがかかりますが、派遣社員の場合はそのようなコストはかかりません。人材派遣会社が登録スタッフ向けに教育を行っているので教育コストも抑えられるでしょう。
さらに、派遣社員は業務に必要なスキルや経験を持つ即戦力として受け入れられることが多いので、業務の効率化につながります。加えて、短期間での契約も可能なので「必要な時に必要な人数だけ」受け入れることが可能です。
気をつけること
経営者として派遣社員を雇い入れる際に気をつけることには、次のようなことが挙げられます。
・派遣労働者に事前面接を行ってはならない
・建設、港湾業務などの派遣禁止業務を行わせてはならない
・自社を退職して1年以内の人を派遣社員として受け入れてはならない
他にも気をつけなければならないことはたくさんあります。厚生労働省のウェブサイトを事前にしっかり確認するようにしましょう。
人材を上手に活用するためには
このように、派遣社員を受け入れるときにはメリットや気をつけるべきポイントを理解する必要があります。
派遣社員を含め従業員が増えたら、人材を上手く活用し企業の業績アップにつなげるためには、以下の点が大切といえます。
・適切な従業員管理
・従業員の売り上げ管理
・従業員にまつわるデータの一元管理
これらは、Squareのスタッフ管理機能(一部有料)を利用することで、効率的に行うことができます。
適切な従業員管理
Squareのスタッフ管理機能は、タイムカード機能も備わっているので従業員の出退勤を記録できます。外出先からも出退勤を確認できるので、各従業員の勤務時間の把握が可能です。
従業員の売り上げ管理
また、各従業員の売り上げも一目で分かります。たとえば、歩合制を導入している企業などは、勤怠のデータと売り上げデータを各従業員の給与計算に活用できます。
全データの一元管理
店舗や事業所が増えても、1つのアカウントで一元管理できる点もメリットです。たとえば、5店舗運営している場合、Squareであれば5店舗全ての売り上げを一目でチェックすることができ、それぞれを比較することも可能です。そのため、売り上げが落ちている店舗の施策や、従業員の売り上げからの人材配置を考えるなど、経営戦略に活かすことができます。
また、売り上げデータは商品ごとにも記録できるので、たとえば、商品の値下げや値上げした時の売り上げ変動などもチェックすることができ、価格調整にも役立つでしょう。
このように、データで従業員の勤怠や売り上げなどを一元管理することで、さまざまな戦略立案に活かすことができます。結果的に業務効率の改善や売り上げアップにつながるといえるのではないでしょうか。
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執筆は2018年1月5日時点の情報を参照しています。
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