道行く人を店内に誘うカフェ看板の作り方

自慢のコーヒーやナポリタンを多くのお客様に知ってもらい、お店の認知度アップに繋げることは、長く続く繁盛店になるための理想的なシナリオです。

しかし、このシナリオの実現にはお客様という登場人物が欠かせません。お客様を呼び込むためには集客をしなければいけません。集客術(飲食店、美容院、小売店)についてはこれまでの記事でも紹介してきましたが、今回は、お店の色やコンセプトが出しやすいカフェに焦点を当てた集客法についてお伝えしたいと思います。

インターネットや口コミの情報を基に特定のメニューやサービスを目当てに来店するお客様もいる一方、カフェにはその他の飲食店に比べて、待ち合わせやちょっとした休憩・軽食などを目的に気軽に立ち寄りやすいという特徴があります。そのため、お茶ができるような場所を探している人や、通行人などによる需要が高く、立地や集客の工夫によっては多くのお客様の利用を見込むことができます。

集客の工夫の一つとして挙げられる重要な要素が看板です。絶えずお客様が来店する人気のカフェ作りに効果的な看板とはどのようなものでしょうか。

看板の効き目

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お店の利益を上げるためには、リピーター客を確実に増やす一方、新規のお客様を次々と呼び込む必要があります。新規のお客様にアプローチするためには、チラシを配ったり、グルメ情報サイトにお店の情報を掲載したり、知人や家族を通して口コミを広めたりする他にもさまざまな方法が挙げられますが、これらの手段は全て、相手とコンタクトが取れる、または相手がインターネットなどを使って積極的にお店の情報にたどり着くことを前提にしています。

一方、看板は店頭、または少し離れた場所に物理的に設置し、それを見た人をお店まで誘導するための宣伝方法です。商店街、駅前、住宅地などの立地によって通行人の客層は異なりますが、いずれの場合も「不特定多数の人の目」に付くことは変わりありません。

たまたま通りすぎた人が看板の前で立ち止まってそのまま入店することもあれば、いつも前を通っているにも関わらず看板やお店の存在に全く気づかない人もいるでしょう。また、なんとなく視野に看板が入ることで、「そこにカフェがある」という認識が無意識に刷り込まれることもあります。

看板を目にする人が多ければ多いほど、より多くの来客が見込めるということは想像に難くないと思います。不特定多数の人の目を引くことに一役買ってくれる集客方法の一つが、看板の設置です。

看板で何を伝える?

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看板にはどのような情報を載せたら良いでしょうか。チラシやフリーペーパーなど、他の宣伝媒体にも共通して言えることですが、文字や絵を描くスペースが限られているため、盛り込む情報を絞る必要があります。

看板の役割はお客様を入店に誘うことですから、お店のアピールポイントを出来るだけ多く載せたいと思うのは自然なことです。しかし、内容を多くし過ぎてしまうと文字が小さくなり、読みづらいばかりか、読む気も失せてしまうかもしれません。アピールポイントの中でも特に宣伝したいものを抽出して、見やすくコンパクトにまとめます。

一目でカフェと分かる

まず始めに、一目でカフェと分かるような看板にする必要があります。例えば、コーヒーカップをかたどった看板にしたり、目立つ部分に「COFFEE」や「喫茶」などと書きます。

食べたい特定のメニューがなくても、お茶を飲みながら一休みしたり、一杯のコーヒーだけを目的にカフェを探すお客様も多くいらっしゃいます。「ここはお茶やコーヒーが飲めるカフェですよ」という情報が瞬時に分かるようにしましょう。

メニューと価格帯

自家焙煎コーヒーや手作りケーキなど、お店の看板メニューや人気のメニューがあれば看板に盛り込んでみましょう。飲み物だけでなく軽食のメニューも一部を載せることで、食事もしたいと思っているお客様にとって有益な情報になります。

価格を載せることも重要です。メニュー全体の価格帯が分からないまま入店することに抵抗を感じるお客様もいらっしゃいます。価格をアピールポイントとしている場合は目立つように記載し、そうでない場合でもバランスを工夫してなるべく記載するようにしましょう。

入店前にメニュー全体を閲覧できるように、メニュー本を一冊掛けておくのもいいかもしれません。

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雰囲気

他の飲食店に比べ、カフェはお店のこだわりやコンセプトを店づくりに反映しやすいという特徴があります。外観、内装、食事を提供する食器など、経営者が求める雰囲気を作り上げるための要素が比較的自由にカスタマイズできるのではないでしょうか。

看板にもお店の雰囲気を反映させましょう。古民家を改装した落ち着いた雰囲気のコーヒーショップのカフェ看板が、白地に赤文字で店名やメニューだけを大雑把に書いたものだったら、せっかくのお店の雰囲気が伝わらず、そのようなカフェに魅力を感じるお客様がいたとしても看板から受ける印象で来店のチャンスを逃してしまうかもしれません。看板のデザインは、お店のコンセプトや店内の雰囲気と一致するようにしましょう。

また、一口にカフェといっても、派手な内装や賑やかな音楽が流れている明るいイメージのお店や、暗めの照明にゆったりした空間で長居したくなる落ち着いた雰囲気のお店までさまざまです。お客様が求めている雰囲気と一致するように、お店のコンセプトや店内の雰囲気に合わせた看板をデザインしましょう。
 
キャッチーなフレーズ

一般的に、カフェの基本的なメニューはどのお店も似てしまいがちです。コーヒーさえ飲めればいいと思ってこだわりなく入店するお客様もいらっしゃいます。このようなお客様も含め、一人でも多く集客するためには、他店と差別化を図る魅力や売りとなるサービスを簡潔に看板に盛り込むことがポイントになります。

例えば、「Wi-Fiあります」という文言を加えるだけで、見込める来店率は大幅に上がります。特に、年々増加している訪日外国人旅行客にとっては大きな魅力です。また、パソコンなどを持ち込んで作業をしたいと思っているお客様からは、追加注文などによる一人あたりの単価アップも期待できます。

他にも、「新オープン」「お飲み物だけでもどうぞ」「テレビで紹介されました」など、喫茶に何か一つ加えた魅力をキャッチーに表現できると目に留まる確率も上がるのではないでしょうか。

近年では、本屋が併設されていたり、猫やフクロウなどの動物と触れ合えたりと、さまざまなサービスを組み合わせたカフェもあります。このようなサービスを来店目的とするお客様も多くいるので、「漫画300冊揃っています」や「猫います」なども魅力的なフレーズです。

最後に、時間帯や曜日ごとに変わるサービスがあれば、黒板などを用いてその都度書き換えるのも効果的です。「ランチサービスやってます」「産地直送新鮮野菜、本日入荷しました」などが好例でしょう。

看板を作るにはコストも技術も要ります。自前で作る自信がなければ、プロの業者に依頼してみてもいいかもしれません。多くの実績を積んだ業者ならではの文言やデザインを提案してくれるかもしれません。

いずれにせよ、見る人が最も惹かれそうな情報を簡潔に、そして魅力的にまとめることが重要です。

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目に留まる設置の仕方

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看板が出来上がったら、いよいよ設置です。いくらお店の立地が良くても、看板が目に留まらなければ集客効果が半減してしまいます。通行人の目線を意識して適切な位置に設置しましょう。

例えば、車がよく通る道路沿いにカフェがある場合は運転手の視線に合わせて低めの位置に、歩行者が多い場所では歩行者の目線に合わせて看板を設置します。道の両方向から目に留まるように看板は両面のものが好ましいでしょう。

もし店舗が建物の二階以上の高さにある場合は、店名やお店の特長などが分かるような看板を窓などに貼るだけでなく、地上にも看板を出してみましょう。通常、歩行者の意識は自分の目線と同じ、もしくは目線よりも低い位置にいくものです。

人通りや車通りが少ない住宅地や駅から離れた場所などにお店がある場合、大通りなどや交差点などの目につきやすい場所に看板を設置してみるのも一つの手です。「この先50メートル右折、カフェやってます」というような表記は、通行人をお店まで誘導するのに効果的です。ここでも「行ってみようかな」と思わせるようなキャッチーなフレーズが大切です。なお、お店から離れた公共の場に看板を設置する時は、設置許可などの手続きを確認しておきましょう。

看板効果のその先?

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設置した看板に足を止めてくれたお客様がいたら、次は入店に引き込むラストスパートです。通りすがりの不特定多数の人をお店に惹きつけることが看板の役割ということは変わりありませんが、お客様が入店を決意するときの決め手とは、お店の外観や窓から見える店内の様子など、看板の他にもさまざまあります。

店内で従業員が暇そうにしているのが窓の外から見えてしまったり、お店の外観の掃除が行き届いていなかったりすると、お客様に不安や不快感を与えてしまいます。看板を置いたらあとはお客様の来店を待つのではなく、あらゆる部分に魅力を感じてもらえるような店作りを意識するようにしましょう。

看板の前で立ち止まって入店するか迷っているお客様がいたら、従業員が店外に出て直接案内するなどの能動的なアプローチもしていきましょう。

執筆は2017年4月14日時点の情報を参照しています。