生成AIやチャットボットなどのテクノロジーの普及により、起業やビジネス拡大のチャンスは大きく広がっています。個人事業主や中小企業にとって具体的にどんなシーンでAIが役立つか、業種やニーズごとに理解を深め、ビジネスに役立てましょう。スモールビジネスでのAI活用の事例の他、最新のAI起業のアイデアも詳しく解説します。
目次
- AIは難しくない!初心者でも始められる
- 業種別AI活用事例
・小売業・ECサイト運営
・飲食業
・美容業(美容院・サロンなど)
・専門サービス(士業・コンサル・教育など)
・建設・製造・物流 - AI起業:AIを活用したスモールビジネスの始め方
・初期費用を抑えたAI活用法
・AIを使った副業からの独立・起業をする - AI起業:AIを使った小さな起業アイデア
・AI×記事制作サービス
・AI×画像・動画制作サービス
・チャットボット導入支援
・AI×学習サポートや家庭教師
・オンライン業務代行ビジネス - まとめ
AIは難しくない!初心者でも始められる
AIは先端のデジタルテクノロジーとして世界のビジネスシーンや起業のあり方を大きく変革中です。現在のAIトレンドは決して大規模なビジネスだけのためのものではなく、個人事業主や中小企業にも使いやすく、ビジネスの加速に役立つサービスが多いことが特徴といえます。
専門知識がなくても、ユーザーフレンドリーなAIツールについて知ることで、ビジネスの課題解決の一歩となることは確実です。初心者向けのツールにはどんなものがあるのか、そしてAIがビジネスの省人化や業務効率化にどのように役立つかを理解することから始めてみましょう。
業種別AI活用事例
昨今、さまざまなAIツールが起業やビジネス展開のソリューションとして各業界で使われています。AI活用のヒントとして、小売、飲食、美容、専門サービス、建築、製造、物流などでの活用事例を参考にしてみましょう。
小売業・ECサイト運営
AI技術の特徴の一つに、「過去のデータ蓄積からの学習と予測」が挙げられます。これにより、AIを使ってECサイトで「ユーザーの閲覧履歴や購買履歴から、おすすめ商品を自動表示する」といったことが可能になりました。履歴に基づくおすすめ商品の表示はユーザーの購買意欲を刺激し、クロスセルの増加が期待できます。
また、小売店の在庫管理業務もAIの予測機能を使った効率化が可能です。年間や月間の販売データをAIで分析して売れ筋や売れ行きを判断すれば、無駄のない在庫管理が実現します。過去の実績に基づくAIの未来予測は、ベテランスタッフの経験則による判断と似てはいるものの、属人的ではないため新人従業員や起業したてのビジネスでも有効です。AIを活用した売り上げや在庫の管理は、経験豊かな従業員に匹敵する戦力となる可能性があります。
販売だけでなく、顧客管理やマーケティングにもAIが役立ちます。適したAIツールを導入すれば、顧客の購買傾向や好みに合わせたLINEやメールマガジンの自動送信も可能になり、人員をかけずにきめ細やかな販促活動を行うことができます。
飲食業
飲食の領域では、オンライン予約やテーブルでの注文受付をAIチャットボットが対応するといった仕組みが活用されています。電話や口頭での対応と違って聞き間違いなどのミスが起きず、デジタルで記録が残る安心感は、店舗側にも顧客側にもプラスです。もちろん、店舗の人員不足や急な混雑などに対応できる点もチャットボットの魅力といえます。
売り上げや顧客のデータを基に、人気のメニューや時間帯を分析することもAIを使えば簡単にできます。データ分析の知識や経験がない人でも、専用のAIツールを導入するだけで戦略的な飲食ビジネスの運営が実現できるということです。
さらに、集客施策としてSNSでの評判や口コミ情報をAIで自動収集・可視化することで、店舗運営においてスピーディーな改善対応やメニュー開発などに生かせます。
美容業(美容院・サロンなど)
ヘアサロンやネイルサロンなどの美容業のビジネスにおいては、AIによるカルテ管理や予約対応などの業務サポートはもはや不可欠といっても過言ではありません。InstagramなどのSNSで投稿するコンテンツの作成やスケジュール投稿にもAIを使うことで、美容師やネイリストなどの技術者が顧客へのサービス提供に集中できる環境を作ることが可能です。
競争の激しい美容業では、顧客ごとの好みを記録・分析し、次回来店時の提案に活用することも重要ですが、これにもAIによるデータの集約・分析が生かされます。
専門サービス(士業・コンサルティング・教育など)
事務作業にもAIが役立つシーンは多く、税理士や会計士といった士業、コンサルティング、学習塾や習い事などの教育系サービスでもAIツールは頼れる存在です。ミーティングの議事録やメール文を生成する、オンライン相談の内容を自動要約するといった使い方をすれば、個人事業主などの少人数体制でもより多くの業務を進めることができます。
加えて、過去の顧客対応履歴の情報をベースとして次のアプローチをAIに提案してもらうことで、営業やマーケティング活動にも広がりが生まれ、ビジネスの展開を加速できそうです。
建設・製造・物流
建設現場や製造・物流案件の数だけ発生する見積書や請求書の作成も、AIに任せればごく短時間で正確な事務作業が可能です。事務作業量の増える繁忙期や、まだビジネス規模が小さく事務作業の専任担当者がいない起業時にも、AIによる書類作成は大きな助けになります。
加えて、作業スケジュールを組む、人員配置を最適化するといったマネジメント業務にもAIが貢献します。何人もの人員を擁する作業チームの運営や複数のプロジェクトの同時進行などでは、マネジメント効率の大幅なアップが期待できそうです。
また、建築、製造、物流などの業務には日報や週報などの記録を付ける作業が必ず発生します。音声入力と自動テキスト化ができるAIツールを使えば、こうした作業記録の作成・共有・確認といった業務は格段にスピードアップできます。
AI起業:AIを活用したスモールビジネスの始め方
AIは新規事業の立ち上げにも役立ち、少人数で運営するスモールビジネスならその貢献度は特に実感しやすいといえます。AIを使って起業するために、より効果的な活用方法を考えてみましょう。
初期費用を抑えたAI活用法
業種を問わず、無料のAIツールを活用するのは起業の初期費用を抑えるうえで賢い方法です。たとえば生成AIのツールを使うと、事業計画書の草案作り、起業コンセプトのアイデア出し、競合企業のリサーチ、ビジネスロゴやオリジナルグッズのデザインなど、効率化できる作業は無限にあります。起業に役立つ無料プランや無料トライアルのあるAIツールとしては、次のようなサービスが代表的です。
- ChatGPT(文書の生成・要約・翻訳、情報収集など)
- CanvaのAI画像生成機能(イメージ画像、ロゴ、動画などの生成)
- Notion AI(スタイルガイドを参照した文章編集、PDF資料に基づいた用作の作成など)
こうしたAIツールはクラウド形式で提供されるサービスであり、専用のソフトウェアなどを自社のパソコンやサーバにダウンロードすることなく使えます。そのため、サーバの導入・管理などの設備投資費用を最小限に抑えられることも特徴です。初期費用を抑えたいスモールビジネスの起業には、インターネット環境と端末さえあれば使えるクラウド型のツールが便利といえるでしょう。
AIを使った副業からの独立・起業をする
起業だけでなく、AIを活用して副業をスタートすることも可能です。本業の傍らで行う副業には時間の制約がつきものですが、AIツールを利用することで作業を効率化し、徐々に規模を拡大していくこともできるでしょう。
AIツールの自動化機能などを活用し、ビジネス運営の負担を抑えながら副業を軌道に乗せ、やがて独立や起業を目指すという方法もあります。
AI起業:AIを使った小さな起業アイデア
手軽に使えるツールの存在により、AI生かすことを前提にビジネスを構想し、スモールスタートで新たな事業を始められる可能性も広がっています。AIを使って起業する「AI起業」について、具体的なビジネスの例を検討してみましょう。
AI×記事制作サービス
文書を生成するAIを使えば、ライティングサービスを提供するビジネスを始めることが可能です。ChatGPTやNotion AIなどでライティングを行い、それを自身でブラッシュアップすることで、記事作成やSNS投稿の代行で起業することができます。他にも、チラシやパンフレット、カタログなどの媒体用の文書、スピーチ原稿、インタビュー原稿など、ライティング分野でのAI起業のチャンスは多くありそうです。執筆前のリサーチにもAIを活用できます。
AI×画像・動画制作サービス
ポスティングチラシからSNS、PR動画まで、画像や動画を必要とするシーンは数多く存在します。CanvaやRunwayなどのAIツールを使いこなせば、個人や団体の依頼に基づいて画像・動画を生成して提供することが可能です。AIツールを使った画像・動画制作サービスは、デザイナーによる制作より安価で提供できる可能性が高いことから、スモールビジネスとしてのAI起業に適しています。
チャットボット導入支援
ECサイトから大手企業サイトまで、オンラインでの顧客対応のために設置されたAIチャットボットを目にする機会は年々増えています。ただ、自社サイトにチャットボットを導入したくても、IT担当者がいない、導入の仕方がわからないといったスモールビジネスにはサポートが必要です。
そこで、AIチャットボットの導入支援をビジネス化することで、店舗や事業者の困りごとを解決することが可能です。顧客からの問い合わせに対応するLINEや簡単な自動応答チャットをサイト内に設置して導入支援をするサービスは、AIで人をサポートする仕事とも換言できます。特に小規模店舗向けのニーズが大きいと考えられます。
AI×学習サポートや家庭教師
教育分野において、学習サポートや家庭教師でAI起業をするチャンスもあります。生徒の得意・不得意や学習進度、学習方法の傾向などを生成AIのプロンプトに入力し、最適な学習計画のアイデアを得ることで、個別最適化したサービスを提供できるでしょう。
また、生徒からの質問にAIを活用して答えるオンラインのチューターや、AIを使って外国語習得や資格試験の問題を用意する学習支援サービスなど、教育分野におけるAI起業は数多くの可能性を秘めています。
オンライン業務代行ビジネス
他の事業者の経理や資料作成などの事務作業をAIツールで効率化してサポートする、業務代行のオンラインビジネスについても考えてみましょう。事業者自身がツールを導入して事務作業をただデジタル化するのとは違い、業務を代行する人が介在することでより臨機応変なサービスが提供できることがポイントです。
少子高齢化に伴う人材不足の解消や業務効率化の一環として、事務作業外注の必要に迫られる事業者は今後少なくないと予想されます。そのため、AI起業をして業務代行サービスを展開すれば、一人で複数社の事務を請け負うといった働き方も可能でしょう。高い作業効率をセールスポイントとして、人や企業の困りごとを解決する課題解決型のAI起業といえます。
まとめ
デジタルテクノロジーの急速な発展は、初心者でも使いやすいさまざまなツールを生み出しています。既存のビジネスへのAIの導入だけでなく、桁違いの業務効率の高さを武器としたAI起業についても、今後は当たり前のことになっていきそうです。まずは気になるAIツールの使い勝手を試し、ビジネスアイデアやAI起業の計画を検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆は2025年6月3日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash