はじめての起業 〜キッチンカー編〜

この数年、副業や複業といった言葉が頻繁に聞かれるようになりました。自分でビジネスを立ち上げたい、好きなことに挑戦したいと考えている人も多いのではないでしょうか。

いざ起業しようと考えたときに、案外知らないこと、分からないことにぶつかることがよくあります。今回は最近増えているキッチンカーに興味がある人向けに、キッチンカーをはじめるのに必要な知識をQ&A形式でお届けします。

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Q:キッチンカーはどこでも好きな場所ではじめられるのでしょうか?

A:保健所の営業許可の取得が必要です。

キッチンカーは固定の店舗を持つのに比べて、初期費用がかからず、はじめやすいというメリットがあります。しかし、キッチンカーもレストランやカフェと同様、食品を提供する飲食業にあたり、管轄の保健所からの営業許可が必要です。

営業許可の取得にあたって、まずは開業したいキッチンカーが該当する種類を把握しておきましょう。移動販売における飲食業の分類は管轄の保健所で異なります。たとえば東京都の場合、「調理営業」(飲食店営業、喫茶店営業、菓子製造業など)と「販売業」(食料品等販売業、乳類販売業など)に大きく分けられています。

丼ぶりやカレーなど車内で調理した商品を販売するのか、包装されたサンドイッチを仕入れて販売するのかなど、開業するキッチンカーがどの種類に当てはまるのかを保健所に相談し、事前確認した上で、それぞれの営業許可を取得しましょう。

移動販売の場合、複数の市区町村や都道府県にまたがって営業することも考えられます。その場合、営業範囲をカバーする全ての保健所で営業許可を取得する必要があります。

Q:自宅のキッチンで作ったお弁当をオフィス街で売っても大丈夫ですか

A:作る場所にも営業許可が必要です。

キッチンカーの中で調理をせずに、自宅で作ったものを売る場合も、食品をお客様に提供する以上は保健所の営業許可が必要です。飲食店の厨房を借りたり、移動販売をしている仲間と共同で厨房がある施設を使用したりする場合も同様です。

保健所は厨房の設備が基準を満たしているかどうかを、提出された図面や実地での確認検査を通して確認します。手洗い用のシンクと食器などを洗うシンクの両方必要など、さまざまな要件が定められていますので、通常の家庭用のキッチンでは営業許可の取得が難しいと考えられます。

参考:
施設基準(自動車営業)(東京都福祉保健局)
施設基準(一般営業)(東京都福祉保健局)

Q:キッチンカーに調理師免許は必要ですか?

A:調理師免許は必要ありませんが、食品衛生責任者を置く必要があります。

飲食業を営むには、必ず食品衛生責任者を1名以上置く必要があります。一人でキッチンカーを経営する場合は、経営者本人が食品衛生責任者を務めることになります。

食品衛生責任者になるには、各保健所が行なっている講習に参加しましょう。また、調理師免許や栄養士免許を持っている場合は、講習に参加しなくても、食品衛生責任者になることができます。

参考:食品衛生責任者(東京都福祉保健局)

Q:キッチンカーで売るお弁当も軽減税率の対象ですか?

A:お客様が持って帰る場合は軽減税率の対象になります。

軽減税率の対象になるかどうかは、判断が難しいケースが多々あります。お客様がお弁当を購入して、近所の公園やオフィスで食べる場合は飲食料品の販売として、税率は8%です。

もし、お客様が食事をするためにベンチを設置していて、そこでお客様が買ったお弁当を食べる場合は、外食にあたり、軽減税率の対象外(10%)になります。

お客様が買ったお弁当を持ち帰ってオフィスで食べるのか、ベンチで食べるのかは判断がしにくいでしょう。お会計をする際にどこで食べるのかを確認する、もしくは「ベンチで食べる場合はお申し出ください」という張り紙をするのが方法として考えられます。

執筆は2019年10月8日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash