会社経営における予算管理とは
会社経営における予算管理とは、数値目標の管理であると同時に経営管理の一つであり、経営状況を正しく把握する上での重要な指標となります。
予算は、会社の利益目標を達成するための計画です。予算管理は、目標の設定から目標達成のための計画、目標と実績の比較分析、目標達成の評価までの一連の流れを含みます。目標を具体的に数値化し全体で共有することで、目指すべき売上目標や利益目標が明らかになり、目標達成までの見込みや進捗状況を組織全体で把握することができます。
社内資源(リソース)も数値化されますから、それをどのように効率的に配分し目標達成につなげるか、戦略を立てることができます。また計画がうまく遂行されていないとき、どこに問題があるのかを分析し、改善点を見つけることで、会社の損失拡大防止につながります。予算管理が適切であれば、世界情勢や市場の変化などによって当初の目標計画の効果が上がらなくなったとしても、数値の異変に素早く気づき早期に対策を講ずることができるでしょう。
会社経営における予算策定の方法
予算策定の方法
予算策定の方法は業種によって異なりますが、一般的には大きく分けて、次の4つの視点から数値を決めていきます。
売上が上がっても利益が減る「増収減益」や、その逆の「減収増益」があるため、利益と売上はバランスを同時に考える必要があります。原価とは商品の製造にかかるコストです。原材料や製造機械のメンテナンスなどが該当します。経費とは人件費や輸送費、維持費など、組織運営に必要なコストです。
この4つの視点から総合的に分析し、収支と出費を正しく見積もることにより、予算を策定します。
予算策定の時期
決算月の約6カ月前から協議を始め、決算月の前月中に決定するのが一般的です。国内企業の多くは3月が決算月なので、前の年の秋(第3四半期)ごろから次年度予算の検討を始め、2月中に決定するイメージです。
予算策定の手順とプロセス
1. 予算策定方針を決定
予算策定は、経営陣が各部門に対して目標売上高や目標利益など、大まかな予算方針を示すことから始まります。この予算編成方針の原案は、予算会議の承認を経て確定します。
2.予算策定スケジュールを設定
予算策定方針決定後は予算策定スケジュールを設定します。策定期間は2カ月程度が理想とされますが、調整などに時間がかかり、3~4カ月かかる場合もあります。
3.予算の部門割り振りとリソースの配分
社内各部門の予算目標値を設定し、予算とリソースの配分を行います。各部門は割り振られたリソースと目標値を基に、自部門の予算を策定します。
4.損益予算・財務予算の策定
各部門の担当者は、売上高予算・費用予算・製造予算などを合わせた「損益予算」を作成し、会社の予算統括部門に提出します。次に、売掛金や支払手形などの資金繰りをまとめた「財務予算」を編成し、同じく予算統括部門に提出します。
5.予算の積み上げと調整
各部門から集まった損益予算・財務予算を集計し、会社予算に基づく予算の目標値との差異があれば、関係部署で調整します。数値の正当性や設定理由などを確認しながら調整、積み上げを行い、会社全体の総合予算を策定します。これを予算会議に提出、経営者の承認が得られたところで各部門に通知します。
予算を決めるメリット
予算を決めるメリットは、費用の管理が明確になる点です。また、予算を設定するために収支と出費を見積もるため、長期的な収支予想をします。予算の計画を立てることで、目標を達成するために何が必要かを考えるようになり、優先順位が明確になります。
仮に目標が達成できなかった場合、どこに問題があったのかを検証でき、軌道修正や調整ができます。この予算、業務管理の方法を「PDCAサイクル」と呼びます。
PDCAとは
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(チェック、検証)
- Action(修正、対策)
の頭文字を取ったもので、予算計画はPlanの部分にあたります。目標数値や基準を明確にし、計画を立てることにより、予算内での利益の最大化を目指すことができます。
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