時代が求めるダイレクトマーケティングを、コミュニケーション重視で成功させる方法

ダイレクトマーケティングは従来からあるマーケティング手法の一つですが、インターネットの普及した現代でその重要度はさらに高まっています。ダイレクトマーケティングの鍵となるのは、一対一のコミュニケーションです。

普遍的なダイレクトマーケティングでどのようにお客様の心を掴み、商品やサービスの購買へつなげていくのか、具体的な活用方法やメリットを解説します。

ダイレクトマーケティングとは

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ダイレクトマーケティングとは、その名の通り、お客様との直接的なコミュニケーションを軸とするマーケティング手法です。概念としては古くからあり、カタログショッピングやダイレクトメールの郵送などで実践されてきました。国際的な広告代理店ワンダーマン(Wunderman)の創設者であるレスター・ワンダーマンによって1967年にダイレクトマーケティングと名付けられたことで、その利用方法や概念が確立されました。レスターは2019年1月に亡くなりましたが、今も「ダイレクトマーケティングの父」と呼ばれ、その普遍的な手法は世界中で活用されています。

参考:ワンダーマンの「売る広告」(レスター・ワンダーマン著、翔泳社)

ダイレクトマーケティングの実例

ダイレクトマーケティングを理解するために、テレマーケティングを例にするとわかりやすいでしょう。ターゲットに営業電話をかけ、たとえば引っ越しサービスの売り込みをして興味を持ってもらったとします。実際に見積もりに出かけ、対面で挨拶をしてコミュニケーションを図り、見積もり額を提示し、契約が成立すればダイレクトマーケティングの最初の一歩として成功です。引っ越し作業の完了後、郵便やメールで利用のお礼とアンケートを送り、同時に不用品の処分や家事代行のサービスも行なっていることを宣伝します。引っ越しサービス利用のお礼として、数カ月後や半年後、あるいは季節の変わり目や年末などにクーポン券や割引キャンペーンの案内を送っておけば、お客様は必要に応じてリアクションが可能です。

この例からわかるように、ダイレクトマーケティングには以下の特徴があります。

1, 直接のコミュニケーションを基本とする
2, 双方向のコミュニケーションが可能
3, コミュニケーションチャネルは複数でも可
4, お客様の反応を測定することができる

テレビコマーシャルなどのマスマーケティングと異なり、ダイレクトマーケティングはよりお客様との距離が近いことがわかります。テレビコマーシャルでは個々のお客様の実際の反応を目の当たりにすることはできませんが、テレマーケティングや対面では、お客様がどのような感情を抱いたか、どの点が満足か・不満か、今後も利用したいと感じたか、などを詳しく知ることができます。そのため、次回以降の営業活動や、他のお客様への営業活動にもフィードバックを生かすことが可能です。

ダイレクトマーケティングのチャネル

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ダイレクトマーケティングには、以下のようなマーケティングチャネルがあります。

・郵便
・電話
・FAX
・Eメール
・オンライン広告
・モバイル広告
・ソーシャルメディア
・雑誌・新聞の折り込み広告

たとえば個人に最適化されたオンライン広告も、ダイレクトマーケティングのチャネルになり得るものです。お客様が広告をクリックするという直接のアクションでEコマースサイトを訪れれば、そこからお客様の情報を得ることができ、広告を見た時間帯や広告内容、買った商品などの情報と紐づけて管理することができます。

また、従来型のカタログショッピングは、既存顧客が新規顧客を紹介する形で広がっています。オフラインの口コミという形で情報を得た新規顧客が、電話で問い合わせたり、カタログ付属のハガキで申し込みをしたりすることで、ビジネスが展開していくため、お客様の反応をダイレクトに把握できます。これもダイレクトマーケティングの手法です。

ダイレクトマーケティングが重視される理由

ダイレクトマーケティングの概念そのものは決して目新しいものではありませんが、今、ダイレクトマーケティングを重視するには大きな理由があります。

まず、同じように広告を効果的に使うマスマーケティングとの違いを考えてみると、ダイレクトマーケティングが時代に求められるわけが見えてくるでしょう。マスマーケティングは、テレビコマーシャルや新聞広告など、不特定多数の大衆(マス)をターゲットにしたマーケティングの在り方です。マスマーケティングは商品やブランドの知名度アップ、イメージ形成には優れた効果を発揮する一方、個人の購買意欲に直結するかというと、現代では効果が出にくいケースがあると考えられます。背景として、テレビなどの大手メディアの情報が消費者の購買意欲につながっていた経済成長期と、現代では消費の構造が異なることが挙げられます。

インターネットが普及し誰もがたくさんの情報にアクセスできる現代では、人は複数の商品を比較・検討した上で、口コミ情報や評判、実際に使用している人の意見を参考にしながら、最適な価格で購入できる販売チャネルを探します。さらには、より自分の好みに合うものを、より自分らしさを表現できるものをショッピングに求めるようになっている傾向が見られます。消費者の行動の変化により、マスマーケティングのように不特定多数をターゲットとした宣伝では個々の消費者の心を捉えることが難しく、より個人に最適化されたダイレクトマーケティングのほうが消費者のニーズに応えやすいといえます。

ダイレクトマーケティングを行う際は、個人と直接つながる双方向的なコミュニケーションという側面をしっかり意識し、一対一の感覚をお客様と共有することを忘れないようにしましょう。

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ダイレクトマーケティングを活用するメリットとデメリット

ダイレクトマーケティングを実際にビジネスに導入する際、考え得るメリットには以下のようなものがあります。

・限られた予算の中で実践しやすいため、スモールビジネスや立ち上げたばかりのベンチャー企業においても導入可能
・オンラインでもオフラインでも応用が効くため、幅広い顧客層に対して活用できる
・お客様の反応や行動を情報として蓄積でき、商品とマーケティングチャネルの相性などをデータ化しやすい
・お客様から企業側の「顔」が見えやすいため、安心感を与えられ、信頼につながりやすい

一方、ダイレクトマーケティングの想定されるデメリットとしては、個別の対応になればその分だけ人の手がかかることが挙げられます。お客様の数が膨大な場合は、ダイレクトマーケティング用の人的コストを十分に考慮する、あるいは多人数のお客様に対応できるダイレクトマーケティングの施策を検討する必要があります。

また、ダイレクトマーケティングを実践する上で気を付けたいのが、多くのお客様を相手にする場合、「一対一」の感覚が薄れ、マスを相手にしたマーケティングと同じようになってしまうことです。

たとえば、ダイレクトメールを送る場合に、個人ではなく多数に語りかけるような文面になっている、複数のメール送信者によってお客様との心理的な距離感が異なるといった場合、お客様はコミュニケーションに違和感を抱くようになり、やがてそれは商品やブランドへの違和感へつながっていきます。

常にメッセージを受け取る側のお客様の視点に立ち、コミュニケーションの質や量を意識することが、ダイレクトマーケティングを成功させるコツといえるでしょう。

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執筆は2019年4月10日時点の情報を参照しています。
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