【商いのコト】指導するのは仕事の姿勢のみ、技術に口は出さないーフラミンゴ

成功も失敗も、すべては学びにつながる。ビジネスオーナーが日々の体験から語る生の声をお届けする「商いのコト」。

つなぐ加盟店 vol. 40 フラミンゴ 三浦桂さん

美容室フラミンゴのオーナーである三浦桂さんは、『一人ひとりのお客様を大切にする』ことを信念に、お客様に徹底的に寄り添うことで信頼を獲得してきた。

その結果としてフラミンゴに来店するお客様のうち、約8割がリピーターとして戻ってくるという驚異的な数字を出している。これは三浦さんだけでなく、スタッフ全員に三浦さんの仕事への姿勢が浸透していなければ達成できない数字だろう。三浦さんはスタッフをどのように育成しているのだろうか。

前編では、フラミンゴをはじめたきっかけや三浦さんの仕事に対する考え方を紹介した。後編では、スタッフの育成に対する三浦さんの考えや、福生の魅力、そして今後の展望について紹介する。

前編はこちら

スタッフには親の気持ちで厳しい言葉を

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オープンから10年が経った今では、三浦さんはフラミンゴに入って9年目と7年目になる2名のスタイリストに若手の育成を任せているという。店舗の経営で悩むポイントのひとつとしてスタッフの育成が挙げられるが、三浦さんはどのような方法で育成をしてきたのだろうか。

「アシスタントの頃は技術に関しても厳しく指導していましたが、スタイリストになってからはあまり口を出す事がなくなりました。その代わりに、仕事に対する姿勢についてはかなり厳しく指導することが多いです。特に、お客さんへの接し方が作業になっているときには注意しますね。たとえば、お客さんが1人で待っているのに誰も声をかけないとか。お客さんにとって気持ちの良い空間を作るためにはどうしたらいいのかという視点で仕事をしていれば、一声かけるといった行動をするはずです。僕はそういうことをスタッフ自身の頭で考えられるようになってほしいんです。」

指導はあくまでも仕事の姿勢に対してのみで、技術には口を出さない。三浦さんがこのスタンスを貫くのは、スタッフに対する愛情と尊敬の念があるからだ。

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「スタイリストになったスタッフに対して技術の指導をするのは失礼だと思うんです。お客さんを担当している時点で技術面は既に一人前なはずだし、自分の力でも成長できる。僕の役目は、スタッフがもし今後独立してお店を開いたときに、食いっぱぐれないようにしてあげることです。そのためには、技術だけじゃだめ。親の気持ちになってつい厳しい言葉ばかり投げてしまいます。ありがたいことに素直なスタッフばかりなので、ちゃんと僕の言葉に耳を傾けてくれています。」

“育成”という言葉を聞くと、どうしても教える側と教えられる側という上下関係がはっきりしてしまう印象があるが、三浦さんの育成方法はスタッフに対する尊敬を前提としている。その気持ちがスタッフに届いているからこそ、三浦さんの指導をしっかりと受けとめられるのだろう。

「今メインで髪を切っているスタッフは若いので、トレンドにも敏感です。僕は彼らに比べるとトレンドに疎い部分もあるので、日々刺激を受けています。お客さんとのコミュニケーションを一生懸命取る中で仕事への姿勢もどんどん良くなっているので、本当に頼もしいです。」

寛容であり人情味溢れる街“福生”

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新しく何かに挑戦するのに適した街だという理由から福生という地を選んだ三浦さん。10年間福生で過ごす中で、福生が持つ寛容性をしみじみと感じてきたという。

「福生の好きなところは、いろいろなタイプの人が共存しているところですね。分かりやすい例で説明すると、髪の色が派手なやんちゃなお兄ちゃんと、福生にずっと住んでいるおばあちゃんが普通に話しているんです。他の地域ではなかなか見られない光景ですよね。うちの美容室でもそういったシーンに出くわすことがよくあるのですが、別け隔てなくコミュニケーションが取れる街って素敵だなと思います。」

また、三浦さんは福生に住む人々の気質の共通点についても語ってくれた。

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「志が近い人達が集まっている感じがします。音楽をやるためにバイトをしている人とか、絵を描きたいという人とか。商売商売していないというか、『みんなに喜んでもらえたら、それでいい』という感じの人が多い気がしますね。人間くさい人が多くて好きな街です。」

“寛容であり人情味溢れる街”
三浦さんは福生という地域をそう説明した。たとえ泥臭くても一人ひとりのお客様を大切にする姿勢や、スタッフに愛情を持って厳しく指導する三浦さんの姿は、まさに人情味溢れる街を象徴するものなのかもしれない。

人のためにできることをやりたい

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「人のためになることをしたいですね。今考えているのが、福祉施設で高齢の方の髪を切ることです。おばあちゃんやおじいちゃんが可愛く、かっこよくなって少しでも喜んでくれたら嬉しいです。あとは、子育て中のお母さんに『失敗しない子どもの前髪の切り方』を教えてあげたい(笑)。自分達にできることは積極的にやっていきたいです。」

三浦さんが今後の展望について語ってくれた。仕事に対するプロ意識の高さは、誰もが見習うべきものだろう。“一人ひとりのお客様を大切にする”ことは、商いをする人なら誰もが心がけているはず。その姿勢を貫く強さが、お客様を掴んで離さない強力な武器になることを三浦さんは教えてくれた。

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フラミンゴ
東京都福生市福生554-10-101
Tel:042-552-5115

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(つなぐ編集部)
写真:小沼祐介