従業員全員が経営に関わる!アメーバ経営とは

従業員の意識を高める経営手法の一つとして「アメーバ経営」が挙げられます。分裂するアメーバのように小さな組織をいくつも作ることで、各組織の独立性を高める方法です。

この記事では、アメーバ経営の概要、メリット・デメリットについて解説します。

アメーバ経営とは

アメーバ経営とは、京セラの創業者である稲盛和夫氏が、企業を運営していくなかで生み出した経営手法です。

具体的には、会社という組織を、5人から10人ほどの小さな組織(アメーバ)に分けます。会社のなかに、小さな会社をいくつも作る感覚です。

各アメーバにおいて独立採算制をとることで、組織ごとの収支責任を明らかにし、各アメーバのリーダーは経営者の視点から組織を運営します。アメーバに所属するメンバーも、漫然と働くのではなく、自分の組織の利益が最大化されるよう目的意識をもって業務に携わるようになります。

ここからはアメーバ経営の詳しい特徴を見ていきましょう。

アメーバごとの収支を見える化する「独立採算制」と「時間当り付加価値」
アメーバ経営は、組織ごとで収支を管理する独立採算制をとるため、自らの仕事における成果を分かりやすく実感することができます。

その方法の一つとしてアメーバごとに「採算表」と呼ばれる帳簿をつけます。家計簿形式の簡単な帳簿で、アメーバや個人単位の収支を分かりやすく示し、どのように動けば売り上げを上げられるかを一人ひとりに考えてもらう仕組みになっています。

加えて、収益から経費を差し引いた金額を総時間で割ることで「時間当り付加価値」を出し、時間単位でどれだけ利益を生み出しているかを、部署や個人間で比較しやすくしています。

個人単位でも、営業職として携わった売上額からかかった経費を引けば、自分の収益が分かります。その収益を総勤務時間で割れば、1時間単位でどれだけ自分が利益をあげているかが見て取れます。

売上粗利 − 経費 = 差引金額(儲けたお金)
差引金額 ÷ 働いた時間 = 1時間当りの自分の収益

リアルタイムな収支実績の開示
アメーバ経営のもう一つの特徴として、各アメーバに毎日おおよその収支実績をリアルタイムで伝えていくことが挙げられます。そのため、月半ばになれば当月の目標を達成できそうか否かが予測でき、未達成になりそうなら臨機応変な対策を取ることもできます。

一般的な企業では、大きな部門の収益目標に対して一個人が強く意識して奮闘することは少ないかもしれません。しかし、5人から10人ほどのアメーバであれば、月初に立てた目標の達成が難しそうな場合、個人が尽力できる割合も大きく、当事者意識をもってリアルタイムで対策に取り組める点が特徴的です。

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アメーバ経営のメリット

このように、アメーバ経営には「独立採算制」「採算表と時間当り付加価値」「リアルタイムでの収支の確認」といった特徴があります。このような特徴はどのようなメリットにつながっているのでしょうか。

個人成果の収支への貢献を実感しやすく、全員参加型の経営が可能
アメーバ経営では、前述のように独立採算性をとるため、組織における個人の役割や責任が重要になってきます。採算表による時間当り付加価値を指標にすると、メンバーが目標に対してどれくらいの利益を達成できたかが分かり、個人における目標管理もしやすいでしょう。

個人の成果が採算表に表れる収支結果に結びつくことを実感しやすいため、メンバーの一人ひとりが経営に対して自分ごととして関わっていきやすいです。結果として、改善に向けた現場での提案や共有が活発になります。

従業員数が多い大企業では、経営陣と現場が乖離しており、従業員は経営陣に漫然とついていくだけ、といった状況もあります。そうした状況の打開には、アメーバ経営が向いているかもしれません。

経営陣候補の人材を育成しやすい
各人が全員参加の意識で経営に携わるため、一人ひとりが、普段から経営について考えられるようになり、次世代の経営陣候補となる人材を育成しやすい環境が生まれます。

リアルタイムの情報を活かして課題を解決しやすい
アメーバごとの収支実績をリアルタイムで開示するようになるため、組織の課題をタイムリーに見て分析する力もつきやすいです。

大企業では従業員間の意思伝達・統一が困難になるケースもあり、タイムリーな改善策がとれずに問題が肥大化してしまうこともありますが、情報伝達を迅速に行えるアメーバ経営であれば課題が大きくなる前に対策を打つことができるでしょう。

収益の拡大化を常に意識して実現できる
採算表を採用していることから、アメーバや個人といった小単位で、いかに費用を抑えて収益を拡大化できるかを追求し、高収益な体質を組織全体で目指すことができます。

アメーバ経営のデメリット

メリットが多い一方で、アメーバ経営にはデメリットもあります。

独立採算制などの導入が困難

組織を小さく分けて、各々に独立採算制を導入したうえで、リアルタイムでの部署ごとの収益公開など、システム面での導入は難しく感じるかもしれません。なかでも最も困難なのは、経営陣や現場レベルでの意識変革です。従来の意識のなかで、アメーバ経営を導入したとしても、経営陣や現場に従来の意識を大きく変えるという覚悟がなければ、実際の改革には至りにくいかもしれません。

組織間に軋轢が生じる可能性
独立採算を設定することで、よい意味でも悪い意味でも発生すると考えられるのが組織間の競争です。互いに刺激しあって収益を拡大していく方向に進むのが理想的ですが、他部署への不満や摩擦が生じる可能性も考えられます。

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アメーバ経営とは、会社を独立採算を設けた小さな組織に細分化し、組織や個人ごとに収支実績をリアルタイムで公開することで、一人ひとりの役割や責任を明らかにし、経営への参画意識を高める経営手法です。

従業員全員が経営に参画できるのはもちろんのこと、事業主は人材の育成や高収益体質化にアメーバ経営を役立てることができます。新たな経営戦略として、参考にしてみてはいかがでしょうか。

執筆は2019年12月23日時点の情報を参照しています。
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