結婚相談所の開業は、孤立化が進む現代社会において人と人を結ぶやりがいのあるビジネスです。一方で、開業後に思うように成果が上がらないケースも少なくありません。
この記事では、結婚相談所を開業する際のメリットや陥りやすい失敗を整理しながら、成功へとつなげるための準備や具体的な戦略について詳しく解説します。
【この記事のポイント】
- 結婚相談所ビジネスは特別な資格や高額な設備が不要で、個人でも開業しやすい
- 婚活サービス経由の結婚は増加傾向にあり、結婚相談所は真剣な出会いを求める層に需要あり
- フランチャイズ加盟か独立開業か、経験と方針で選択する
- 開業には事業計画の準備や特定商取引法への対応が必要
- Squareのサービスを活用すれば、決済・売上管理などの業務を効率化できる
目次
- 結婚相談所ビジネスとは?
・結婚相談所の市場規模と成長性
・近年の結婚事情と需要の変化 - 結婚相談所は儲からない?失敗しやすいポイントと解決策
・集客が難しい
・顧客満足度が低い
・成婚率を上げるための工夫が必要 - 結婚相談所開業のメリットと成功のポイント
・低コストでの開業が可能
・社会貢献性が高くやりがいがある
・正しい戦略で安定収益を狙える - 結婚相談所開業で失敗しないための準備
・市場調査の実施と明確なターゲット層の設定
・事業計画の作成
・必要な資格・許可の取得
・フランチャイズ加盟か独立開業を選択
・結婚相談所連盟に加盟する
・開業資金の準備と資金計画 - Squareの入会金・月会費のクレジットカード決済が可能
- まとめ
結婚相談所ビジネスとは?
結婚相談所ビジネスとは、結婚を希望する会員のマッチングから交際、成婚までを支援するサービスです。IBJ(旧:日本結婚相談所連盟)の発表によると、IBJ会員のお見合い成立件数と成婚組数は年々増加しており、2024年の成婚組数は過去最多となる16,398組でした1。
結婚相談所の市場規模と成長性
2024年の国内婚姻件数は48万5,063組2と、長期的な減少傾向が続いています。リクルートブライダル総研が発表した婚活実態調査20243によると、婚活サービスを利用して恋人ができた人の割合は緩やかに増加しており、2023年の婚姻者のうち、婚活サービスを通じて結婚した人の割合は15%でした。また、婚姻者に実際に利用した婚活を聞いた質問では、結婚相談所が29%と、婚活サイトに次いで2番目に多い結果となっています。
加えて、独身者の年代別の婚活サービス利用をみてみると、20代は男性・女性ともに結婚相談所の割合が徐々に増えていることが分かります。結婚相談所の特徴は、登録者の属性や価値観を事前に把握したうえでマッチングをする点と、仲人型のカウンセラーが積極的に関与しながら出会いをサポートできる点にあります。特に、結婚への意識が高い層からは、信頼できる第三者による紹介や安心感のあるサポートが評価されているのかもしれません。
近年の結婚事情と需要の変化
近年は「出会いがない」だけでなく、価値観やライフスタイルの多様化も結婚事情に影響しています。
出生動向基本調査4によれば、9割程度で推移していた「いずれ結婚するつもり」と考える若者の数は2021年に8割程度に減少し、25〜34歳の未婚の男女ではともに、パートナーに出会えない理由として「適当な相手にめぐりあわない」を最も多く挙げています。また、男性では「自由さや気楽さを失いたくない」、女性では「まだ必要性を感じない」などの理由も目立ちます。
結婚を望みながらも出会いがないことに悩む人たちにとって、信頼できる第三者が自分の人生設計に合った相手とのマッチングをサポートしてくれる結婚相談所は、効率よく最適な相手に出会える場なのかもしれません。また、最近では婚活アプリから気軽に始めて、真剣に相手を探す段階になったら結婚相談所に移行するといった使い方もあるようです。

結婚相談所は儲からない?失敗しやすいポイントと解決策
「結婚相談所は儲からない」と思われることもありますが、結婚相談所の開業で安定した収益を実現している事業者は存在し、しっかりと準備と戦略を立てれば成功は十分に可能だと考えられます。ここでは、結婚相談所の開業時に失敗しやすいポイントと解決策を詳しく見ていきましょう。
集客が難しい
結婚相談所の集客は、基本的に信頼と実績が重要となるため、特に開業直後は集客に苦戦するケースが少なくありません。現代の婚活ユーザーは、タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスを重視して、インターネット検索やSNSを通じて情報収集する傾向が強いため、オンライン上での発信力が非常に重要です。
自社サイトでのブログ更新や成婚者の声の掲載、InstagramやLINE公式アカウントの運用など、継続的な情報発信により、信頼感の醸成と認知度向上が期待できます。加えて、Google ビジネスプロフィールを活用した地域検索対策や、地元のフリーペーパー掲載、地域イベント、異業種交流会への参加など、オフラインでの接点づくりも有効です。
さらに、実際の成婚ストーリーやカウンセラーの思いをコンテンツ化するなど顔の見える運営を行うことで、共感が得られ、問い合わせにつながりやすくなります。
顧客満足度が低い
結婚相談所の会員が退会する理由には、「お見合いが成立しない」「営業時間や定休日が自分の婚活タイミングと合わない」といった不満が影響することがあります。こうしたミスマッチを防ぐには、入会時にサービスをわかりやすく説明することが重要です。
たとえば「どのくらいの日数でお見合いが成立するのか」「どのようなサポートが受けられるか」を丁寧に説明し、初回面談では相手の希望や不安をしっかりヒアリングしたうえで、紹介方針や活動プランを提示することが信頼構築につながります。交際状況の定期確認や相談対応、プロフィール文のブラッシュアップ支援といったフォロー体制の強化も、満足度向上に役立ちます。
さらに、利用者とのスムーズなコミュニケーションを通じて、悩みを共有しやすい雰囲気を作ることも重要です。対応の標準化や、活動進捗を共有するレポートの発行、LINEを活用したこまめな連絡など、丁寧な運営を行うことで、会員の安心感や継続意欲が高まります。
成婚率を上げるための工夫が必要
結婚相談所の本質的な価値は、単に出会いの機会を提供することではなく、成婚というゴールまでしっかり伴走できるかどうかにあります。そのため、継続的な支援体制が、成婚率向上のカギになるのです。
マッチング率や成婚率を高めるには、プロフィールの条件が一致しているだけでなく、価値観や生活感覚、将来の展望など、相性面を含めた「質の高い紹介」が欠かせません。最近では、AIや会員データ分析を活用し、過去の成婚パターンに基づいた推薦ロジックを最適化する取り組みも広がっています。これにより、担当者の経験や勘に頼らずに安定したマッチングが実現しやすくなっています。
また、プロフィール写真や自己紹介文をアドバイスすることで、第一印象の改善につながり、マッチング精度の向上が期待できます。さらに、交際中に生じる不安や悩みに寄り添った定期的なフォローや、他の成婚事例の共有によって活動の具体的なイメージを提供することで、会員のモチベーションを維持しやすくなり、途中離脱の防止にもつながります。

結婚相談所開業のメリットと成功のポイント
結婚相談所の開業には、以下のようなメリットがあります。成功のポイントを踏まえて戦略をもって取り組めば、着実な成長が期待できます。
低コストでの開業が可能
結婚相談所ビジネスは、他の起業モデルと比較して初期投資が少なく済む点が大きな魅力です。結婚相談所を開業する際は、特別な資格や許可は不要です。必要な設備はパソコンやスマートフォンとインターネット環境、会員との面談スペース程度で済むため、リスクを抑えつつ低コストでの開業が可能です。
また、フランチャイズや結婚相談所連盟への加盟を選択すれば、運営ノウハウやシステム支援を受けられるため、未経験者でも参入しやすいビジネスだといえます。
社会貢献性が高くやりがいがある
結婚相談所の仕事は「人の人生の転機に関わる」という意味で、非常にやりがいのあるビジネスです。成婚した会員からの感謝の言葉や、幸せな家庭を築いていく姿を見届けられることは、事業者の大きな励みになります。
また、少子化や未婚率の上昇といった社会課題の解決に貢献していると感じられる人もいるでしょう。再婚希望者や高齢者への支援など、ニッチな分野に拡大する余地があり、社会的なニーズは今後さらに増えていくと予想されます。
正しい戦略で安定収益を狙える
結婚相談所ビジネスは、入会金や月会費といった毎月の収入が得られる「ストック型」の収益と、お見合い料や成婚料など成果に応じて得られる報酬を基盤とする「成果報酬型」の収益を組み合わせることができます。 この二つを組み合わせることで、毎月の安定した収入を確保しながら、成婚時には追加の報酬を得られるという、収益バランスのよいビジネスモデルが実現します。
さらに、紹介システムや顧客管理に用いられるCRMツールを活用すれば、少人数でも効率よく会員をサポートできます。計画的に戦略を立てれば、個人での開業でも継続的かつ安定した運営が可能です。

結婚相談所開業で失敗しないための準備
結婚相談所を開業する際は、適切な準備と運営の工夫が重要です。以下では開業準備に必要となるポイントを解説します。
市場調査の実施と明確なターゲット層の設定
成功する結婚相談所には、明確なターゲット設定と、そのニーズに応えるためのサービス設計があります。まずは、自分が開業する地域の年齢層や独身率、婚活市場の競合状況などをリサーチし、どの層に向けた相談所にするかを明確にしておきましょう。
たとえば、再婚希望者専門、高齢者向け、20代限定、共働き希望者専門など、特色を打ち出すことで他社との差別化が図れます。また、オンライン主体で全国対応とするか、地域密着型にするかといった運営方針も合わせて検討することが重要です。
事業計画の作成
感覚的な運営では、収支の見通しが立てづらく、長期的な経営が難しくなります。結婚相談所を開業すると、以下のような金銭の出入りが発生することをふまえ、あらかじめ開業から1年程度の収支計画を作成しましょう。
- 初期費用
- 月々の固定費
- 会員の入会金、月会費、お見合料、成婚料など
また、集客方法やマーケティング手段、利用者との面談回数、プロフィール作成支援といったサービス内容も明文化しておくと、事業内容がクリアになり、資金調達が必要になったときにも説得力のある資料として使えます。
必要な資格・許可の取得
結婚相談所の開業に際して、特別な国家資格は必要ありません。しかし、個人事業主として開業する場合には、開業届を税務署に提出する必要があります。また、結婚相談所としての信用を得るために、日本仲人協会の「仲人士」5や日本ライフデザインカウンセラー協会の「認定婚活カウンセラー」6、日本能力開発協会の「婚活アドバイザー」7などの民間資格を取得しておくのも一案です。
なお、入会金や月会費を事前に受け取る場合は、特定継続的役務提供8に該当します。特定継続的役務提供とは、消費者保護を目的とした特定商取引法で規制されている取引であり、サービス提供期間や料金、事業者名を明記した書面の交付やクーリング・オフ制度の案内、適切な解約方法の提示などが求められます。そのため、契約書やクーリング・オフへの準備が必要です。
フランチャイズ加盟か独立開業を選択
結婚相談所の開業方法には、フランチャイズ加盟か独立開業かの2種類があります。初心者がノウハウなしで独立開業するのは難易度が高いため、自身の経験や目指す運営方針に応じて適した方式を選びましょう。
フランチャイズに加盟して開業する場合は、一定の加盟金がかかります。しかし、すでにある結婚相談所のシステム利用・会員紹介・業務研修・トラブル対応などの支援が受けられるため、経営上のリスクが減らせます。
一方、完全に独立して開業する場合は、すべての開業準備と経営リスクを自ら負う必要があります。しかし、経営の自由度が高く、自社ブランディングや運営スタイルの裁量が広がります。
結婚相談所連盟に加盟する
結婚相談所連盟に加盟すると、全国の加盟相談所と会員情報を共有できるため、マッチングの機会が大きく拡大します。これは、開業直後に自社の会員数が少なくても、多様な出会いの提供が可能になるという点で大きなメリットです。また、定期的な研修や経営支援を行っており、業界動向の把握やスキルアップにも役立ちます。
結婚相談所の連盟には、IBJ、全国結婚相談事業者連盟(TMS)など複数あり、それぞれ会員数や加盟相談所数が異なります。各連盟の特徴や支援内容を比較検討したうえで、適切な連盟を選びましょう。
開業資金の準備と資金計画
開業資金として必要な費用は、加盟金やシステム利用料、マーケティング費用、備品購入などを含めて、結婚相談所連盟に加盟せず事務所も設けない場合は50万円〜、結婚相談所連盟に加盟し事務所を構える場合は500万円〜が目安とされています。結婚相談所連盟に加盟するかどうかで金額は変動しますが、予備を含めた開業資金を確保しておくことが望ましいでしょう。
また、ビジネスとして継続させるためには、半年〜1年分程度売り上げが立たなくても運営できるような資金計画があると安心です。
Squareの入会金・月会費のクレジットカード決済が可能
結婚相談所の運営では、入会金・月会費・成婚料などの料金を、対面またはオンラインでやり取りする必要があります。近年では、現金だけでなくクレジットカードによる支払いがコストや時間効率を重視する顧客にも好まれるなど、決済手段の多様化は集客力や利便性の向上に直結します。
キャッシュレス決済サービスのSquareは、結婚相談所のように「特定継続的役務提供」に該当するサービスでも、利用金額やサービスの有効期限によってはクレジットカード決済の導入が可能です。信頼関係の構築が重要な結婚相談所にとって、安全かつスムーズな決済対応は大きなメリットになります。
まとめ
結婚相談所は、社会的意義とビジネス性を兼ね備えた魅力ある事業です。初期投資が比較的少なく、副業や個人での独立開業も可能であり、正しい準備と戦略をもって取り組めば、安定収益と高い顧客満足を両立できます。
集客の難しさや満足度の維持、成婚率の向上といった課題については、今回紹介したポイントを参考に、誠実かつ柔軟に顧客と向き合いながら解決に導くことが大切です。また、Squareの決済サービスを活用すれば、安全かつスムーズな運営も可能です。顧客利便性を高めることで、安定した事業につなげていきましょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2025年7月16日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash

