ライアビリティシフトとは​:どのような​ビジネスが​対象に?​

この​ガイドでは、​クレジットカードを​取り扱う​全ての​加盟店に​関係する​「ライアビリティシフト」に​ついて、​その​経緯や​クレジットカードの​不正利用から​ビジネスを​守る​ための​対策まで​順を​追って​説明しています。

目次

概要

ライアビリティシフトとは

2015年10月​1日から​カード発行会社​(イシュアー)の​不正利用への​対応が​変わりました。​これは​「ライアビリティシフト​(債務責任の​移行)」と​呼ばれる​もので、​お客様が​ICチップを​搭載した​クレジットカードを​提示した​際に、​ICチップ未対応の​決済端末で​決済を​行い、​不正利用が​発生した​場合、​その被害の​債務責任は​カード発行会社ではなく​加盟店に​課されます。

責任の​移行、​穏やかな​響きでは​ありませんが、​必要以上に​心配する​必要は​ありません。​この​ガイドでは、​ライアビリティシフトに​ついて​詳しく​解説すると​同時に、​ビジネスを​守る​ための​対策も​ご説明します。

よく​ある​ご質問

ライアビリティシフトに​ついて​よく​ある​8つの​ご質問

ライアビリティシフトとは​?

ICチップ搭載クレジットカード​(以下、​ICカード)に​未対応の​端末を​対面決済に​利用し、​その取引きに​不正が​あると​判明した​場合、​被害の​補償​(債務責任)が​カード発行会社​(イシュアー)ではなく、​加盟店側に​移ります。​国際クレジットカードブランドは​2015年10月1日以降に​この​ライアビリティシフト​(債務責任の​シフト)を​適用しました。

どのような​不正利用が​債務責任の​対象ですか​?

例えば、​犯罪者が​偽造された​ICカードで​支払おうとする​際に、​ICチップ対応の​カード端末を​導入していないと​磁気テープの​情報を​読み取る​ことに​なります。​この​場合に​発生した​被害額の​債務責任は​店舗側に​あります。

ライアビリティシフトに​踏み切った​理由は​?

近年急増する​偽造等の​不正カードに​よる​被害を​防ぐため、​より​セキュリティの​高い​決済処理方法である​EMV​(ICカードの​国際標準規格)に​準拠した​ICカードと​カード決済端末の​導入を​推し進める​ためです。

ライアビリティシフトは​いつから​適用されますか​?

2015年10月​1日です。

ライアビリティシフトに​対応する​ためには​どうしたら​いいですか​?

EMV準拠ICチップ対応の​カード決済端末を​導入してください。

EMV準拠の​端末は​高額でしょうか?

端末の​中には​高額の​ものも​ありますが、​EMV準拠の​Square リーダーは​4,980円で​ご購入いただけます。

ライアビリティシフトは、​オンラインでの​決済にも​適用されますか​?

適用されません。​ライアビリティシフトは​ICカードと​ICチップ未対応の​端末間で​対面決済した​際に​発生した​被害にのみに​適用されます。

電話注文で​決済を​した​場合、​ライアビリティシフトは​適用されますか​?

上記同様に​適用されません。

詳しく​知る

磁気テープの​カードが​姿を​消す

2015年10月に​ライアビリティシフトが​適用された​経緯を​説明する​前に、​磁気テープに​ついて​詳しく​お話しする​必要が​あります。​もしかしたら​お気づきかと​思いますが、​磁気テープの​みの​カードは​徐々に​姿を​消しており、​セキュリティが​より​高いIC チップを​搭載した​カードに​置き換わっています。​日本国内の​ICカードの​普及率は​70%なので、​すでに​手に​されている​方も​多いのではないでしょうか。

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な​ぜ磁気テープカードの​廃止が​急がれているのでしょうか?​簡単に​言うと、​磁気テープカードは​1960年代頃に​登場した、​古くて​比較的偽造されやすい​技術です。​すっかり​市場から​姿を​消した​カセットテープや​ビデオテープと​同じ​技術が​使われています。​磁気テープ上に​情報が​直接転写されているので、​カード番号などの​犯罪に​利用される​データが​カード上に​あり、​読み取った​情報から​クローンカードが​作られ、​不正利用される​危険性が​あります。​情報を​盗むには、​スキマーと​呼ばれる​数千円で​簡単に​手に​入る​装置を​購入するだけで​できます。

ICカードの​普及は、​消費者や​加盟店の​両方を​守ります

例えば、​クレジットカード先進国である​米国では​不正利用対策が​不十分な​ことが​問題に​なっています。​クレジットカード利用に​関する​世界的な​調査に​よると、​カードを​使った​決済の​うち20%が​米国で​行われており、​また​不正利用の​50%が​米国で​発生しています。​不正利用の​主な​手段は​偽造が​容易な​磁気テープカードに​よる​ものです。​これらの​調査結果からも​ICカードの​普及は​不正利用の​抑制に​大いに​役立つことが​分かります。​この​効果は​いくつかの​国で​立証されており、​日本でも​経済産業省を​中心に​2020年までに​クレジットカード及び加盟店の​決済端末の​「IC対応化100%」​実現に​向けての​計画が​取りまと​められています。

急を​要する​ICカードへの​対応

ICチップには​不正利用を​防止する​格段に​優れた​セキュリティ機能が​備わっています。​みなさんの​手元に​ある​新しい​クレジットカードの​左側に​ある​チップは、​実は​CPUや​メモリを​搭載した​小さな​コンピューターと​言われており、​データの​漏えいや​改ざんを​防ぐ​仕組みに​なっています。​磁気テープは​記録できる​データ量が​少なく​直接情報を​転写している​一方、​ICチップ上には​膨大な​情報を​記録できる​上に​記録した​データの​暗号化もできるので、​データの​抜取りは​非常に​難しくなります。​データを​入手するには、​ICチップ回路内に​アクセスして​詳細な​情報を​取得しなければなりません。​この​操作には​高度な​知識に​加え、​高額な​設備も​必要に​なります。​当然の​ことながら、​磁気テープよりも​ICチップの​偽造は​ハードルが​高く、​困難な​ことが​想像できます。

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ICカードに​よる​決済は、​磁気テープカードよりも​遥かに​安全です。​磁気テープは​決済端末に​直接会員番号や​有効期限などの​カード情報を​伝えているような​ものです。​それに​対して、​膨大な​情報量を​記録できる​ICチップは​大切な​データを​高度に​暗号化し、​ICカードと​決済端末との​間では​暗号化された​言語を​使用して​通信を​行います。​ICチップの​技術は、​カード情報の​保護と​偽造カードの​検知の​両方に​対して​大きな​効力を​発揮すると​いえます。

EMV準拠の​ICカードは、​従来の​磁気テープより​遥かに​安全です

前述の​通り、​米国では​ICカード対応が​遅れています。​欧州や​カナダでは​何年も​前から​ICカードが​スタンダートに​なっています。​電子決済処理大手の​ファースト・データ社の​報告では、​現在米国以外では​ICカード対応端末の​普及率は​70%と​推定しています。

幸いな​ことに、​これらの​ICカード対応が​進んだ国では​その安全性が​証明されています。​例えば、​英国では​ICカードを​採用して​以来、​偽造カードに​よる​取引が​70%近く​減少していると​バークレイズ社は​伝えています。​同様に​カナダでも、​調査会社の​アイテグループは​偽造、​紛失、​盗難など​カードの​被害額が​2008年の​2億4,500万加ドルから​2013年では​1億1100万加ドルに​減少したと​報告しています。

米国でも​ICカードに​完全に​移行すれば、​同じように​不正利用が​減少する​ことが​期待されています。​ライアビリティシフトは​EMVに​準拠した​ICカードおよび決済端末の​普及を​加速化し、​世界の​クレジットカード決済の​2割を​占める​米国に​おいて​偽造カードの​使用を​減らす追い​風に​なるでしょう。

ライアビリティシフトに​よる​変化

ライアビリティシフトは​法律では​定められていません。​ICチップ対応の​決済端末を​設置するか​どうかは​個々の​ビジネスオーナーの​判断に​委ねられています。​とは​いえ、​今後​ICカードの​セキュリティの​高さが​認識されれば、​多くの​お客様が​ICカードに​よる​支払いを​望むのではないでしょうか。​ICカード対応は​不正利用から​お客様や​あなたの​ビジネスを​守るだけでなく、​お客様に​より​満足度の​高い​サービスを​提供する​手段とも​いえます。

不正取引に​よる​債務責任を​問われる​可能性が​あります

ライアビリティシフトで​重要な​ポイントは、​不正利用が​起きた​時の​債務責任の​所在です。​クレジットカードを​使った​犯罪の​中でも、​店員の​目の前で​偽造カードを​利用し支払いを​行った​時が​当ては​まります。​この​時、​差し出された​偽造カードが​ICカードなのに​対して、​ICチップでなく​磁気テープの​データを​読み取り決済を​行ったら、​債務責任は​加盟店に​あります。​差し出された​偽造カードが​磁気テープの​場合、​債務責任は​加盟店には​ありません。

言い​換えれば、​安全性の​低い​技術を​使用している​加盟店の​方が​債務責任を​負う​可能性が​高いです。​犯罪者が​磁気テープカードを​使用した​場合には、​引き​続きカード発行会社​(イシュアー)が​その​債務責任を​負担します。​偽造ICカードの​場合には、​対応端末で​決済処理を​しないと​債務責任を​負うことに​なります。​ICチップ対応端末で​決済を​していれば​偽造を​検出して​不正利用を​食い​止める​ことができるからです。

今までと​変わらない​点

ライアビリティシフトでは、​対面での​支払い​時に​偽造ICカードを​非ICチップ対応端末で​決済した​場合に​適用されると​いう​点を​理解しておけば​大丈夫です。

Photo of a woman sitting in the back of a mobile art gallery truck with a Square Stand in the background

もちろん​カードを​使った​犯罪は​他にも​考えられます。​混乱するかもしれませんが、​カードを​目の前で​提示しない​場合、​決済端末を​利用せずに​決済を​行う​「カード非提示」に​よる​不正利用も​存在します。

ライアビリティシフトは、​ICカードを​対面で​決済した​際に​発生した​不正利用にのみ適用されます。

例えば、​電話口で​クレジットカード番号を​聞いて​決済を​行った​場合や​オンラインでの​決済も​「カード非提示」に​含まれます。​犯罪者が​ECサイトで​偽造カードを​使用して​支払いを​した​場合、​不正利用の​債務責任は​今まで​通りです。

何度も​繰り返しに​なりますが、​ICカードを​ICチップに​未対応の​決済端末を​使用して​不正利用被害に​あった​ときのみが、​ライアビリティシフトの​対象と​なります。

新しい​決済端末を​手に​入れる

ICカードの​不正利用から​ビジネスを​守るには、​EMV準拠の​ICチップ対応決済端末を​購入する​必要が​あります。​お金が​かかりそうと​思われるかもしれませんが、​実際には​とてもかんたんで​手頃に​手に​入ります。

EMV準拠を​クリアした​Square リーダーは​4,980円です。​ICカードリーダーが​届いたら、​リーダーの​利用方法を​ご確認される​ことを​おすすめします。​ICカードの​決済は、​磁気テープとは​異なります。​ICカードは​Square リーダーに​挿込んだ​状態で​お客様が​サインを​する​ことに​なります。

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同時に、​クレジットカードを​手渡された​ときに、​あなたも​含めて​スタッフ全員が​鋭い目で​カードを​認識する​習慣を​身に​付けましょう。​カードの​左側に​小さな​ICチップが​あったら、​必ず​磁気テープを​スワイプするのではなく、​ICチップを​リーダーに​挿し込んで​決済を​してください。​もし、​ICカードの​裏面に​ある​磁気テープを​スワイプしようと​すれば、​リーダーが​ICチップを​読み込むように​促します。

EMV準拠の​ICカードリーダーを​手に​入れて​ビジネスを​守ろう

新しい​決済端末で​もう​一点異なる​ことは、​磁気テープよりも​決済時間が​やや​長めである​ことです。​決済処理中は​カードを​カードリーダーに​常に​挿しておく​必要が​あり、​数秒間かかる​ことも​あります。​この​時、​カードリーダーと​カードとの​間では​暗号化された​やり​取りが​行われ、​偽造カードではない​ことを​確認します。​何か​欠けている​情報が​あれば​取引は​行われません。