見上げると、田園都市線が走る高架線が見えるところに、ひっそりとたたずむパン屋がある。「Bakery & Cafe KOaA(以下、コア)」は、旬の味わいを大切に、素材の味を最大限に引き出す自家製天然酵母のパンが楽しめるお店だ。田園都市線二子新地駅と高津駅のどちらからでも、歩いて5分ほどでたどり着く。
店舗があるのは、オーナー・大藪佳代子さんの自宅の1階。地下には夫の設計事務所が併設されている。当初はパン教室をしながら、リクエストに応じてパンを販売しようと考えていたこともあり、「エントランスもお店っぽくないし、普通の住宅のような見栄えなんです」と柔らかな口調で話す大藪さん。
ところが折に触れてパンを渡していた友人からの口コミが広まり、パンの注文は予想以上の数に。「なら、パン屋を開こう」と方向性を変え、コアが誕生したのは2011年4月のこと。当初から営業日は木曜日から土曜日の3日間で、月曜日から水曜日を仕込みなどに費やしている。
オープン当初は現金決済のみだったものの、イベント出店時にSquare リーダーとSquare POSレジを導入。業務が大幅に効率化されたことを契機に、その後、店舗でもそのまま利用している。さらに店舗営業と並行して行うパンの発送には、メールで送れるSquare 請求書も使用。Squareを導入してよかった点、詳しい活用方法などについて大藪さんに話を伺った。
業種 | 小売業、飲食業 |
業態 | パン屋、カフェ |
利用しているサービス | Square リーダー、Square POSレジ、Square 請求書 |
導入を検討した理由 | イベントへの出店時にキャッシュレス決済を導入したかったため |
Squareが役に立っている点 | ・レジ締めの業務時間短縮 ・お取り置きの会計がスムーズ ・トレーニング時間がほぼかからない ・パンの発送にSquare 請求書が活用できるイベントへの出店時にキャッシュレス決済を導入したかったため |
現金のみで対応したら、すごく大変だった
渋谷ヒカリエで行われたイベントに「出店してもらえませんか」と声が掛かったのは、オープンして4年が経った2015年のこと。当時は店舗でも現金払いのみだったため、まずはイベントも現金だけで対応してみることにした、という大藪さん。
「そしたらお金の計算とか、いろんなことが大変で。そのあと、再び『出店しませんか』と声が掛かったので、そのときにキャッシュレス決済とPOSレジアプリを入れようって話になったんです」
二度目のイベント出店でキャッシュレス決済を導入するにあたり、選んだのがSquare。アメリカに住むグラフィックデザイナーの友人から「アメリカではみんな使ってるよ」とお勧めされたことが導入のきっかけとなったという大藪さん。
イベント開催時期にちょうど勧めてくれた友人が来日していたこともあり、決済まわりはその友人に手伝ってもらったという大藪さん。「『これとこれを押して、次はこうだから』って言われる通りにやっていきました。それからは使いにくいとか、わかりにくいとか、困ることはなかったと思いますね」
操作方法が簡単であることに加えて、大藪さんは以前と比べて、会計処理がぐんと楽になったという。なかでも最も助かっている点は、レジ締めの時間短縮。
「前までは、その日の売り上げが全部記載された長いレシートを出して、エクセルに入れて、売り上げを出していました。そしたら全然合わない、みたいなことがよくありましたね(笑)。レジ締めには一時間以上はかけていました。もうぐったりで。一日の終わりで疲れていますしね。それでも1円違うと、夜中まで原因を探す、みたいなことをしていました」
SquareならPOSレジアプリから、またはパソコンからSquareのアカウントにログインすれば、その日の売り上げがひと目で確認できる。
「今だったらさっと10分、15分くらいで終わります。やっぱり毎日の会計作業が圧倒的に楽です。あとすごくいいのが、今週と前週の売り上げを比較できるところです。(今週、前週に限らず)期間を選んで、何が何個売れたかがすぐに出てくるのは、すごく便利です」
このように業務効率化も図れることから、イベント終了後には自然と店舗でもSquareを使い続ける流れに。
また、Square リーダーとSquare POSレジアプリはどちらも操作が簡単なことから、一度サッと使い方を説明するだけで「すぐにみんな使い出します」とのこと。新しいスタッフを雇う際、会計まわりのトレーニングに時間を割かなくていいのはうれしい点かもしれない。
パンの発送にはSquare 請求書を利用
コアでは悪天候などにより、パンが売れ残ってしまいそうなときには、お得なセットとしてお客様にパンを発送するサービス(Save One Life Shipping Service)を実施している。その際に「注文したいです!」と問い合わせてきたお客様への決済方法として活用しているのが、メールで送れるSquare 請求書。パパッとカード決済ができてしまう点は、お客様からもご好評のよう。
「『お会計はメールでSquareからいきますので、そちらに必要事項を入れていただければ、決済完了します』っていうと、『あら簡単ね』なんて言われます。結構みなさまにも喜ばれています(笑)」
感染症をきっかけにお店を一新
2020年4月には、感染症拡大の影響を受けて、全国ではじめての緊急事態宣言が発令された。どのように店を続けていこうかとさまざまなビジネスが頭を抱えるなか、大藪さんは休業を決意した。
「休業中は、衛生上の心配なくパンを売れるように、お店のレイアウトを変えたり、必要な機材を用意したりしました。デザイン的なところでも、ロゴやウェブサイトを変えたりして、ブランディングをし直しました」
▲休業中にリニューアルしたロゴは、食パンとカンパーニュを上下に並べたもの
以前までは10席あったイートインスペースもぐっと4席に減らして、空いたスペースにはカウンターを設置。パンがディスプレイされている背の高いショーケースも、衛生面を考慮して休業している間に、新たに取り入れたものの一つだとか。
再びオープンしたのは同年の9月。イートインスペースがキュッとコンパクトになったこともあり、それまでパンの販売と並行して用意していたカフェメニューの提供を思い切って止め、パンのみの販売に切り替えた。
新たにはじめたのは、パンのお取り置き。お客様は来店する二日前までにオンライン上でほしいパンを予約しておくと、店頭でスムーズに受け取ることができる。
お取り置きに伴う作業として、大藪さんはまずお客様から受けた注文の伝票をSquare POSレジアプリ上で作成し、レシートプリンターから印刷する。お客様が来店する当日、印刷した伝票をもとに、パンをトレイの上にまとめれば準備完了。受け渡しの際には、注文伝票の内容を読み上げながら、トレイに乗ったパンをお客様と一緒に確認しているという。
「最初のころはパソコンにお客様ごとに用意するお品物を打ち込んで、印刷して、同梱してたんですけど、それがすごい手間になっていて。なので、そこを割愛させていただいて(Square POSレジアプリから)伝票を出すようにしました」
Square POSレジアプリでは、お客様の名前で伝票を登録して、保存しておくことができる。保存しておいた伝票はアプリの会計画面にズラリと表示され、該当するお客様の名前をポチッと押せば、すぐに会計に進める。おかげで当日の受け渡しもスムーズに行えているそう。
体にいい、旬のものを提供していきたい
2021年4月で、10周年を迎えるコア。多くの常連客を抱えるなか、これまでさまざまな工夫を重ねてきた。たとえば毎週のように足を運ぶお客様でも毎回楽しめるようにと、「今週のスペシャル」を用意したり、お客様と積極的にコミュニケーションをとりながら、反響がよかったパンを再び作って並べたりもした。お客様に寄り添う姿勢こそが、お客様を毎週のように引き寄せているのかもしれない。
休業後は、近隣に住む常連のお客様に限らず、遠くから足を運んでくる若いお客様も増えたという大藪さん。何度も来たくなるまちのパン屋として、また遠くからも注目されるパン屋として、大藪さんが今後も大事にしていきたいこととは。
「コアでは『おいしい(GOOD TASTE)・シーズナル(SESONAL MENU)・体にいいもの(HEALTHY BODY)』という三つのコンセプトがあります。20年ほど前のことですが、私が病気をしたこともありまして。体にいいものをおいしく調理していきたいという気持ちがあります。
それと合わせて、旬のものの本当のおいしさを伝えていきたい、という思いもずっとありますね。お野菜なんかは旬のものだと栄養価も高いんです。そのようなこともあって、この三つのコンセプトは、意識する必要もないくらい当たり前に思っています。本当に自分が食べたい、体にいいものをこれからも調理していきたいです」
「今だったら(レジ締め作業が)さっと10分、15分くらいで終わります。やっぱり毎日の会計作業が圧倒的に楽です」ーBakery & Cafe KOaA オーナー 大藪佳代子さま
Squareが実現したこと
レジ締めの作業時間を短縮できた
Square導入以前、コアでは1時間以上かけてレジ締め作業を行っていました。Square POSレジアプリで決済を受け付けるようになってからは、10分から15分程度で作業を終えられるようになりました。
パンの発送にもカード決済を利用
パンの発送でもクレジットカードを受け付けたいという思いから、コアではメールで送れるSquare 請求書を活用しています。お客様は開いたメールからカード情報を入力して、決済を完了することができます。その利便性の高さから、多くのお客様から喜びの声があがっているそうです。
取り置きがスムーズに行える
コアでは感染症の影響を受けて、オンライン上でパンのお取り置きができるような仕組みを作りました。Squareの保留会計機能を活用することで、当日の受け渡しをスムーズに行うことができています。
トレーニングに時間がかからない
新しくスタッフを雇った際に、時間をかけたくないのが決済まわりのトレーニングです。Square POSレジアプリとSquare リーダーは決済端末にはじめて触れる人にとっても操作方法がわかりやすく、コアではトレーニングに時間を割くことはほとんどないそうです。
Squareでは、キャッシュレス決済が受け付けられる決済端末に加えて、POSレジやメールで送れる請求書など、パン屋の業務に役立つサービスや機能を多く提供しています。
この事例に登場したSquareのサービスは:
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。