心の健康を意味する「メンタルヘルス」。従業員一人ひとりのQOL(Quality of life: クオリティ・オブ・ライフ)を考える上ではもちろん、事業運営という側面からもメンタルヘルスマネジメントは重要な経営課題といえます。
今回は経営者の視点から、メンタルヘルスマネジメントについて考えます。
働く人とメンタルヘルス
メンタルヘルスの不調と聞くと、うつ病や統合失調症といった言葉を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、それだけではありません。厚生労働省では、メンタルヘルス不調について「精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むもの」と定義しています。
厚生労働省の発表によると、労働者の自殺者数は年間で8,000人〜9,000人で前後しています。また、業務が原因の精神障害や自殺による労災認定が近年増加しています。
なぜ働く人たちのメンタルヘルスに、不調が増えているのでしょうか。背景には産業構造や価値観の変化の中で、将来や仕事に対して不安を感じる場面の増加などが挙げられます。
経営者にとって、メンタルヘルス対策を講じることは、リスクマネジメントであると同時に、従業員一人ひとりのやる気を引き出し、組織の活性化を図る方策にもなります。
ストレスチェックの実施
労働安全衛生法が改正され、2015年12月から「ストレスチェック」が義務化されています。これは従業員(パートやアルバイトを含む継続雇用中の労働者)が50名以上の事業所を対象とし、50名未満でも努力義務となっています。
ストレスチェックの目的は、従業員が感じているストレス度合いを客観的な数字で把握し、メンタルヘルスの不調が起こる前に予防策を講じ、従業員にとって働きやすい職場環境づくりをすることです。
参考:
ストレスチェック制度導入マニュアル(厚生労働省)
ストレスチェック制度関係 Q&A(厚生労働省)
業務の見直し
アンケートでは、仕事をする上でストレスだと感じるものとして「仕事量が多いこと」を挙げている人が多くいます。
参考:【アンケート調査レポート】あなたの仕事のストレスは何ですか?(アデコ株式会社)
従業員が現在担当している業務量が適切かどうか、目に見えない業務をかかえていないか、話し合う機会を設けることもメンタルヘルス対策につながるでしょう。
たとえば、日常的に業務を一緒に行っている複数名で、カジュアルな雰囲気の中で業務内容について話せる場を設けます。自由に発言できる雰囲気を作り出すため、最初は管理職を除いて実施することをオススメします。
そこで「日々のストレス要因」をいくつか挙げます。小さなことでも構わないので、シートに具体的に記入します。
たとえば、
・共有ファイルの名称が分かりづらくて探すのに時間がかかる
・同僚が離席した際の電話応対が困る
・ノルマ達成のプレッシャーが辛い
などです。
これらが出そろったところで、今度は管理職も加わってひとつずつ対策を話し合います。
重要な点は、管理する立場の人は、自分に不都合な内容があっても否定をせず、どうやったら良くなるかを考えることです。
そして、対策を実施するにあたって役割分担とスケジュールを決めます。詳しいルール作りや実施作業に時間がかかるなら、その日程や期限も決めます。期限が到達したら、その成果を確認するミーティングを再度行いましょう。
この話し合いによって、業務効率化が促進されることはもちろんですが、「どんなことにストレスを感じるのか」を職場で共有できることと、改善活動を通じて従業員側の問題意識が高まる効果が期待できます。
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自店限定カードを作る経営者のメンタルヘルスマネジメントは?
組織のトップである経営者は、ストレスにさらされることも多いと考えられます。経営者自身はどのようにメンタルヘルスをマネジメントしたら良いでしょうか。
まずはストレスから自分を解放する手段を知ることが大事です。睡眠をとる、お酒を飲んだり美味しいものを食べたりする、ランニングなどのスポーツをする、家族との時間を持つなど、人によってさまざまでしょう。
趣味がないという経営者は、自分には縁がないと思っているジャンルをあえて試してみると、意外に夢中になれるかもしれません。
また、経営者同士での交流を深めることも方法のひとつです。経営者ならではの悩みを打ち明けたり、アドバイスをし合ったりということが、ストレス発散につながるかもしれません。「経営者に共通する悩み『孤独』と向き合うには」の記事もぜひ参考にしてみてください。
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執筆は2018年2月28日時点の情報を参照しています。
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