創業融資とは?種類やメリット、申請の流れなどを徹底解説

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

創業融資は、「新たにビジネスを始めたいが資金が少ない」という人にとって有効な資金確保の手段です。創業融資の種別やメリット、実際の選択肢となり得る4タイプの創業融資、申請の流れなどを解説します。起業・独立などでビジネスを立ち上げる前に創業融資について理解しておき、安定した経営のスタートを切れるようにしておきましょう。

📝この記事のポイント

  • 創業融資は、ビジネスの創業前や開業後数年間に設備資金・運転資金などを調達するための融資制度
  • 日本政策金融公庫の創業融資は、担保・保証人なしでも利用でき、ゆとりのある返済期間が特徴
  • 地方自治体などの「制度融資」による創業融資は、低めの利率、信用保証料の一部補助などのメリットがある
  • 国や地方自治体の創業融資は利率が低い傾向があるが、申請や審査に時間がかかる点を考慮する必要がある
  • Square 資金調達は最大3営業日で審査が完了し、急なニーズにも対応可能
目次


創業融資とは?

創業融資とはその名の通り、新たにビジネスを始める事業者に必要な資金を融資する制度のことを指します。

起業・開業にあたっては仕入れや人件費、店舗の準備費用など、まとまった資金が必要です。こうした費用をすべて自己資金でまかなうのは簡単ではなく、金融機関など外部から資金調達して準備することがあります。企業や店舗、個人事業主などが資金を借り入れる方法のうち、創業融資は創業の前後の時期限定で利用できる融資で、国や地方自治体などが設けている制度です。

創業融資として利用できるのは、大きく分けて次の2種類の仕組みです。

  • 日本政策金融公庫の「創業融資」
  • 自治体・金融機関・信用保証協会が連携する「制度融資」

いずれも公的機関が関係した制度なので、初めての起業・開業でも安心して利用しやすいのがポイントです。国や地方公共団体による創業融資の背景には、後継者不足による廃業の増加などが問題になるなか、必要な資金を借りやすくして創業者・起業家を支援し、ビジネスの誕生を支援する目的があります。

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創業融資の種類

実際に創業融資を活用する前に、2種類の創業融資のそれぞれの特徴を理解しておきましょう。

日本政策金融公庫の「創業融資」

国の金融機関である日本政策金融公庫の「創業融資」は、利用しやすい柔軟な仕組みで設計された融資制度で、代表的な新規開業資金の主な特徴は次の通りです1

  • これから事業を始める人から、創業後7年以内の人までが対象
  • 融資限度額は7,200万円
  • 原則、担保・保証人なしで利用可能
  • 10〜20年の長期で返済OK

日本政策金融公庫の創業融資にはいくつかのタイプがあり、すべてが上記の特徴を備えているわけではありませんが、ビジネスの支援のために創業期に利用しやすい仕組みになっていることは確かです。

自治体・金融機関・信用保証協会が連携する「制度融資」

「制度融資」とは、都道府県や市区町村などの地方自治体が、金融機関およびそれぞれの信用保証協会と連携して運営している融資制度のことです。制度融資の一種として、創業期向けの融資もあります。

各自治体は、地域経済の活性化や雇用の増加などを目的として制度融資を運営しています。万が一、融資を受けた債務者が返済できなくなった場合に備え、「公的機関である信用保証協会が保証人として金融機関に返済する」という仕組みにより、金融機関から融資を受けられるようになっています。制度融資の特徴は次の通りです2

  • 制度融資を申し込むと、自治体が金融機関に紹介してくれる
  • 各制度によって、融資限度額、利子、返済期間などは異なる
  • 自治体によって、利子・保証料などの一部を負担してくれる場合もある

制度融資は一般的に多額の資金の調達には不向きといわれますが、低めの利率などは魅力的で、創業融資としても利用しやすい仕組みが用意されています。

創業融資を利用するメリット

民間の金融機関から融資を受けようとすると、経営実績があまりない事業者にとっては簡単ではなく、創業資金の調達は開業の大きなハードルになりがちです。一方、公的な制度である創業融資なら開業・起業前後の時期でも借り入れができる可能性が高く、さまざまなメリットが期待できます。

運転資金を確保できる

創業融資を利用するメリットとして特に大きいのが、運転資金を確保しやすいことです。

運転資金とは、開業にこぎつけた後にビジネスが軌道に乗るまでの3〜6カ月程度のコストに充てるための資金を指します。たとえば、開店用に設備資金を準備して店舗や備品をそろえて店舗をオープンしたとしても、十分な利益が出るようになるまでは家賃や光熱費、人件費、宣伝費などの支出が収入を上回ってしまうことが決して珍しくありません。開業後しばらくの間にかかるそういったコストをまかなう資金が運転資金です。

開業前に用意しておくべき運転資金額は業種・業態によって異なりますが、数百万円以上のまとまった金額になることが珍しくありません。「設備資金には貯蓄や補助金・助成金を活用できそうだが、運転資金までは手が回らない」という場合に、創業融資の活用を検討することも可能です。

予想外の出費に対処できる

どれだけ入念に準備していても、ビジネスに予期せぬ出費はつきものです。想定するコストに基づいて開業資金を調達していたはずが、たとえば次のような事態が起きた場合、資金不足に陥ることも考えられます。

  • 配達用の車両や作業用の機器が故障した
  • 世界情勢の変化で原材料価格が急激に高騰した
  • 従業員のトレーニングに思ったより時間とコストがかかる
  • 集客が伸び悩み、広告費が多くかかってしまう

こうした予想外の出費に対処する資金としても、運転資金を最低限ではなく余裕を持って準備するために、創業融資をあらかじめ申し込んでおくと安心です。

資金繰りのショートのリスクを低減できる

ビジネスを運営するうえで特に避けたいのは、資金繰りがうまくいかずに閉店・倒産してしまうことです。足りない資金を補うために高利子・短期返済の融資を利用すると、ビジネスで利益が出るようになっても借り入れの返済に追われ、新商品の開発やサービスの拡充にまで資金をかけられなくなる可能性もあります。

その点、創業融資は利子や信用保証料が高くなく、返済期間が長いものもあることから、余裕を持って返済できることがメリットです。自身のやりたいことを形にする新規ビジネスを立ち上げる以上、現実的な資金繰りを想定し、資金ショートするリスクを低減するために創業融資を活用するのは賢い開業方法といえるでしょう。

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創業融資の4つの選択肢

実際にこれから創業する人や創業したての人が申し込むことができる創業融資を4例挙げ、対象者や融資限度額などの特徴を解説します。

新規開業・スタートアップ支援資金による創業融資

日本政策金融公庫による「新規開業・スタートアップ支援資金」は、幅広い人を対象にビジネスチャンスを広げる創業融資です。新規開業・スタートアップ支援資金の概要は次の通りです。

【新規開業・スタートアップ支援資金の概要】

対象 新規開業する人から、開業7年以内の人まで
用途 設備資金、運転資金
融資限度額 7,200万円(運転資金はそのうち4,800万円まで)
担保・保証人 新規開業者、または開業後に税務申告を2期終えていない人は、 原則として無担保・無保証人で利用可能
年間の利率 基準利率が基本
※条件により特別利率あり
返済期間 設備資金:10年
運転資金:20年
※5年以内の返済据え置き期間あり

新規開業・スタートアップ支援資金は、次のような条件に1つでも当てはまる場合には特別利率で創業融資を受けられることがあります。

  • 女性
  • 若者(35歳未満)
  • シニア(55歳以上)
  • 特定外国人起業家として創業する人
  • 認定された創業セミナーなどを受けて創業する人
  • 地域おこし協力隊の任期2年目以降、または任期終了後1年以内の人で、活動地域で創業する人
  • 地方にUターンして創業する人
  • 新規性のある技術・ノウハウがある人
    など

このように、新規開業・スタートアップ支援資金はさまざまな人に対して優遇措置のある創業融資で、ビジネスの活性化に役立てられます。上記の条件に当てはまらない人にとっても、民間の融資と比べて余裕のある返済プランや低い利率によって、安定したビジネスの経営が見込めます。融資限度額が大きいことも、この新規開業・スタートアップ支援資金の特徴です。

なお、かつて日本政策金融公庫が提供していた「新創業融資制度」は2024年3月で終了し、現在は新規開業資金として「新規開業・スタートアップ支援資金」が提供されています。誤って古い情報に基づいて申し込みの準備をしないよう、必ず最新情報を確認しましょう。

生活衛生新企業育成資金による創業融資

同じく日本政策金融公庫が提供する「生活衛生新企業育成資金」は、「生活衛生関係の事業」という限られたビジネスを対象とした創業融資です。

生活衛生関係とは、飲食業、食品製造業、美容・理容業、宿泊業、社交業、クリーニング業、公衆浴場、興行場などを指します。該当するビジネスの創業を考えている場合、下記に挙げる条件などに当てはまれば、生活衛生新企業育成資金の対象となる可能性があります。

【生活衛生新企業育成資金の概要】

対象 生活衛生関係で新規開業する人から、開業7年以内の人まで
用途 設備資金
融資限度額 7,200万円~4億8,000万円
担保・保証人 要相談
年間の利率 基準利率
※条件により特別利率あり
返済期間 20年以内
※5年以内の返済据え置き期間あり

先述の「新規開業・スタートアップ支援資金」との大きな違いは、対象業種が限られていることに加え、運転資金の融資は受けられないものの融資限度額が大きいことが挙げられます。高額な設備投資が必要な生活衛生関係のビジネスに向いている創業融資といえるでしょう。

新事業育成資金による創業融資

新事業育成資金」も日本政策金融公庫が提供する創業融資の1つです。新事業育成資金は、経済成長や雇用創出に貢献する高い成長性が見込まれる中小企業が対象で、かなり高額の融資を受けることもできます。新事業育成資金の詳細は次の通りです。

【新事業育成資金の概要】

対象 次の3条件すべてに当てはまる人が対象
- 創業から7年以内
- 事業の新規性・成長性の認定を審査会から受けた人、または技術などに新規性がある事業を行う人
- 日本政策金融公庫が経営指導を継続しながら、円滑な事業の遂行が可能な人
用途 設備資金、長期運転資金
融資限度額 7億2,000万円
担保・保証人 要相談
※特許権などの知的財産を担保にできる場合もある
年間の利率 条件により特別利率を適用
返済期間 設備資金:20年以内(そのうち返済据え置き期間5年以内)
運転資金:7年以内(そのうち返済据え置き期間2年以内)

新事業育成資金を活用すると大規模な施設建設を伴う事業なども実現できると考えられ、ビジネスの未来が大きく広がりそうです。その分、審査や要件が厳しいところがありますが、経済価値のポテンシャルが高い革新的な技術やソフトウェアなどを持つ新規事業であれば、創業融資を得る可能性は十分といえるでしょう。

制度融資による創業融資

都道府県や市区町村が関わる「制度融資」は、自治体ごとに制度内容が大きく異なります。ここでは東京都を例に「中小企業制度融資」を取り上げます。東京都中小企業制度融資には、次のような創業融資3が用意されています。

【東京都中小企業制度融資の創業融資】

対象 東京都内に事業所があり、税金の滞納がなく、次の3条件のうちいずれかに当てはまる場合
- これから創業する具体的な計画を持つ個人
- 創業日から5年未満の中小企業や組合
- 分社化しようとする会社(または分社化から5年未満の中小企業)
用途 設備資金、運転資金
融資限度額 3,500万円
担保・保証人 連帯保証人:個人は原則として不要、法人は必要となる場合あり
担保:原則として融資の合計残高による
年間の利率 2.1~2.6%以内、または 1.9~2.4%以内
条件により創業支援特例あり(0.4%優遇)
返済期間 設備資金:10年以内(そのうち返済据え置き期間1年以内)
運転資金:7年以内(そのうち返済据え置き期間1年以内)
その他 信用保証料の補助:3分の2

日本政策金融公庫の創業融資と異なり、「信用保証料の補助」が受けられることがあるのが制度融資の特徴です。東京都の中小企業制度融資の場合、上記に挙げた創業融資にプラスして「スタートアップ支援」という融資を受けることも可能です。

ここに挙げたのはあくまで東京都の例です。これから創業する予定の人は、事業を始めようと計画しているエリアの制度融資を調べてみましょう。

創業融資の利用・申請の流れ

創業融資を受けるには、相談や申し込み、書類提出などの手続きが求められます。国と自治体、それぞれの創業融資の申請フローを確認しておきましょう。
Business Checking vs Business Saving

日本政策金融公庫の申請フロー

日本政策金融公庫の創業融資を受けるためには、次の手順で手続きを進めます4

1 日本政策金融公庫へ相談 電話、オンライン、支店窓口のいずれかで相談
2 準備 創業計画書、設備投資の見積書、履歴事項全部証明書、運転免許証など、必要書類を確認のうえ電子データで用意
3 創業融資の申し込み オンラインで申請
4 面談 創業融資の使途、事業計画などを確認
事業所(予定地)を訪問
※場合によりオンライン面談も可
視察や面談の内容から融資の可否を判断
5 融資決定 契約手続き後、申請者の指定の金融機関口座に融資額が振り込まれる

創業融資の申請は提出する書類が多く、準備に時間や手間がかかることを踏まえ、計画的に書類作成・手配を進めましょう。

自治体の制度融資の申請フロー

自治体の制度融資は、国の創業融資の場合とは申請フローが少し異なります。制度融資の一般的な申請手順は次の通りです5

1 準備 信用保証委託申込書、印鑑証明書、所得税の確定申告書の写しなど、必要書類を確認のうえ用意
2 地方自治体に創業融資のあっせんを申し込む 制度融資(融資あっせん制度と呼ばれることもある)について、自治体や信用保証協会に問い合わせ、手続き方法を確認のうえ申請
3 指定金融機関に創業融資を申し込む 地方自治体が交付したあっせん書を受け取り、金融機関の窓口で手続き
※信用保証協会へ保証申し込みも、この時に同時に行うことがある
4 保証審査 信用保証協会による審査
視察や面談が伴うことがある
5 融資決定 信用保証協会から保証承諾の通知が金融機関に届いた後、申請者の指定の金融機関口座に融資額が振り込まれる

制度融資の申し込み方法は、各自治体・金融機関などにより異なります。申請から融資額の入金までにかかる期間も1〜3カ月と、制度によってまちまちです。たとえば東京都の創業融資を受けたい場合は、まず東京保証信用協会の最寄りの支店に相談し、申請の手順や必要書類などを確認しましょう。

創業後の資金調達にSquare

国や地方自治体の創業融資はビジネスの大きな助けになりますが、手続きに時間がかかるため、スケジュールに余裕があるときでないと難しいかもしれません。開業後、「資金調達を急ぎたい」「少額だけ調達したい」といったケースでは、キャッシュレス決済サービスのSquare(スクエア)が提供する資金調達サービスが便利です。

Square 資金調達には次のような特徴があります。

  • 利用申し込みはオンラインで完結
  • 利用申し込みから審査完了までは最大3営業日
  • 承認後、最短翌営業日に入金

申込手続きのために窓口などに足を運ぶ必要がないことから、創業直後の忙しいタイミングでもスムーズに資金調達が可能です。「壊れた備品を買うために30万円だけすぐ必要」「急な仕入れのために10万円調達したい」といった場合にも、Square 資金調達の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

カンタンでスピーディーな資金調達

お申し込みはオンラインで簡単、面倒な書類提出は不要。お申し込みから入金まで最短4日。速くて簡単な、ビジネスの新しい選択肢です。

まとめ

国や地方自治体が運営する創業融資は、まだ実績がない新規ビジネスでも申し込みやすく、低い利率や余裕のある返済期間など、開業・起業を考える人にとって多数のメリットがあります。

創業融資を賢く活用することで、設備資金を潤沢に使えたり、安心できる額の運転資金を用意できたりと、創業後のビジネス運営に余裕を持たせることも可能です。ただし、これらの創業融資の申請から入金までには時間がかかることを念頭に置き、Square 資金調達のようなフレキシブルなサービスも上手に使いながら、ビジネスを軌道に乗せていきましょう。

よくある質問

初めて創業融資を利用する場合に気になる点や覚えておきたい点を、「よくある質問」としてまとめました。創業融資申し込みの参考にしてください。

創業融資のメリットはなんですか?

国や地方自治体の創業融資を活用するメリットとして、特に意識しておきたいのが「運転資金の確保」です。補助金や助成金は創業前後の設備資金の調達に便利ですが、創業融資は創業後のビジネスを支える運転資金の準備に使えるものもあります。

さらに、「予想外の出費への備え」や「資金ショートのリスク低減」のためにも創業融資が役立ちます。

創業融資にはどんな選択肢がありますか?

国の政策金融公庫が運営する創業融資には、「新規開業・スタートアップ支援資金」「生活衛生新企業育成資金」「新事業育成資金」などがあります。

その他、都道府県や市区町村などの自治体と金融機関、信用協会が連携して提供する「制度融資」にも、創業期のビジネスのための融資が用意されています。

創業融資にあたって面談はありますか?

政策金融公庫の創業融資の申請後は、対面またはオンラインでの面談が行われます。地方自治体の制度融資の場合は、利用初回のみ面談が行われるケースもあります。それぞれの創業融資の手続き方法をしっかり確認したうえで申請しましょう。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2019年10月17日時点の情報を参照しています。2026年1月20日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。