生産性向上にもつながる?リカレント教育とは

人生100年時代を見据えて、大人が学び直すリカレント教育が徐々に広がりを見せています。リカレント教育に関係するのは教育機関や個々人だけではありません。リカレント教育を積極的に推進することで、企業全体の生産性が向上する可能性があります。

今回は、企業がリカレント教育に取り組むべき理由について紹介します。

リカレント教育とは

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リカレント(recurrent)は繰り返しや循環を意味し、リカレント教育とは社会人になった後でも、生涯に渡って学びを繰り返すことを指しています。1970年代に経済協力開発機構(OECD)が提唱した生涯教育のかたちの一つです。

代表的なリカレント教育の一つに大学の社会人入学制度がありますが、一度キャリアを中断して大学に入学することや、仕事を続けながら夜間コースに通うことは簡単なことではありません。

少子高齢化による労働力不足や人生100年時代を見据えて、政府もリカレント教育の普及に向けて制度整備に着手しています。

参考:社会人の学び直し普及、首相が助成制度拡充を指示(2018年3月28日、大学ジャーナル)

そして政府はリカレント教育の実践は個人だけでなく、企業の成長にもつながるとしています。たとえば、経済産業省「人生100年時代の社会人基礎力」と「リカレント教育」についてでは、以下のように説明しています。

「キャリアオーナーシップ」を持つ個人は、主体性を向上させ、自らの「持ち札」を増やすことでキャリアを切りひらいていく。一方で、企業や組織は、効果的な人材確保を通じて多様な人材が活躍する場を提供するプラットフォームとなることではじめて成長し続けることが可能になる。

参考:「人生100年時代の社会人基礎力」と「リカレント教育」について(経済産業省)

少子高齢化が進むことで若手人材の減少が予想される中、企業にとってリカレント教育は十分メリットがあるといえるでしょう。

リカレント教育を導入するメリットとは

リカレント教育の導入が、企業にとって人材の確保につながる可能性があるのは前述の通りですが、その他にもいくつかのメリットがあります。

競争力の強化
教育プログラムやEラーニングの導入など、社内にリカレント教育を導入することは企業としての競争力を強化することにも役立ちます。学びを継続させることによって優秀な社員が育つ環境をつくることができれば企画力や営業力の強化、生産性の向上などが期待できます。

従業員の定着率向上
スキルアップを目的に転職を希望する従業員も少なくありません。企業が成長の機会を提供していないことが、退職者を生み出すリスクにもつながっていると考えられます。リカレント教育を導入し、従業員が成長を実感できる環境を提供することができれば、定着率の向上も期待できます。

生産性の向上
新しい知識や技術を身につけた従業員が増えることは、自社の製品・サービスの品質を向上させることにもつながります。さらに従業員一人あたりのパフォーマンスの底上げも見込めるため、生産性の向上を期待することもできます。近年はAIやロボット技術の導入、IoTの推進など大きな変化が訪れている業界は少なくありません。変化の波に乗り遅れない優秀な人材を自社で育てるためにも、リカレント教育は有用だといえるでしょう。

復職支援
リカレント教育は育児や病気、介護などで長期間職場を離れた従業員の復帰にも役立ちます。復職したら、社内体制が変化して以前のように活躍できなくなってしまったなどの状況が生まれないように、スムーズな復職にも有用だと考えられます。

長期的なキャリアアップ
リカレント教育を導入することで、従業員にとっては長期的にキャリアアップを目指せるというメリットがあります。ITやマネジメントなど複数の分野で教育プログラムを提供できれば、従業員は自分の希望するキャリアに合わせてスキルを伸ばせます。

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リカレント教育を導入する際に準備しておきたいこと

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中小企業がリカレント教育を導入する際は、準備しておきたいことがいくつかあります。

柔軟な勤務形態を導入する
リカレント教育を取り入れるためには、柔軟な勤務体系の導入が欠かせません。スキルアップに熱心な従業員の中には大学院やビジネススクールへの通学を希望するケースもあると考えられます。短時間勤務やフレックスタイム、リモートワークなど、柔軟な勤務体系を整え、学業と仕事の両立をサポートすることで、人材の流出の防止にもつながります。

何を学ぶのかを明確にする
リカレント教育を導入する際は、どんな教育を提供するかを明確にすることが大切です。従業員の年齢層や業務内容、提供しているサービスによって必要となるスキルは異なります。ビジネスマナーやコミュニケーションに関する教育はどの業界でも必要となるものから、自社の業務内容に特化したものまで、さまざまなプログラムを組み合わせることも考えられます。

どのように学ぶのかを検討する
学び方についての検討も必要です。対面の講義だけでなくEラーニングやOJTなど、学ぶ手段はさまざまあり、外部の研修サービスを活用するという選択肢も考えられます。予算を含めて事前にどんな選択肢があるかを検討しておくことが大切です。

学んだスキルで活躍できる場を検討する
リカレント教育を実施する場合、従業員が身につけたスキルを活かせる場をあらかじめ検討することも大切です。どの現場で何の業務をするために必要なスキルなのか、事前に分かっていれば従業員のモチベーションアップにもつながります。

リカレント教育は企業と従業員の両方にメリットがあります。企業にとっては生産性や従業員の定着率の向上を期待でき、従業員にとっては成長とキャリアアップの機会ができることになります。

将来の人材不足を考慮して、リカレント教育の導入は検討する価値があるといえるでしょう。

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執筆は2019年1月15日時点の情報を参照しています。
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