これまで、インスタ映えを意識した集客やBGMの効果など、お客様の視覚や聴覚に訴えるヒントを説明してきました。
今回は、五感の中でもお客様の嗅覚に訴える方法を紹介します。
プルースト効果とは
特定の香りを嗅ぐと、過去にその香りを嗅いだときの記憶や感情が蘇る心理的効果をプルースト効果と言います。名前の由来はフランスの文豪であるマルセル・プルーストからきているそうです。プルーストの著書の中で主人公が紅茶にマドレーヌを浸した時に、その香りから幼少期の記憶が蘇るシーンがあることから名付けられました。
参考:「におい」で昔の記憶がよみがえる理由とは?(マイナビウーマン)
香りをビジネスに活用するヒントを紹介します。
集客力向上
美味しそうな焼肉の匂いを嗅ぐと、思わずお腹が鳴ってしまうことがありませんか。以前食べた焼肉の美味しさを思い出すことで起こる反応でしょう。焼肉を食べるつもりがなかったとしても、匂いが食欲を刺激するかもしれません。スーパーマーケットの場合は、売り場で調理のデモンストレーションをしたり、試食コーナーを設けたりすることでお客様の嗅覚に訴えることができます。また、グローサラントのような業態の場合、レストランエリアの食事の匂いが食料品売り場のお客様に伝わるようレイアウトを気をつけることが大切です。食材を扱うビジネスにとって匂いは、集客ツールの一つとなります。
ブランディング
香りはブランディングにも役立ちます。高級感を演出したい時は重厚でリッチな香りを空間に漂わせたり、明るく生き生きとしたイメージを与えたい時は南国を彷彿とさせるフルーツの香りを使ったり、香りもブランドの印象を決める手段になります。複数の香りをブレンドしてオリジナルの香りを作っても良いでしょう。お客様がその香りを嗅いだら、あなたの会社のことを思い出してくれるのが香りを用いたブランディングです。
また、自社が演出したいブランドイメージに基づいて開発した香りをブランドセントといい、ブランディングに活用している会社もあるようです。老若男女に受け入れられるような香りにするのか、個性的な香りにするのか会社のブランドに合わせて考えましょう。香りの活用は、競合他社との差別化にも効果的です。
ブランディングの大切さの記事もぜひ参考にしてみてください。
おもてなし
香りの効果をうまく活用すれば、タバコや隣接する飲食店からの匂いなど気になる匂いを和らげ、お客様に気持ちよく買い物をしていただけます。良い香りは、お客様の滞在時間も伸ばしてくれるかもしれません。また、「良い香りですね、何の香りですか」という質問からお客様とのコミュニケーションが始まることもあるでしょう。同時に心地よい空間で働くことは、従業員にもリラックス効果などの良い影響を与える可能性もあります。香りの活用は、顧客満足度と従業員満足度の向上にもつながります。
お客様の記憶に残る店
お客様にお渡しするものに、香りをつけてみてはどうでしょうか。たとえば、品物を包む包装紙や箱に香りをつけます。お客様は自宅に帰った後もお店のことや受けたサービスを思い出してくれるかもしれません。また、香りはオンラインショッピングを楽しむお客様にも有効です。包装紙を開けた途端に香りを感じたら、それがお店の香りだと認識してくれるでしょう。
サービスを提供しているエステサロンや宿泊施設は、ショップカードやプリペイドカードを包む封筒に香りを染み込ませることも可能です。アロマオイルなどを付けたコットンなどと一緒に箱の中に保管しておくと、自然に香りがつきます。お客様がお財布やカードケースを開けた時にふわっと香るとお店やサービスを思い出してくれるのではないでしょうか。
香らせ方
香りをつける方法を紹介します。
アロマオイル
お店のエントランスにアロマディフューザーやアロマ空気洗浄機を置いてみてはどうでしょう。さまざまな種類のアロマオイルがあるので、お店のイメージに合うオイルを探してみてはいかがでしょうか。
花
花を飾ると、視覚に訴えるだけでなく自然の香りをお客様に楽しんでいただくことが出来ます。澄み切って清々しい香りや優美で気品溢れる香りを発する花など、目で受ける印象だけでなく香りも含めて花を選ぶことも大切です。
お香
「和」を演出する場合は、お香を活用してみてはいかがでしょうか。お香のあまり強すぎない香りにほっとする方もいるかもしれません。草花の香りから南国でのバカンスをイメージした香りまで様々な種類があるようです。
気をつけること
香りの好みには個人差があることを考慮しましょう。香りにより周囲を不快にさせることをスメルハラスメント(smell harassment)、略してスメハラと言います。集客やブランディングの効果を求めすぎるあまり、強すぎる香りになっていないか注意する必要があります。
香りをうまく活用して、お客様にとって印象に残るお店を目指しましょう。
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執筆は2017年11月28日時点の情報を参照しています。
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