本記事では、受取手形の種類や特徴、2026年に原則廃止される約束手形などについて説明し、併せて、受取手形を入手した際の仕分けや記入について解説します。
受取手形とは?
受取手形とは
このうち受取手形は、金銭の支払いを指定の期日(支払期日)までに行うと約束または指示する権利が明確に示されているもので、次の特徴があります。
指定の日以降に換金が保証されるため、受取る側は流動性資産(現金)の管理がしやすい 手形を担保として使えるため、短期融資の手段になる 証券は持ち主に対して特定の権利を認めることから、第三者に譲渡し現金化が可能
受取手形の種類(約束手形、為替手形)
為替手形と小切手の違い
国税庁 有価証券の範囲
中小企業庁 夢を実現する創業Q17 手形とは、どのようなものですか?
同志社大学伊東研究室 手形・小切手の基礎 意義と法的構造

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受取手形と売掛金・手形貸付金の違い
受取手形と売掛金の違い
受取手形と手形貸付金の関係
約束手形は2026年に原則廃止される
なぜ約束手形が原則廃止となるのか(約束手形の現状と課題)
現金振込に比べ約2倍、期日に振り出される取引だと約3倍も支払い期日が長い(中小企業庁が2020年度に行ったアンケート調査によると、振込だと平均50日程度なのが約束手形だと平均100日程度。最長で150日)。このため資金繰りが悪化してしまう 外国企業の取引は銀行振込やクレジットカード決済が多いが日本の企業の設定する支払い期日が長く、ビジネス環境の魅力を高め国際競争力を上げる観点からも見直しが必要 手形の割引料が受取人の負担になっていることが多く、料率も高い 紙を発行するコスト事務負担、管理上のリスクが大きく、企業間取引の電子化の妨げにもなっている
政府の方針と約束手形の廃止への流れ
約束手形に代わる決済方法
クレジットカード:クレジットカードの与信を受けての決済となるため、信頼性が高い取引を行うことが可能です。一定の利用料・手数料は発生しますが、支払いが月締めでまとめて行うことができ、取引ごとに個別に振り込む手間や事務負担が軽減されるため、小規模な取引では利用が浸透してきています。 銀行振込:取引ごとに振込先を確認して振り込む伝統的な方法です。取引先や回数などが多いと事務負担が大きくなりますが、オンラインバンキングの普及により、振込手続きもデータ上で行えるなど負担が軽減されてきています。 電子記録債権:手形と同様の取引の安全確保が図られた電子記録の金銭債権で、電子記録債権法により定められた制度です。期日前の現金化や、別の企業への譲渡で支払いに充当させることもできます。分割記録を行えば複数の支払いに充てることも可能です。また、電子記録債権の場合は印紙税や登録免許税は課されないというメリットもあります。
中小企業庁「約束手形をはじめとする支払い条件の改善に向けた検討会」報告書(骨子)
中小企業庁 第4回約束手形に関する論点について(令和2年11月6日)
閣議決定 成長戦略実行計画(令和3年6月18日)
一般社団法人日本貿易会 約束手形の廃止に向けた自主行動計画
中小企業庁 取引適正化に向けた5つの取組について(令和4年2月10日)
経済産業省 約束手形を振り出している発注者の皆様へ 紙の約束手形、やめませんか?

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受取手形を受け取った際にすること
受取手形記入帳への記入と管理
取引発生の日付:受取手形を受け取った日付 手形の種類:約束手形/為替手形の別 手形番号:手形に記載された番号 取引の摘要:売上や売掛金回収など取引の目的 支払人:約束手形の場合は振出人、為替手形の場合は引受人 振出人または裏書人:手形の発行者または譲渡した者 振出日:手形が振り出された日付 満期日:支払期日 支払場所:支払いを行う金融機関など 金額:手形に記載された額面 顛末:当座入金、割引、譲渡など、最終的に手形がどのようになったか
受取手形の仕訳方法
売掛金を手形で受け取った場合
借方:受取手形 貸方:売掛金 摘要:売掛金の回収
期日になり当座預金に入金された場合
借方:当座預金 貸方:受取手形 摘要:受取手形の決済
受取手形(裏書き手形も同様)へ裏書きし、買掛金の支払いを行った場合
借方:買掛金 貸方:受取手形(裏書手形) 摘要:買掛金の支払い
受取手形を期日前に銀行に買い取ってもらった場合
借方:当座預金、手形売却損 貸方:受取手形 摘要:当座預金⇒手形の割引、手形売却損⇒割引料
支払期日を過ぎて未払いだった場合
借方:未収入金 貸方:受取手形 摘要:未回収の支払い
佐藤文雄 商業簿記における補助簿の検討 専修商学論集81 141-171, 2005-10-10 専修大学学会(PDF資料ダウンロード)
手形割引・手形割引高とは?
手形割引とは
手形割引高とは
満期が来ていない手形は現金化することができないため、現金としては計上されません。このため、手形割引高は、通常は貸借対照表(企業の資産や負債を一覧にしたもの)の主要部分には含まれず、注釈や付属情報として枠外に記載します。
受取手形 流動資産 資産合計 流動負債
中小機構 経営自己診断システム 財務情報入力の注意点・解説
受取手形に関するよくある質問
受取手形とは、商品や役務の提供など商取引が成立した際に受注者が発注者から代金として受け取る有価証券で、金銭の支払いを指定の期日に約束または指示する旨が明記されています。指定の日以降に換金が保証されるため、受取る側は流動性資産(現金)の管理がしやすい、手形を担保として換金することができるため、短期融資の手段になる、第三者に譲渡し次の支払いに充当したり、金融機関に割り引いて現金化したりすることができるという特徴があります。
受取手形は資産として計上されます。手形は、他の企業などから指定の期日までに支払うことが約束されたもので、受取人にとっては債権、振出人(手形の発行者)にとっては債務になります。受け取った手形は支払期日を超えれば現金化することができますし、期日前でも譲渡や割引により支払いに利用することが可能です。このため、受取手形は現金に代わる資産として取り扱うことができます。
受取手形を現金化するには、支払期日を超えてからと支払期日が来る前とに大別できます。支払期日を超えた手形は、受取人が金融機関に対し、取立委任を行うことで現金化できます。支払期日がまだ来ない手形の場合は、手形の裏書により権利を譲渡して支払いの手段として使うことができます。また、金融機関に手形を譲渡することで支払期日までの利息分の割引料を差し引いた金額を受け取る手形割引による現金化も可能です。