Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字をとったGAFA(ガーファ)という単語を耳にしたことがある、という人も少なくないでしょう。GAFAのように企業や個人に対してITサービスを大規模に提供する国際的な巨大IT企業はプラットフォーマーと呼ばれ、その動向に注目が集まっています。
プラットフォーマーに興味を持つビジネスオーナーを対象に、プラットフォーマーとはなにか、プラットフォーマーを理解するための市場モデル、プラットフォーマーが事業の成長を助ける理由と活用する上での注意点と合わせて説明します。
プラットフォーマーとは
最近見聞きすることの多い「プラットフォーマー」という単語は、実は和製英語です。日本語でプラットフォーマーというと「サービスの土台となるシステムやサービスを提供する者」という意味合いで、さまざまなサービスを提供する国際的な巨大IT企業を表しますが、英語のplatformerはゲームの一ジャンルでまったく異なる対象を表します。本記事では日本語のプラットフォーマーについて説明します。
プラットフォーマーの代表格としてはGoogle、Amazon、Facebook、Amazonが有名で、これらプラットフォーマーはその頭文字をとったGAFA(ガーファ)と呼ばれることもあります。プラットフォーマーの提供するサービスとして、たとえばGoogleは、一般ユーザー向けの検索エンジンやそれと関連する事業者向けの広告プラットフォームに加え、クラウドベースのオフィスツールをはじめとするアプリケーション、Android向けのアプリケーションのマーケットプレイスなど多岐に渡るサービスを提供しています。
プラットフォーマーの提供するサービスは個人にとっても企業にとっても便利なものですが、取引環境における優越的地位の濫用や個人情報流出が近年問題になっています。また、プラットフォーマーに限りませんが、国際的な巨大企業については国境をまたいだ課税方法についても議論が進められ、GAFAの名前が挙がることも少なくありません。
二面的市場モデルと多面的市場モデル
プラットフォーマーについて理解する上で、二面的市場モデル、またはそれをより一般化した多面的市場モデルを知っておくとよいでしょう。多面的市場モデルは、アメリカの経済学者David S. Evans氏が論文の中で提唱した市場モデルです。多面的市場モデルについて書かれた論文は、15年以上も前、GAFAが今ほど影響力を持つ前、Facebookがまだ誕生さえしていなかった2003年に発表されました。
参考:The Antitrust Economics of Multi-Sided Platform Markets(David S. Evans)
プラットフォーマーは複数のユーザーグループと市場に対してサービスを提供し、異なる市場同士が関係しあっています。この関係しあう市場が二つの場合は二面的市場モデル、二面的市場モデルを含め二つ以上の市場を対象により一般化した市場モデルは多面的市場モデルと呼ばれます。具体的には、一般ユーザー向けの検索エンジンサービスと事業者向けの広告販売、売り手と買い手のいるモバイルアプリケーションマーケットやオークションサービス、フリーマーケットアプリケーションなどがあります。ITのプラットフォーマーに限らなければ、利用者・店舗・金融機関と取引のあるクレジットカード事業も多面的市場モデルを採用した事業の一例です。
プラットフォーマーが事業の成長を手助けする理由
ビジネスオーナーの中にはプラットフォーマーの利用を検討している人もいることでしょう。ここではプラットフォーマーの利用と事業成長の関係について具体的に説明します。
便利なサービスがそろっている
ウェブサイトやウェブショップを構築したり、メールサーバーを立ち上げたり、一昔前まではインターネットを利用して事業を始めるのは一苦労でした。現在ではそのようなことはなく、プラットフォーマーの提供するサービスを組み合わせて1日、早ければ数時間でインターネットビジネスを始められるようになりました。自前のウェブショップを持たなくてもプラットフォーマーの提供するマーケットプレイスにサービスや商品を出品し、ソーシャルメディアで数クリックのうちに宣伝を打つこともできます。
また、インターネットで商品やサービスを販売する事業でなくても、クラウドで提供されるメールサービス、オフィスツール、ストレージなどさまざまなアプリケーションを利用したことがある人は少なくないでしょう。クラウドで提供されるサービスの多くはブラウザで利用でき、難しいセットアップをすることなく利用を開始できる上、ブラウザさえあればいつでもどこでも使うことができます。メンテナンスの必要もありません。
プラットフォーマーの提供する便利なサービスを利用することで、これまでシステムの構築や運用にかけていた人的・金銭的コストを削減し、本業に集中でき、事業の成長の大きな助けとなるでしょう。
ネットワーク効果
もう一つ、プラットフォーマーを利用する理由としてネットワーク効果があります。
ネットワーク効果とは、プラットフォーマーが便利なサービスを提供すると、便利なことからサービスの利用が広まり、改善が加えられますます便利になり、さらに利用が広まるというものです。このネットワーク効果の輪に加わらない手はありません。プラットフォーマーが提供するサービスはネットワーク効果ですでに多くのユーザーを抱えているため、自力で一から顧客を開拓する必要がありません。たとえば、モバイルアプリケーションを作っている企業の場合、プラットフォーマーのマーケットプレイスを利用することで最初から多くの潜在ユーザーにアプローチできます。また、プラットフォーマーの提供するオフィスツールを使うことで、互換性の問題などを気にせず、取引先とスムーズにファイル交換したりアクセス権を設定したりできるでしょう。
ネットワーク効果で多くのユーザを抱えるプラットフォーマーのサービスは、ユーザー数の多さから価格面で競争力があり、事業にかかるコストの削減も期待できます。
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プラットフォーマーを利用するうえでの注意点
事業の成長を大いに手助けするプラットフォーマーですが、利用にあたっておさえておきたいポイントがいくつかあります。
近年、プラットフォーマーが運用するサービスでの大規模な個人情報の流出が大きな問題になっています。プラットフォーマーのサービスを利用するにあたって、特にソーシャルメディアではプラットフォーマーがユーザーの個人情報を適切に扱えているのか知っておく必要があります。国際的な大手企業が提供するサービスでも個人情報の流出をきっかけに終了に追い込まれたサービスもあります。世界的に支持されているプラットフォーマーでも、十分サービスについて検討してから利用するに超したことはありません。
個人情報の取り扱い方への批判に加え、世代ごとの好みによって、ソーシャルメディアやアプリケーションのトレンドは変化しています。一般のユーザーを対象に事業を営み、プラットフォーマーを利用する場合は、適切なメディアにアプローチし、商品やサービスを出品していくためにもこのようなトレンドをおさえていく必要があります。
また、国際的に事業を展開する場合は、国や地域によってはプラットフォーマーが政治、税制、法的な観点から問題視されていることもあります。最悪の場合、当該国や地域でサービスが終了してしまう可能性もあるでしょう。事業を営む地域の最新の状況をおさえて適切なプラットフォーマーを選んでください。
これら注意点に留意してプラットフォーマーを利用して、ぜひ事業の成長につなげてください。
執筆は2019年9月18日時点の情報を参照しています。
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