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所得が急に増えた個人事業主は必見!所得の平均課税制度

Square (スクエア), ブログ編集者

フリーランスや個人事業主は、がんばって結果を出せばそれだけ収入も増えて手応えを感じる働き方が魅力的な一方で、収入が急に増えたり減ったりと、変動が大きく、毎年の所得が一定しないことが悩みだという人も多いのではないでしょうか。

所得に対する税金は、前年の所得に対して支払います。このため、一時的に収入が増えた年の翌年、収入が下がったところへ大きな税金負担がのしかかってきてしまう可能性があります。

このような、年ごとに収入の変動が大きい場合の負担を減らせる制度として「平均課税制度」があります。ここでは、所得の平均課税の種類や利用できる条件、算出方法、手続きの方法について解説します。

平均課税制度の種類と対象

所得税は「累進課税制度」といって、所得の増加に合わせて税率も上がるしくみになっています。現在の税率は、分離課税の対象などを除くと7段階の税率区分があります。

  • 195万円以下: 5%(控除額0円)
  • 195万円を超え330万円以下: 10%(控除額97,500円)
  • 330万円を超え695万円以下: 20%(控除額427,500円)
  • 695万円を超え900万円以下: 23%(控除額636,000円)
  • 900万円を超え1,800万円以下: 33%(控除額1,536,000円)
  • 1,800万円を超え4,000万円以下: 40%(控除額2,796,000円)
  • 4,000万円超: 45%(控除額4,796,000円)

参考:No.2260 所得税の税率(国税庁)

突然収入が増えた個人事業主やフリーランスの場合、翌年の収入で税金を支払うことが困難になる可能性があります。特にクリエイティブな仕事でいつ何がヒットするかわからないような職業や、気象状況の変動に大きく左右される漁業、数年単位で契約を結び、更新時にまとまった金額の支払いが出る職業など、急激な変化が起きたときに税額が極端にならないよう調整するために設けられているのが「平均課税制度」です。

平均課税を選択することができる所得には、「変動所得」と「臨時所得」の2種類があり、それぞれ対象となる範囲が決まっています。

変動所得

変動所得は、毎年の収入に大きな変動があると予測される事業所得や雑所得で、次の事業が対象となります。

  • 印税や原稿料、作曲料
  • 著作権の使用料
  • 漁獲やのりの採集
  • はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠・真珠貝の養殖

水産生物の場合は捕獲してそのまま販売したり簡単な加工で販売したりするものを指します。同じ水産でも、わかめの採取やますなどの養殖は含まないなど、一般的な範囲より対象範囲が限定されているので注意が必要です。

臨時所得

変動所得に対し、臨時所得のほうが範囲はゆるやかです。事業所得や不動産所得、雑所得のうちの下記の範囲が対象となります。例でいうと、野球選手の年俸契約や、不動産の更新料など、3年以上のまとまった期間分を一時的に所得したものが挙げられます。

  • 不動産、借地権、耕作権、船舶・航空機、採石権、鉱業権、漁業権、特許権、実用新案権などの一時的に受け取る権利金や頭金(3年以上の契約で使用料の2年分以上の所得)
  • 公共事業の施行などに伴う事業の休業・転業・廃業による補償金(3年以上の期間分)
  • 鉱害その他の災害による補償金(3年以上の期間分)
  • 職業野球の選手などの専属契約(3年以上の契約で報酬の2年分以上の所得)

参考:令和元年分確定申告等作成コーナー よくある質問「変動所得・臨時所得の平均課税」(国税庁)

平均課税は過去にさかのぼることが可能

所得は毎年、確定申告で確定していきます。平均課税も確定申告時に申告手続きをとることになります。課税の種類によっては一度確定申告してしまうと修正できないものがありますが、平均課税は更正の請求が可能です。5年間さかのぼって請求することができますので、心当たりのある方は対象になっていないか確認してみるとよいでしょう。

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平均課税の条件

平均課税は、変動所得・臨時所得のいずれか、もしくは組み合わせて利用することができますが、適用させるための条件があります。

平均課税適用の条件は次のとおりです。少し複雑ですが、変動所得の場合は過去2年間(前年と前々年)の所得額、臨時所得については総所得に対して20%の所得額が大きな目安になります。覚えておくと便利でしょう。

  • 過去2年に変動所得がなかった場合
  • 過去2年に変動所得があり、2年間の合計額の2分の1が本年の変動所得に満たない場合で、本年の変動所得と臨時所得の合計が本年の総所得金額の20%以上の場合
  • 過去2年間の変動所得の合計が本年の変動所得の金額以上の場合、本年の臨時所得の金額が本年の総所得金額の20%以上の場合

参考:令和元年分確定申告等作成コーナー よくある質問「変動所得、臨時所得の平均課税を選択できる方」(国税庁)

平均課税の計算方法

平均課税計算は、おおまかにいうと、変動所得・臨時所得の20%の金額に累進課税の税率を掛けた後、5倍して1年分の税額とする方法が目安になります。

たとえば、平均課税の対象となる金額が500万円の場合、

  • 平均課税利用なし:500万円 × 税率20% - 控除 = 57.25万円
  • 平均課税利用あり:(500万円 × 20% × 課税率5% - 控除額0) × 5 = 25万円

平均課税の対象となる金額が1000万円の場合、

  • 平均課税利用なし:1000万円 × 税率33% - 控除 = 176.4万円
  • 平均課税利用あり:(1000万円 × 20% × 税率10% - 控除額)×5 = 51.25万円

このように、平均課税を利用した場合と利用しなかった場合では、税額が異なってきます。一時的な所得が大きくなればなるほど差が開いてきますので、上記の計算方法でざっくりと計算してみて対象となっているものがないか、チェックするとよいでしょう。

実際の税額計算は、少し複雑です。

(A)課税総所得金額 - 平均課税対象金額 × 4/5=調整所得金額
(B)調整所得金額に税率を適用して求めた税額 = 調整所得金額に対する税額
(C)課税総所得金額 - 調整所得金額 = 特別所得金額
(D)特別所得金額 × 調整所得金額に対する税額/調整所得金額 = 特別所得金額に対する税額
(E)調整所得金額に対する税額(B)+ 特別所得金額に対する税額(D)=その年の課税総所得金額に対する所得税額

平均課税は条件も正確な計算についても複雑になるため、税理士などの専門家に相談するのが確実です。

必要経費の計算

平均課税は、事業所得や不動産所得、雑所得の一部を対象として計算しますが、必要経費などを差し引きする際には、変動所得・臨時所得とそれ以外の所得について、対象となる部分ごとに分けて計算します。個別に計算できない必要経費については、経費の種類にあわせ、按分します。このため、対象となる種類の所得については、あらかじめ区別して整理しておくとよいでしょう。

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平均課税の手続き方法

平均課税制度は、確定申告時に自分から申告する形で適用されます。「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」に記載し、税務署へ提出します。計算書は、国税庁のウェブサイトから入手できます。手引きも公開されていますので参考にしながら記入してみると良いでしょう。

なお、青色申告特別控除は、変動所得・臨時所得の金額と、それ以外の所得の金額との比率で按分することになります。

平均課税は、賢く活用すればかなりの所得税の負担を軽減させることができ、毎年の事業を円滑に進めていくための強い味方になってくれます。ただ、うまく活用するためには、それぞれの所得や経費を丁寧に管理しておくことが重要です。また、事業者一人ひとり事情が異なるため、税務相談の窓口で聞いてみたり、税理士などの専門家を上手に活用することをおすすめします。


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執筆は2020年3月19日時点の情報を参照しています。
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