【商いのコト】ただひたすら目の前のお客様を大切にする ー フラミンゴ

成功も失敗も、すべては学びにつながる。ビジネスオーナーが日々の体験から語る生の声をお届けする「商いのコト」。

つなぐ加盟店 vol. 40 フラミンゴ 三浦桂さん

どんな商いにおいても基本である、“お客様を大切にする”こと。

時には、当たり前に思えるその基本を徹底することが他の店にはない大きな強みになる。今回は、美容室フラミンゴのオーナーである三浦桂さんにお話を伺った。三浦さんがお客様を大切にするために心がけているのはどのようなことなのだろうか。

前編では、フラミンゴをはじめたきっかけや三浦さんの仕事に対する考え方を紹介する。

後編はこちら

一人ひとりのお客様を大切にする店をつくりたい

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「立ったままで大丈夫ですよ。普段立ち仕事をしているので、むしろこっちの方が落ち着きます(笑)。」

インタビュー冒頭にそう語ったのは、美容室フラミンゴのオーナーを務める三浦桂さん。赤と青のネオン管がアメリカンテイストを醸しだす店内で、オープン当時の話を聞かせてくれた。三浦さんがフラミンゴをオープンしたのは、今から10年前。妻の旭さんと2人で始めた美容室だった。

「2人とも独立志向が強かったので、自分達のお店をはじめるのは自然な流れでした。僕はかつてチェーン店で働いていたことがあったのですが、『1日に何人カットしたか』という数字が気になって、なかなかお客さんのことを考えられなかったんですよね。だから、自分でお店を持つときには『一人ひとりのお客さんを大切にする店』にしようと心に決めていました。」

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三浦さんが店を構えたのは、異国情緒溢れる店が立ち並ぶ地域として有名な東京都・福生(ふっさ)市。選んだ理由は、やりたいことを受け入れてくれる風土があったからだと語る。

「福生に住む人の多くは外からやってきます。だから外から来る人に寛容だし、挑戦をしようといろんな人が集まる。新しく店をはじめるにはぴったりの場所だと思ったんです。」

次に切るチャンスをいただけるかどうかがすべて

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フラミンゴをオープンした当初、お客様の数はまばらだった。お店を経営するためにはより多くのお客様に来てもらわなければならない。三浦さんは、ただひたすら目の前のお客様を大切にすることに心血を注いだ。

「自分の力を100%出し切ることが大事なのではありません。次に切るチャンスをいただけるかどうかがすべて。髪を切らせていただいたお客様には必ず『もし少しでも気になるところがあったら教えてください。切り直させていただきます。』とお願いしていました。実際にご連絡をいただき、切り直すことも何度もありました。泥臭いかもしれませんが、この積み重ねです。うちは宣伝費をほとんど使っていませんが、少しずつお客様に来ていただけるようになったんです。」

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三浦さんいわく、フラミンゴに来店するお客様のうち約8割がリピート客として戻ってくるという。以前働いていたチェーン店では4割程度が褒められる数字だというから、その数字の高さが伺える。また、毎月30件ほどの新規顧客のほとんどが既存のお客様の紹介だという。三浦さんがいかにお客様から信頼されているかが分かる結果だろう。三浦さんは美容師という職業に対する率直な思いを聞かせてくれた。

「誤解を恐れずに言うと、僕は美容師を詐欺めいた職業だなと思うことがあるんです。本来であれば、お客さんが満足してはじめて対価としてのお金をいただくものですよね。でもお客さんは、満足のいくヘアスタイルになるかどうか事前に知ることができない。不安な気持ちで来店されるわけですよ。場合によっては、サービスに満足をしていなくても、それを口に出さずにお金を支払うこともある。美容師はお客さん以上に『満足していただける仕事ができたか』と不安な気持ちで仕事に臨まなければならないと思うんです。お金をもらうのだから、お客さんの理想に限りなく近づける努力をするのは当然のことです。」

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三浦さんの祖父は職人だった。その影響もあってか、父親から自分で商売をすることの厳しさを昔から教えられていた。頭でなんとなく分かっていたことが、実際に自分の店を持ったことではっきりと身に染みるようになったという。

「親から『自分の店を持つっていうのは、大変なことだぞ』と何度も言われて反発心を覚えたこともありました。でも、いざやってみると本当に大変なんですよね(笑)。一番辛いのは、お客さんが離れてしまうこと。現実を受け止めなければいけないですからね。それでも、お客さんに『ありがとう。また来るね。』と笑顔で言っていただけたときの喜びは、辛さに勝る。だから今日まで続けてこれたのだと思います。」

後編では、スタッフの育成方法や福生の魅力、そして今後の展望について伺った。
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フラミンゴ
東京都福生市福生554-10-101
Tel:042-552-5115

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(つなぐ編集部)
写真:小沼祐介