JAPAN
Cashless and the Pandemic
キャッシュレスと感染症拡大
この一年、新型コロナウイルス感染症の拡大 により私たちの日常生活は一変しました。緊急事態宣言による休業要請、通常営業の再開、そして2回目の緊急事態宣言と、事業者も難しい状況に置かれ、業態転換を決断した事業者も少なくありません。この一年間でビジネスのあり方そのものがかつてないほどに変化 をしました。
今回、これらの変化が、キャッシュレス決済と現金利用において、どのような影響を及ぼしているのか、米国、英国、カナダ、オーストラリア、日本について、過去一年のSquareのデータを分析したところ、生活やビジネスの変化に伴い、各国でキャッシュレス決済へのシフトがさらに進んでいることが明らかに なりました。
現金
各国の現金利用の比較
新型コロナウイルス感染症の拡大で、消費者の現金離れが各国で進んでいます。
2020年2月以降、米国、英国、カナダ、オーストラリア、日本の全ての国で、Square加盟店の現金決済の割合が減少しています。現金をどれくらい好むかは各国の文化によっても異なりますが、新型コロナウイルス感染症が世界規模で消費者の行動に影響を及ぼしています。
現金の利用が減る日本
2020年2月
78 %
コロナ前の現金決済数の割合
2020年5月
77 %
1回目の緊急事態宣言中の現金決済数の割合
2021年2月
74 %
2回目の緊急事態宣言中の現金決済数の割合
各国の現金決済の割合と推移
非接触決済
日本でも急拡大
コロナ禍でクレジットカードの非接触決済の利用が広がっています。日本でも非接触決済で支払える店舗が急速に増える一方、世界では既にスタンダードな決済方法として定着している国もあります。
日本で非接触決済を受け付けたことのあるSquare加盟店は、過去1年で28.5ポイント増えました。
非接触決済を受け付けたことのある日本のSquare加盟店
2020年2月
2021年2月
キャッシュレスビジネス
各国で増える現金レスの事業者
世界規模で感染が拡大するなか、米国、英国、カナダ、オーストラリアでは売上のほとんどをキャッシュレス決済が占める文字通り「キャッシュレス」の加盟店が大幅に増加していました。
日本では現金取扱がほとんどない事業者はまだ極わずかですが、現金よりもキャッシュレス決済の売上が多いSquare加盟店は2020年1月の21.1%から、2020年6月には26%に増加しています。感染拡大後、4店舗に1店舗がキャッシュレス決済の売上が現金売上を上回っている計算です。この割合は、2021年2月現在も変わりありません。
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キャッシュレス決済の売上が現金の売上を上回るSquare加盟店の比率
2020年3月から2021年3月にかけて、米国、英国、カナダ、オーストラリアではキャッシュレス加盟店の割合が2倍以上増加しています。オーストラリアでは、感染状況が比較的落ち着いている2020年10月以降もキャッシュレス加盟店の割合は微減するにとどまり、コロナ後の世界でも“新しい生活様式”としてキャッシュレスビジネスが定着することを示唆しています。
売上がほぼキャッシュレスの加盟店(%)
変化の定着
一時的か、定着か
感染症の拡大に伴って加速したキャッシュレス社会へのシフトが今後も続くかについて、米国のSquare加盟店と専門家の見解をご紹介します。
最近は現金をみることは稀です。以前は売上の70%が現金でしたが、今では10%程度です。もう以前の状態に戻ることはないでしょう”
エルシーメイ・キャニング・アンド・パイ (米国ウィスコンシン州)
オーナー
ケリー・ディーム
少額でもキャッシュレス決済を好んで使う消費者が増えたのは明らかです。多くはソーシャル・ディスタンスの必要性に迫られた格好ですが、その中にはキャッシュレス決済が清潔、安全、簡単だと気付き、今後も使い続ける人がいるでしょう”
ハーバード大学教授
シーリー・サンタナ
アフターコロナ
収束後は
どうなる?
コロナ禍でキャッシュレス決済の比率が各国共通で高まった背景には、事業者のオンライン販売チャネルの開発や強化、一部消費者の現金の受け渡しの回避とそれに伴う非接触決済や電子マネーの利用など、さまざまな理由が考えられます。キャッシュレス先進国の米国などに比べれば、日本は依然として現金社会のようにも見えますが、キャッシュレスが少しずつ浸透していることは間違いなく、現在のキャッシュレス先進国の状況は、数年後の日本かもしれません。
ワクチン接種が各国で始まり、感染症の収束が期待されるなか、本レポートが日本の皆さまのお役に立てば幸いです。
データ分析手法について>データ分析手法について
今回のデータ分析は、コロナ禍において継続して決済取引が確認された加盟店を対象としています。これは、分析対象とするコーホートの変化に伴う数値への影響を軽減する目的で、具体的には、2020年2月1日以降、計測期間とする28日以内に決済が12回以上発生していることを条件としています。感染症とは関係なく中小の事業者で起こりうる一時的な休業の可能性を考慮しました。また、感染症が拡大する以前に、Squareのいずれかのプロダクトで現金決済とカード決済の両方の取引履歴があることも条件です。以上の条件の下、日本については数千のSquare加盟店のデータを、特定の事業者が識別できない手法で分析しました。
本レポートにおけるキャッシュレス加盟店とは、支払いの95%以上を非現金による決済方法(クレジットカードやデビットカードによる対面決済(非接触含む)、オンライン決済)で受け付けている事業者を指しています。