企業文化とは?企業風土との違い、なぜ重要なのか、要素や事例などを解説

企業が成長を続けていくうえでは仕事を効率的に進めるだけではなく、一見遠回りに見えますが、企業文化を築いていくことも重要です。

今回は、企業文化とは何か、企業風土との違い、企業文化がなぜ重要なのか、企業文化を形作る要素、国内外における企業文化の事例について解説します。

企業文化とは

企業文化(組織文化)は経営学用語の一つであり、商学部や経営学部などで経営管理などを学習する授業の中で扱われます。

企業文化とは、一言でいえば、企業において「共有化された価値観・規範・信念」のことです。

参考:ゼミナール経営学入門(伊丹敬之・加護野忠男共著、日本経済新聞社)

社会を構成する一人ひとりは社会のルールに従って生活をしています。それは企業でも同じであり、企業が継続的に発展・存続していくために最適な行動を定めたルールを、企業が独自につくる必要があります。

組織心理学や組織文化論の著名な研究者であるエドガー・H・シャイン氏によると、組織や企業などが作り出す文化は、次の3段階のレベルから形作られています。

レベル1:人工物(artifact)
レベル2:価値観(value)
レベル3:基本的仮定(basic assumption)

レベル1の「人工物」は、ロゴやブランド、社内行事や服装、公式的な理念や社名など、目に見える表面的なレベルで作られたものです。

レベル2の「価値観」は、レベル1の背景にあるものとして共有されている、目標や戦略、社内哲学など、議論の余地がある観念を指します。

レベル3の「基本的仮定」とは、レベル2のさらに背景にある、はっきりとは示されていないが無意識レベルで当然とされている、基本的な仮定のことです。

レベル2の段階では議論の余地があるのに比べて、レベル3の段階では、組織が過去の成功・失敗体験を共有することで議論の必要がない「仮定」へと変容しています。

つまり、新たに組織文化や企業文化を作るには、まず経営者が理念を表明し(レベル1)、経営陣などが戦略などに取り込んで共有(レベル2)、共有された戦略が数々の成功体験を収めて議論の余地のない「仮定」へと成長する(レベル3)という過程を踏む必要があるといえます。

企業風土との違い
このように、企業文化はまず経営者などが理念の提示など表面的なレベルで働きかけ、先述したレベルを経て変容していくなど、企業が自らの手で作り上げていく価値観という要素が大きいです。

これに対して企業風土とは、明文化されない形で共有されている、企業や部署など組織独自の考え方や行動パターンです。

企業文化は、経営管理の一環として形作られることもあり、ネガティブなものはほぼありません。対して企業風土は、ポジティブなものももちろん多いですが、「企業風土の刷新」などの意味で使われる場合はネガティブな慣習を指します。

たとえば、上司に意見をいいにくく、新しい試みがしにくい、問題を指摘せず隠蔽(いんぺい)する傾向がある、自部署の利益ばかりを主張して他部署と協力できないなど、なぜか醸成されてしまった行動パターンのことです。

企業風土は暗黙的に共有されているため、刷新は困難な傾向があります。

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企業文化を作り出す重要性

企業文化を作り出すのが重要である理由として、主に次の点が挙げられます。

  • 自社のイメージを打ち出しやすい
  • 自社のイメージと合致する応募者が集まる
  • 従業員のモチベーションが向上し離職率が低下する
  • 組織のチームワークが向上する
  • 意思決定がスピード化する

企業文化の形成により、経営陣から従業員まで同じ価値観の共有が可能です。そのため、自社ではどんな理念や働き方を大事にしているかイメージを打ち出しやすくなり、そのイメージに賛同する応募者が集まります。

その結果、従業員が仕事や働き方に納得しやすくなり、モチベーションやチームワークの向上、離職率の低下につながりやすいです。

価値観が共有されていると、経営判断において何が大事かも共有されるため、意思決定のスピードも向上します。

事業成長にも貢献する企業文化を作る要素

企業文化を形作る要素として、主には次のものが挙げられます。

  • 理念
  • 人物
  • エピソード
  • 慣習
  • セレモニー
  • ネットワーク
    など

企業文化を形作るには、先述したレベル1の段階として、まず経営陣などが経営理念や価値観を発信する必要があります。

理念や価値観を文化にするためには、その前に日常レベルでの慣習へとブレイクダウンする必要があります。慣習の普及には、価値観などが具体的な形で示されたセレモニーも必要です。

さらに、価値観を伝え続けるには、情報チャネルとして社内イントラネットなどのネットワークを強化する必要もあります。

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国内外の企業文化の事例

国内外における企業文化の事例を紹介します。

企業文化にはシンプルな理念の発信が大切という事例

アメリカのある大手テクノロジー企業は、売上高の過去最高記録を更新し続けるだけではなく、有名雑誌の働きたい会社ランキングでも連続1位を取り続け、世界一のホワイト企業ともいわれています。

そのような企業文化を形成する要素のひとつに、「スーツがなくても真剣に仕事はできる」(You can be serious without a suit.)という社訓があります。背景にあるのは、仕事は楽しいチャレンジに満ちている必要があり、そのためには従業員に自由を与えて創造性を刺激するほうが効果的だという理念です。

企業文化を形作るうえで、シンプルかつ共感できる理念を発信して、それに呼応する人材を集めることは重要だといえます。

企業文化には理念の慣習化とセレモニーが大切という事例

日本のある飲食チェーンでは、従業員に自社の魅力を聞くと「従業員」と答える人が多いのに、友人に自社をプレゼンする研修においては、商品や店舗を魅力に挙げるケースが多く、なぜか魅力として従業員が挙がってこないという課題がありました。

そのため、それまでは店舗ごとに「世の中の体温をあげる」という理念に対して、理念を実現できた取り組みを発表・賞賛する成果発表会を開催しました。

実現度を評価する指標は定量的な数字ではなく、具体的にどのように誰の体温を上げたのかという定性的な要素を大切にし、自店舗では当然と思っていたことが賞賛される場をもつことで従業員に自信がつき、理念の具体化により企業文化も深化しました。

理念を浸透させるには、慣習化とそれを自覚させ促すようなセレモニーも大切です。

企業文化とは、企業において共有される価値観であり、能動的に作り上げていくことが可能です。これに対して、企業風土とは暗黙的に共有されている行動パターンであり、自然に醸成されたものという意味合いが強いです。企業文化を形作るには、まずは経営陣などが理念を発信し、経営陣や従業員が共有・慣習化する過程で、セレモニーやネットワークなどの仕組み化ができるとより効果的といえます。

執筆は2019年11月19日時点の情報を参照しています。
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