※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を守るために制定された法律です。商品名やロゴの模倣、営業秘密の不正取得など、事業活動における不正な競争行為を幅広く規制しています。
違反した場合は、差止請求や損害賠償といった民事上の責任だけでなく、刑事罰が科されることもあります。事業者にとって、信用問題や事業継続に直結する重要な法令といえるでしょう。
本記事では、不正競争防止法の基本的な内容から代表的な違反行為、罰則の例までを解説します。
📝この記事のポイント
- 不正競争防止法は、公正な競争を守るために不正行為を幅広く規制する法律である
- 営業秘密は「秘密管理性・有用性・非公知性」の3要件を満たす情報のみが保護対象となる
- 違反した場合は差止請求や損害賠償の対象となり、営業秘密侵害など一部の行為では刑事罰が科される
- 損害賠償請求には時効があり、事業者には適切な情報管理と迅速な対応が求められる
- 法令順守を意識するなら、Squareなどの信頼できる決済・顧客管理サービスを活用し、データ管理体制を整える選択肢もある
目次
- 不正競争防止法とは?わかりやすく解説
- 不正競争防止法違反となる不正競争行為
- 不正競争防止法の営業秘密には特に注意
・不正競争防止法における営業秘密の詳細情報
・秘密管理性
・有用性
・非公知性 - 不正競争防止法違反の事例
- 不正競争防止法違反の罰則と例
・民事上の措置
・刑事上の措置
・罰則の例 - 不正競争防止法違反の時効
- 不正競争行為に対する救済措置
- 不正競争防止法と知的財産法との関係
- データを安全に管理するには「Square」
- まとめ
- よくある質問
・どのような行為が不正競争防止法違反とみなされますか?
・不正競争防止法の営業秘密とは何ですか?
・不正競争防止法違反に時効はありますか?
不正競争防止法とは?わかりやすく解説

不正競争防止法は、他社のブランドや営業秘密などを不正に利用する行為を防ぎ、公正な事業活動を守るための法律です。不正な手段で利益を得る行為を防ぎ、事業者の信用や取引の安全を保つことが目的です。
この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
– 不正競争防止法第1条1
具体的には、営業秘密の不正取得や他社ブランドの無断使用、誤認を招く表示などの不正競争行為を禁止しています。違反した際には、差止請求や損害賠償、刑事罰などの措置が設けられています。
不正競争防止法の目的のポイントは、以下のとおりです。
- 事業者間の公正な競争を確保すること
- 国際的な約束を的確に実施すること
- 不正競争の防止と損害賠償の措置を整備すること
- 国民経済の健全な発展に寄与すること
つまり、不正競争防止法は単に違反行為を取り締まるだけの法律ではありません。事業者間の競争の公正さを守ることで、事業者の信用を保護し、経済の健全な発展につなげる役割を担っています。
不正競争防止法違反となる不正競争行為
不正競争防止法では、公正な競争を妨げる代表的な行為を10の類型として定めています2。主な内容は、以下のとおりです。
1.周知表示混同惹起行為
消費者などの間で広く知られている他社の商品名や営業表示と同一または類似の表示を使用し、他社の商品やブランドと混同を生じさせる行為です。たとえば、有名店に似た名称やロゴ、商品パッケージを使用するケースが該当します。
2.著名表示冒用行為
著名なブランド名やロゴなどを無断で自社の商品や営業表示として使用する行為です。ブランドの顧客吸引力にただ乗りする行為や、ブランド価値を損なう行為が含まれます。
3.形態模倣商品の提供
他社商品の形状やデザインを模倣した商品を譲渡・販売する行為です。先に販売されている特徴的な商品の外観をそのまま真似て販売する場合などが該当します。
4.営業秘密の侵害
不正な手段によって取得した営業秘密を使用したり、第三者に開示したりする行為です。営業秘密とは、秘密として管理され、営業上または技術上の情報として価値があり、かつ公然と知られていない情報を指します。
5.限定提供データの不正取得等
不正な手段によって限定提供データを取得し、自ら使用したり第三者に開示したりする行為です。限定提供データとは、特定の者に提供することを前提に共有される営業上または技術上の情報で、電子データとして蓄積・管理されているものを指します。
6.技術的制限手段無効化装置等の提供
コピー防止や認証機能などの技術的制限を回避できる装置やプログラムなどを提供する行為です。
7.ドメイン名の不正取得等
他社の名称と同一または類似のドメイン名を、不正な利益を得ることまたは損害を与えることを目的に取得・保有・使用する行為です。高額で転売したり、相手の信用を損なう目的で使用したりする場合が該当します。
8.誤認惹起行為
商品やサービスについて、原産地や品質などを実際とは異なる表示により誤認させる行為です。
9.信用毀損行為
競争関係にある他社について虚偽の事実を告知または流布し、営業上の信用を害する行為です。
10.代理人等の商標冒用行為
商標権者の代理人などが、正当な理由なく商標を使用する行為です。契約終了後にも無断で商標を使い続ける場合などが該当します。
これらの行為はいずれも、公正な競争秩序を守るために禁止されています。
上記のほか、不正競争防止法では国際条約との整合性を図るため、以下のような行為も禁止されている点を理解しておきましょう。
| 区分 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 外国の国旗・紋章の不正使用 | 外国の国旗や紋章、政府の印章などを商標として使用したり、原産地を誤認させる表示に利用したりする行為 | スイス国旗を商標として使用する |
| 国際機関の標章の不正使用 | 国際機関と関係があると誤認させる方法で標章を使用する行為 | 五輪マーク、国連マークの無断使用 |
| 外国公務員への贈賄 | 国際取引で不正な利益を得る目的で外国の公務員に金銭や利益を提供する行為 | 許可取得のために現地の公務員に金銭を渡す |
これらは国際的な公正競争を確保するために定められており、国内外を問わず事業活動を行う者に適用されます。
不正競争防止法の営業秘密には特に注意
営業秘密は、適切に管理されていなければ法的保護を受けられません。また、要件を満たす情報が不正に扱われた場合は、重大な責任が生じます。

不正競争防止法における営業秘密の詳細情報
不正競争防止法における営業秘密は、以下の3要件をすべて満たす必要があります3。
- 秘密管理性:秘密として管理されていること
- 有用性:事業に役立つ情報であること
- 非公知性:一般に知られていないこと
これらの要件を満たす情報が不正に取得・開示・使用された場合、単なる社内規則違反では済みません。刑事罰や、損害賠償の対象となる可能性があります。そのため、事業者には情報を明確に区分し、適切に管理する体制の整備が求められます。
秘密管理性
秘密管理性2とは、情報が社内で「秘密である」と客観的に分かる状態で管理されていることを意味します。誰でも自由に閲覧できる状態では、この要件を満たしません。
具体的には、以下の内容が該当します。
- 秘密保持誓約書の取得
- 就業規則への秘密保持規定の明記
- 文書への「社外秘」表示
- データへのアクセス制限
企業として、秘密情報を守る意思を明確に示していることが重要です。
有用性
有用性2とは、情報が事業活動にとって実質的な価値を持つことを指します。利益の獲得や、競争優位の確保に役立つ情報である必要があります。具体例は、以下のとおりです。
- 顧客データ
- 製造ノウハウ
- 独自の営業戦略
この要件は、公序良俗に反する情報を保護の対象から除外することを目的として設けられており、事業活動に関連する情報であれば、有用性が認められる場合が多いとされています。
また、実際に事業で利用されていない情報であっても、有用性が否定されるわけではありません。失敗した実験データのように、一見役に立たないように見える情報でも、事業にとって何らかの価値がある場合は有用性が認められます。
ただし、一般的な知識や社内の単純な連絡事項などは該当しません。事業上の具体的な活用可能性が、判断のポイントになります。
非公知性
非公知性2とは、情報が一般に知られておらず、通常の方法では簡単に入手できない状態を意味します。インターネットや書籍などで公開されている情報は、この要件を満たしません。
また、公に知られている情報を組み合わせたものであっても、その組み合わせを容易に思いつけない場合や、作成に相当の手間や費用がかかる場合には、非公知性が認められることがあります。
単に「社内情報」であるだけでは足りず、一般に知られていない状態に保たれていることが、営業秘密として保護されるための前提となります。
不正競争防止法違反の事例

営業秘密の侵害に関する裁判例として、元従業員が顧客情報を持ち出し、同業の別会社を設立して営業活動に利用した事案があります4。顧客情報が営業秘密に該当するかどうかが争点となりましたが、裁判所はパスワード管理や就業規則、秘密保持に関する誓約書の存在などから秘密管理性を認めました。
そのうえで、顧客情報の使用差止めだけでなく、当該顧客への勧誘や契約締結といった営業行為そのものについても差止めを認容しています。営業秘密の侵害は、高額な損害賠償に発展するだけでなく、事業活動そのものが制限される可能性がある点に注意が必要です。
不正競争防止法違反の罰則と例
不正競争防止法に違反した場合、事業者や個人には重い法的責任が生じる可能性があります。特に営業秘密の侵害は、民事上の責任に加えて、刑事罰の対象にもなります。ここでは、民事・刑事それぞれの罰則と、営業秘密に関する具体例を整理します2。
民事上の措置
不正競争行為があった場合、被害を受けた事業者は差止請求や損害賠償請求を行えます。差止請求では、侵害行為の停止や防止、営業秘密を記録した媒体の廃棄などを求めることが可能です。
実際に損害が生じていれば、損害賠償請求もできます。また、虚偽情報の流布などで営業上の信用を毀損された場合には、謝罪広告の掲載といった信用回復措置を求めることも認められています。
刑事上の措置
不正競争行為のうち、営業秘密の侵害には特に重い刑事罰が定められています。営業秘密を不正に取得・使用・開示した場合、10年以下の拘禁刑または2,000万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。
国外使用目的で侵害した場合は、個人に科される罰金の上限が3,000万円に引き上げられる点に注意が必要です。法人に対しても罰金刑が規定されており、類型によっては10億円以下の罰金が科される場合があります。
罰則の例
営業秘密を不正に持ち出したり漏えいしたりしたとして、実際に逮捕や起訴に至った具体例を、罰則の観点でまとめました。
1.かっぱ寿司の営業秘密を持ち出した事件
回転ずし大手「かっぱ寿司」運営会社であるカッパ・クリエイト株式会社の元社長が、営業秘密を持ち出した事件です。
競合の「はま寿司」に在籍していた際の仕入原価などの営業秘密データを無断で持ち出したとして、東京地方裁判所から同人へ懲役3年(執行猶予4年)、および罰金200万円の有罪判決が言い渡されています5。
また、同罪で法人としてのカッパ・クリエイト株式会社や、元従業員に対しても、東京地方裁判所は不正競争防止法違反の有罪判決を言い渡しています6。
2.ソフトバンク5G営業秘密事件
ソフトバンクの営業秘密に該当するネットワーク技術に関する情報を、転職先の楽天モバイル株式会社へ不正に持ち出したとして、元従業員が逮捕・起訴されました。
最高裁判所は不正競争防止法違反の有罪判決を下し、懲役2年(執行猶予4年)および罰金100万円を科しています7。
このように、営業秘密の侵害は実際に刑事責任が問われており、拘禁刑や罰金が科される重大な違反行為であることが分かります。
不正競争防止法違反の時効
不正競争防止法に基づいて損害賠償などを求める場合には、請求できる期間に制限があります1。原則として、不正競争行為と加害者を知った時から3年が経過すると、民事上の請求権は時効により行使できなくなります。また、行為の時点から20年が経過した場合も、請求は認められません。
たとえば、元従業員による営業秘密の持ち出しを把握していたにもかかわらず、長期間対応しなかった場合は損害賠償を請求できない可能性があります。被害に気付いた際は、証拠を確保したうえで早期に対応を検討することが重要です。
不正競争行為に対する救済措置
不正競争防止法では、不正競争行為によって営業上の利益や信用が侵害された場合、民事上の手続きで救済を求めることができます。主な救済措置は、以下のとおりです8。
1.差止請求
不正競争行為の停止や、将来の侵害の予防を求められます。あわせて、侵害品の廃棄や、不正行為に使用された設備の除却なども請求可能です。
2.損害賠償請求
不正行為によって生じた損害について、加害者に賠償を求められます。損害額の立証を補うための算定規定も設けられています。
3.不当利得返還請求
不正競争行為によって営業上の利益が侵害された場合には、侵害した者に対して不当利得の返還請求を行えます。
4.信用回復措置請求
営業上の信用が傷つけられた場合、謝罪広告の掲載や通知文の送付など、信用回復に必要な措置を求められます。
不正競争防止法と知的財産法との関係

不正競争防止法は、次のような知的財産関連の法律(※)と密接に関係しています。
※ここでの知的財産法とは、特定の法律名ではなく、知的財産に関する複数の法律の総称です。
- 特許法
- 商標法
- 意匠法
- 著作権法
これらの法律は、発明やブランド、著作物などの「権利」を保護する制度です。一方、不正競争防止法2は、周知表示の模倣や営業秘密の不正取得など、公正な競争秩序を乱す行為を広く規制します。
そのため、商標を登録していても、他社の周知表示と類似し混同を招く場合には、不正競争防止法に基づいて差止めが認められることがあります。知的財産権の有無だけでなく、競争上の適法性にも注意が必要です。
データを安全に管理するには「Square」
店舗運営では、売り上げや顧客情報を正確に管理できる仕組みを整えることが重要です。情報管理が不十分だと、トラブルの原因になったり、運営状況を正しく把握できなくなったりする恐れがあります。
たとえば、無料で導入できる飲食店や小売店向けのSquare POSレジには、従業員ごとにパスコードを設定したり、アクセス権限を割り当てたりできる機能があります。
このように、取引情報を安全に管理できる環境を整えることは、店舗運営の安定化やトラブル防止にもつながります。
SquareのPOSレジは高機能なのに初期費用0円
Square POSレジは業務効率化を実現する、高機能な無料アプリです。売上分析、在庫管理、スタッフ管理など、必要な機能が1つのアプリにまとまっています。業務をなるべくシンプルにしたい、小規模なアパレル店、美容院、理容室、サービス業に適しています。
まとめ
本記事では、不正競争防止法の概要や事例、営業秘密について解説しました。要点をまとめると、次のようになります。
- 不正競争防止法は、公正な競争秩序を守るための法律である
- 周知表示の模倣や著名表示の無断使用など、10の類型が規制対象となる
- 営業秘密は「秘密管理性・有用性・非公知性」の3要件を満たす必要がある
- 営業秘密の侵害は、民事責任だけでなく刑事罰の対象となる場合がある
- 損害賠償請求には原則3年の消滅時効がある
- 被害を受けた場合は、差止請求や損害賠償請求などの救済措置が利用できる
不正競争防止法は、事業者の信用や競争環境を守るために重要な役割を果たしています。特に営業秘密の管理はリスク対策の要となるため、日頃から適切な情報管理体制を整備することが大切です。
よくある質問
ここでは、不正競争防止法に関するよくある質問を紹介します。
どのような行為が不正競争防止法違反とみなされますか?
不正競争防止法では、公正な競争を妨げる次のような行為が禁止されています。
- 他社の商品名やロゴに似せて使用し、混同を生じさせる行為
- 著名なブランド名や表示を無断で利用する行為
- 他社商品の形状やデザインを模倣して販売する行為
- 営業秘密を不正に取得・使用・開示する行為
- 虚偽の情報を流し、競争関係にある事業者の信用を傷つける行為
- 不正な目的で他社と類似するドメイン名を取得・使用する行為
このように、競争の公正さを損なう行為が幅広く規制対象となります。
不正競争防止法の営業秘密とは何ですか?
営業秘密とは、事業者が適切に管理している情報のうち、事業に役立ち、一般に公開されていないものを指します。顧客名簿や製造ノウハウ、独自の営業手法などが代表例です。これらは、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 秘密として管理されていること
- 事業に役立つ情報であること
- 一般に知られていないこと
不正に取得・使用された場合には、損害賠償だけでなく刑事責任が問われる可能性もあります。
不正競争防止法違反に時効はありますか?
不正競争行為に基づく損害賠償請求には期限があります。原則として、損害および加害者を知った時から3年以内に請求しなければなりません。また、行為が行われた時から20年を経過すると請求できなくなります。
違反に気付いても長期間放置すると、法的措置が取れない場合があります。被害を把握した段階で、速やかに証拠を確保し、対応を検討しましょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2019年5月6日時点の情報を参照しています。2026年4月9日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
1:不正競争防止法(e-Gov法令検索)
2:不正競争防止法テキスト(経済産業省)
3:知っておきたい営業秘密(2024年6月、経済産業省)
4:平成22年(ワ)第7025号 不正競争行為差止等請求事件(2025年4月、裁判所)
5:かっぱ寿司前社長に有罪判決 ライバルはま寿司の営業秘密を不正入手(2023年5月31日、朝日新聞)
6:「かっぱ寿司」法人、二審も有罪 はま寿司の営業秘密取得(2024年10月9日、日本経済新聞)
7:ソフトバンク「5G」営業秘密持ち出し、賠償命令は元社員のみ250万円(2026年3月26日、日本経済新聞)
8:不正競争防止法違反被害への救済(2024年2月、特許庁)
