YouTubeショート動画の収益化を徹底解説!必要条件や仕組みなどをわかりやすく紹介

近年では効率よく時間を活用する「タイパ(タイムパフォーマンス)」という略語が誕生するほど、いかに短い時間で高い満足度を得るかが重要視されつつあります。数秒から数分程度の尺が短い動画コンテンツはタイパの代表例でしょう。TikTokをはじめ、Instagram、YouTubeなどのプラットフォームに投稿される短尺動画は日を追うごとに1日の再生回数を伸ばしています。これらのプラットフォームでは動画コンテンツを視聴できるのはもちろん、投稿者が広告収入を得られることも特徴的です。

2023年には日本でも「YouTube ショート」で広告収入が得られるようになりました。総視聴回数やそのほかの条件によりますが、数万円から数十万円ほどの収入を得ることも可能なようです。この記事では主にYouTube ショートで収益化したいと考える事業者に向けて、YouTube ショートに動画を投稿するメリット・デメリットや、収益化に必要な手順や条件、報酬の目安などに触れていきます。

目次


YouTube ショートとは

YouTube ショートとは、動画共有プラットフォーム「YouTube」内にある、最大60秒の短い動画を投稿・視聴できる機能です。従来の横長動画ではなく、縦長動画であることも大きな特徴です。

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YouTube ショートが世界ではじめて公開されたのは2020年のことでした。最初に利用が可能になった国は、中国に続いて2番目に人口の多いインドです。その後、利用できる国が次々と追加され、2021年7月には日本を含む100カ国で利用できるようになりました。ショート動画が近年爆発的な人気を集めていることもあり、YouTube ショートは機能公開からたったの1年間で全世界での再生回数が1日300億回を記録し、公開当初と比べるとその数は4倍ほどにおよぶそうです。

参考:
World Population Prospects 2022(United Nations)
いよいよ日本で YouTube ショートが始まります(2021年7月13日、日本版YouTube公式ブログ)
YouTubeショート導入1年。全世界の再生回数は1日300億回(2022年7月8日、AV Watch)

YouTube ショートにはどんな機能がある?

YouTube ショートは視聴のほかにも、誰もがショート動画を無料で作れる機能を兼ね備えています。具体的には以下のようなことができます。

  • 複数の動画のつなぎあわせ
  • 楽曲の追加
  • 動画の撮影
  • 再生速度の調整
  • フィルターの追加
    など

これらは簡単に楽しく動画作成に取り組んでほしいという思いから用意された機能で、今後もできることの幅はどんどん広がっていくようです。

参考:いよいよ日本で YouTube ショートが始まります(2021年7月13日、日本版YouTube公式ブログ)

YouTube ショートにはどんなコンテンツがある?

どのようなショート動画がYouTube上で人気を集めているのでしょうか。

参考までに、国内最大級のYouTubeデータ分析ツールの運営会社、株式会社エビリーが2022年に行った調査による60秒以下の動画の推定視聴回数ランキングを紹介します。

  チャンネル名 配信内容
1 かっしーチャンネル ネットミームや話題の人物についての解説
2 かんだま劇場 簡単なコーディネートやヘアアレンジ、メイクなど
3 ISSEI/いっせい ミームなどを交えたおもしろ動画
4 修一朗 東京での少し風変わりな生活
5 ハイスクール・バンバン アカペラグループの音楽
6 アイドルのいる生活 アイドルとオタクが同棲する日常
7 Kevin’s English Room / 掛山ケビ志郎 海外の文化や言語などについて
8 Apple Japan 新製品のリリース情報やチュートリアル
9 バンカラジオ きいたとやねすけの2人組によるコメディ

※:調査結果で最も視聴回数の多かったのはdocomoOfficialのチャンネルでしたが、YouTube ショート内での投稿はなかったため上記の表からは省いています。

上記のうち5チャンネルは、TikTokで数十万人以上のフォロワーを抱えるクリエイターです。TikTokとYouTube ショートを併用する傾向が伺えます。

さらに60秒以下の動画の推定視聴回数をもとに、上位100位を獲得したチャンネルのカテゴリーを分析したところ、人気があるカテゴリーは以下の通りでした。

エンターテインメント……34%
ブログ……29%
コメディ……11%
ゲーム……7%
映画とアニメ、音楽……4%
教育、料理とグルメ……3%
科学と技術……2%
ハウツーとスタイル……1%

参考:YouTubeのトレンド!ショート動画が人気のYouTuberは?短尺動画が伸びやすいYouTubeチャンネルランキングを発表!(2022年5月25日、株式会社エビリー)

ビジネスでのYouTube ショートの活用方法

前述の推定視聴回数ランキングに「Apple Japan」のチャンネルがあったように、企業もYouTubeショートを活用しはじめています。企業アカウントでは、以下のような内容をショート動画にして、認知度向上を目指したり、商品の魅力を発信したりすることができます。

  • 商品が作られる過程
  • 社員が働いている様子
  • 業界におけるトレンドやノウハウの解説
  • 自社サービスを実際に体験している様子
    など

あっと驚く内容ではないかもしれませんが、YouTube ショートは上記のような内容をどうおもしろく編集するかが腕の見せどころです。親しみやすさ、実用性、意外性など、動画のアプローチ方法をある程度決めて制作に取り組むとコンテンツに統一性が出て、視聴者にも覚えてもらいやすいでしょう。ビジネスでの活用例を以下に挙げます。

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動画を観て商品を手に入れたいと思った視聴者に向けて、動画の詳細欄やチャンネルの概要欄にネットショップや公式ウェブサイトへのリンクは必ず貼り付けておきましょう。

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YouTube ショートに投稿するメリット

ショート動画をYouTubeに投稿することにはどんなメリットがあるのでしょうか。

不特定多数の人に動画を見てもらえる

YouTubeのホーム画面には基本的に視聴者が登録をしているチャンネルのコンテンツや、これまで視聴した動画と類似したコンテンツが表示されますが、YouTube ショートのタブではチャンネルをフォローしているかどうかに限らずランダムでコンテンツが表示されるのが特徴です。フォロワーかどうかに限らず動画を観てもらえることは、より多くのファンを獲得するチャンスといえるでしょう。

ただし上位表示されるにはある程度のエンゲージメント率を獲得しなければいけません。たとえばコメントがたくさんある動画や、評価が高い動画、再生数の多い動画は上位表示されやすい傾向にあります。

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初心者でも簡単に動画を作成できる

YouTubeに投稿されている長尺動画は編集が凝っていたりとある程度の技術やツールが必要で、ハードルが高いと感じるかもしれません。一方でYouTube ショートでは短い動画が投稿できるうえ、YouTubeのアプリから誰でも簡単に動画を撮影・編集できるため、動画の作成経験がなくてもコンテンツが作りやすく、収益化も狙いやすいプラットフォームだといえます。

低コストで、短時間で制作できる

前項にもあったようにYouTube ショートはアプリ内で動画を作成できることから、制作コストを抑えやすいでしょう。またコストに限らず時間があまりかからない点も特徴的です。たとえば長尺動画だと1週間かけて作成していたところが、ショート動画だと数日、あるいはその日中に終わることも考えられます。

60秒の縦長動画という投稿形式はTikTokをはじめとする短尺動画のプラットフォームにも当てはまることが多いため、同じ動画を別のプラットフォームに投稿し、より幅広い層へのリーチを狙うこともできるでしょう。

YouTube ショートのデメリット

ショート動画は誰もが簡単に作成できるため参入のしやすさがありますが、弱点もあります。

特定のページに誘導しにくい

YouTube ショートをマーケティングに活用する際には、公式サイトやネットショップなど、サービスの詳細が確認できるページに誘導したいこともあるでしょう。ところがYouTube ショートでは動画の右下にある三点マークをクリックしないと詳細が見れず、動画の内容に気をとられて三点マークの存在にすら気づかない可能性も考えられます。

このような構造から、特定のページに誘導する動線を引くことは難しいかもしれません。しかし「見てもらえないからリンクを貼らない」のではなく、「見る人がいるかもしれないからリンクを貼る」という思考が大切です。動画の詳細欄に誘導したいページのリンクを貼り付けておくのはもちろんのこと、チャンネルの概要ページにも必ずリンクを記載しておきましょう。

リーチできない層が出てくる

YouTube ショートはまだ誕生してから日が浅く、YouTubeの長尺動画よりも視聴者が少ないかもしれません。そのため、より幅広い層に観てもらうためには、YouTube ショートだけでなく、従来の長尺動画も制作・投稿しておくことが望ましいといえます。また短尺動画は若年層を中心に視聴されることが多いため、ターゲット層によってはリーチできない可能性も考えられます。

収益があまり得られない可能性がある

YouTubeの長尺動画と比べるとショート動画で得られる収益は少ないかもしれません。

YouTubeの長尺動画では、基本的にチャンネルの登録者数や再生回数に応じて単価が決まり、広告収入が支払われます。1再生あたりの単価は約0.05円から0.7円だといわれています。

参考:YouTubeで「100万回再生」されたときの収益/広告収入の目安 最大50万円!注意点も(2022年12月28日、OTONA LIFE)

一方でYouTube ショートは月ごとにその国全体で得た広告収入をクリエイター間で山分けする形になります。細かな点は次章で解説しますが、おおまかにいうと、全体の再生回数のうちどれだけの割合を占めているかによって報酬額が決まります。収益の分配方法が少し複雑なため、どれくらいの報酬が見込めるかは「YouTube ショートで収益を得るための条件」の章で詳しく説明します。

全体の広告収入や、自分の動画の再生回数が占める割合などによって単価が左右されるため、場合によっては長尺動画の単価を下回ることもあるようです。そのため長尺動画と短尺動画が同じように100万回再生されたとしても、YouTube ショートから得られる収益のほうが低い可能性もあるでしょう。

参考:YouTube ショートの収益化ポリシー(YouTube ヘルプ)

YouTube ショートで収益を得るための条件

YouTube ショートで収益を得るには、YouTubeパートナープログラムへの参加が必須です。以下二つのいずれかを満たすと、登録できるようになります。

  • チャンネルの登録者数が1,000人以上いる、公開済みのショート動画の視聴回数が1,000万回以上(直近90日間)
  • チャンネルの登録者数が1,000人以上いる、公開済みのショート動画の視聴時間が4,000時間以上(過去1年)

90日間で1,000万回以上の視聴回数を獲得するには、週3本の動画を公開している場合、1本あたり約28万回の視聴回数が必要です。

二つ目の条件にある「4,000時間」も想像がしにくいかもしれませんが、4,000時間を分にすると24万分です。動画1本あたりの長さが1分だと想定すると、公開されているショート動画の総再生回数が年間で24万回を超えないといけないということです。

上記の条件のほかにも、自作のコンテンツ(※)でないといけないことも留意しておきましょう。

※:他人のコンテンツでもひと手間を加え、視聴者が元の動画と新たな動画に「有意義な差異」を認識できれば、再利用は認められるようです。

加えて収益化の対象となるには、YouTubeに公開されている広告掲載に適したコンテンツのガイドラインを遵守すること、ボットなどにより不正に視聴回数を得ていないことも求められます。詳しくはYou Tubeのヘルプページを参考にしてください。

YouTube ショートでの収益化の仕組み

クリエイターに配分されるのは、ショート動画の間に挟まれる広告から得た収入です。架空の例を用いながら、どのように各クリエイターへの報酬額が決まるかを見ていきましょう。

まず、1カ月ごとに各国で得られた全体の再生回数と、広告収入の合計額が算出されます。以下を例として挙げます。

  日本での合計視聴回数 日本での広告収入額
2023年1月 1億回 1,000万円

大きく二つのステップを経て、各クリエイターへの報酬額が算出されます。

(1)クリエイタープールと音楽ライセンス費用の配分を計算

広告収入は、クリエイターの報酬と音楽ライセンス費用にあてられます。分配方法は以下の通りです。

動画に音楽を使用している場合

報酬額は動画に使用された楽曲数と均等に分けられる。

⚫︎1曲使用した場合:報酬額の50%は楽曲ライセンス費用にあてられ、50%はクリエイタープールに渡る

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参考:ショートクリエイター向け、新YouTube パートナー プログラム参加方法:参加資格、広告収益分配、分析について(YouTube クリエイター)

⚫︎2曲使用した場合:報酬額の66%は楽曲ライセンス費用にあてられ、33%はクリエイタープールに渡る

動画に音楽を使用していない場合

報酬額の100%がクリエイタープールに渡る。

クリエイタープールとは、報酬の対象となる全クリエイターに支払われる広告収入の合計額です。上記の計算式をもとに音楽ライセンス費用との配分を計算すると、クリエイタープールの額がわかります。たとえば今回は全体の2割が1動画につき、1楽曲を使用しているとしましょう。

音楽ライセンス費用の計算方法

広告収入の合計額の2割を算出:

1,000万円(広告収入の合計額) × 20 ÷ 100 = 200万円 

1曲しか使用されていないため、上記の50%が音楽ライセンス費用に渡る:

200万円 × 1/2 = 100万円

音楽ライセンス費用は100万円の計算のため、クリエイタープールには900万円があてられます。

(2)個々のクリエイターに渡る報酬額を計算

次にクリエイタープール(900万円)から個々のクリエイターに分配される報酬額を計算します。

各クリエイターへの報酬額は、各クリエイターの動画の総再生回数が全体のうちどれだけの割合を占めているかをもとに計算されます。

たとえば「ABC」と呼ばれるチャンネルが100万回の再生回数を獲得していたとします。先ほどの例では月の合計再生回数が1億回だったので、「ABC」の割合は全体の1%になります。察しのいい人はクリエイタープールの1%がABCに渡るかと思うかもしれませんが、実はここからさらに45%の収益分配率が適用されます。

900万円 × 0.1 = 9万円
↓
【収益分配率適用後】9万円 × 0.45 = 40,500円

よって「ABC」に実際に支払われるのは、40,500円です。

自分自身のパフォーマンスだけでなく、全体の視聴回数や広告収入額に報酬額が左右される点は覚えておくといいかもしれません。

見てもらえるYouTube ショート動画を制作するコツ

YouTube ショートの動画は短いため最後まで観てもらいやすいかと思いきや、指を下から上にスワイプするだけで次の動画に進んでしまうこともあり、しっかりと視聴者を惹きつけておかないとすぐにスキップされてしまう可能性があります。最後まで観てもらえるショート動画を作るには、以下の点をおさえておきましょう。

1秒目から視聴者を惹きつける

時間をかけて作成した動画をちゃんと観てもらうためには、冒頭から惹きつけることが大切です。動画の目的がパッとわかるようなテキストや、次のシーンを期待させるような文言を載せることも視聴者を最後まで掴んで逃がさないためには効果的です。

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結末を引っ張らない

つい見てしまう動画に欠かせない点は、テンポのいいストーリー展開です。ショート動画は早送りができないため、結末だけを見ることができません。よってあまりにも結末を引っ張ってしまうと視聴者は飽きて次に進んでしまいます。ショート動画は基本的に「①視聴者を惹きつける②ストーリーを広げる③クライマックス」の構成で作られることが多いですが、①から②に進むタイミング、②から③に進むタイミングのバランス、どの瞬間も視聴者を惹きつけておけるかを意識しながら作成していくといいでしょう。

投稿内容のテーマを統一する

YouTube ショートの動画をきっかけにチャンネル登録者が増えたり、チャンネル全体の再生回数が伸びたりすることは、投稿者が求める理想的な流れかもしれません。視聴者は動画の内容やスタイルなどを気に入ってチャンネルを訪れることが多いため、登録してもらう可能性を高めるにも投稿のテーマや編集スタイルをある程度統一しておくといいでしょう。

たとえばマイナビ転職のYouTubeチャンネルは、「会社員によくあること」をショート動画のテーマとしています。どの動画にもほとんど同じ出演者を登場させている点でも、「お仕事あるある」「転職あるある」「面接あるある」などとコンテンツをシリーズ化している点でも統一性を出していて、参考になる例といえます。マイナビ転職のショート動画は以下のリンクから視聴できます。

▶︎マイナビ転職の公式YouTubeチャンネル【公式】

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企業がマーケティングツールとしても活用できる、YouTube ショート。収益を得るにはある程度の再生回数が必要ですが、動画が晴れて注目されれば新たな収入源になるうえに、ブランドの認知度向上にも役に立ちます。どのようなアプローチなら継続的に動画を作成していけるかを考えたうえで、一本目の動画を作成してみてはいかがでしょうか。


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執筆は2023年4月18日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。
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