経営者なら知っておきたい「商標」について

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

経営者として理解しておきたい「商標」のルール。正しく理解することはビジネスチャンスにもつながります。一方で、他社の商標を侵害するなど商標法に違反してしまうと、大きなダメージを受けかねません。

今回は、経営者なら知っておきたい商標の基本について解説します。

そもそも「商標」とは

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「商標」とは、一体何なのでしょうか。

商標とは、商品やサービスの目印となるようなマークのことを指しています。最近では音などの新しいタイプの商標も導入されています。

商標は大きく5つに分かれます。

文字商標
文字だけで構成される商標です。カタカナ、ひらがな、漢字、ローマ字、数字などで構成されるマークです。
図表商標
図形だけで構成される商標です。
記号商標
幾何学模様などで構成された記号や家紋をモチーフにしたものが当てはまります。
立体商標
立体的なキャラクターや商品の形状などが当てはまります。
結合商標
文字、図形、記号の中から2つ以上を組み合わせた商標です。

2014年5月に商標法が改正され、企業が提供する商品やサービスの多様化に合わせて、以下の5つのタイプが新たに商標登録できるようになりました。

動き商標
ホログラム商標
色彩のみからなる商標
音商標
位置商標

たとえば、2017年には、日頃よく耳にする医薬品メーカーやカーメーカーの広告に使われている音楽が音商標として初めて登録されました。

参考:
新しいタイプの商標の保護制度について(特許庁)
音楽的要素のみからなる音商標について初の登録を行いました(特許庁)

商標登録は、企業にとって自社の商品やサービスを守るだけでなく、消費者が安心して商品やサービスを利用できるという、顧客側にもメリットのある制度といえます。

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商標法を守ることの大切さ

他社が登録している商標を無断で使用することは、商標法違反の行為です。商標法に違反した場合、何が起きるのでしょうか。

差止請求

商標権を保有している企業は、商標権を侵害しているような行為に対して、「差止請求」を行うことができます。差止請求では具体的に以下の請求が可能です。

1, 侵害行為をする者に対するその行為の停止の請求
2, 侵害の恐れのある行為をする者に対する侵害の予防の請求
3, 侵害行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な措置の請求

参考:商標権侵害への救済手続(経済産業省)

たとえば、自社が商標登録したお菓子と同じマークが入ったお菓子を販売しているケースを考えてみます。似たようなお菓子が商品棚に並ぶことで消費者も混乱してしまいます。この場合、その販売者に対して、該当するお菓子の販売を止めるように請求することができます。工場でそのお菓子を製造している場合は、工場の生産ラインを止め、材料を破棄するように請求することも考えられます。

このように商標の侵害をした場合、事業そのものが止まってしまう可能性もあります。他社の商標を侵害しないように、また自社の商標が侵害されないように十分注意しましょう。

お客様と取引先からの信頼を失う

もし、他社の商標権を侵害し、事業が一時的にストップしてしまった場合、お客様の気持ちはすぐに離れてしまいます。会社そのものの評判も落ちてしまうでしょう。

お客様からの信頼を獲得するまでには長い時間がかかりますが、信頼を失うのはほんの一瞬です。お客様同様、取引先からの信頼も失ってしまいます。

最近では、コンプライアンスを重視する会社が増えているので、法律に違反した会社とは取引きを止めるという会社もあります。時には、新たな取引先を一から探す事態になることもあります。

損害賠償請求や刑事責任の追求

商標権を保有する企業は、商標権を侵害している者に対して、損害賠償請求を行えます。また、商標法に違反したとして刑事責任を追求される可能性もあります。原則、10年以下の懲役か、1,000万円以下の罰金が課せられます。

他社の商標を侵害しないために

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商標権の侵害は、事業の停止や取り返しのつかないダメージにつながるおそれがあります。それでは、商標法に違反しないためにどのような点に気を付けるべきでしょうか。

(1)使用する前に十分な調査を行う

既に特許庁に登録されている商標は、下記の特許庁のウェブサイトから検索できます。

特許情報プラットフォーム

オリジナルだと思っているロゴマークでも、既に他社が登録している可能性があります。使用する前に、必ず事前に調査をしておきましょう。

(2)専門家に相談する

専門家に調査を依頼することもひとつの方法です。

商標法違反となるかどうかの判断には、専門的な知識や経験が必要なこともあります。リスクを確実になくすためには、商標法に精通した弁護士や弁理士などの専門家に相談しましょう。

(3)トラブルが大きくなる前に専門家に相談する

商標に関するトラブルは法廷闘争になる前に、通常はまず、相手方から警告書や通知書が届き、両社の話し合いが行われます。話し合いで解決しない場合に限り、裁判所で争うことになります。

裁判に発展すると、多額の費用がかかり、時間も労力もかかります。このため、商標のトラブルが生じた場合には、早期に話し合いで解決することが重要です。

警告書や通知書を受け取ったら、できる限り早めに弁護士や弁理士に相談しましょう。対策が早ければ早いほど、裁判を回避できる可能性が高くなります。

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執筆は2018年3月1日時点の情報を参照しています。
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