自分を売り込む集客ツール「プロフィール」の書き方

商品やサービスを選ぶとき、お客様は購入の決め手としてどのようなことを意識しているのでしょうか。また、サービス提供者からどのような情報を得たいと思っているのでしょうか。

この問いに対する答えは、お客様の数だけあるといっても過言ではないでしょう。商品のデザインが好みに合っていたり、サービス内容が需要と合致していたり、品質が決め手だったり、その他にも価格や店舗の雰囲気など、お客様一人ひとりが重視するものや目的はさまざまです。

そして、忘れてはいけないのが、商品の生産者やサービスの提供者のプロフィールです。相手がどんな人(または店や会社など)なのか、分からないままお金を払うことに抵抗を覚える人もいるのではないでしょうか。そこで、会社の経営者や飲食店の店長など、サービス提供者の人物像がよく理解できていれば、例えば、「店長に好感が持てるから」ということがそのサービスを選ぶ理由になるかもしれません。

今回は、お店のアピールに重要な要素の一つとして、経営者や店長などの「集客に繋がるプロフィール」の書き方をお伝えします。

プロフィールの役割

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ウェブサイトやチラシなどでは、どうしても事業の説明や提供している商品やサービスの宣伝に内容が集中してしまいがちですが、お客様にとっては、商品やサービスの提供者がどういう人間かを知ることができるプロフィールも貴重な情報です。

事業の代表者がどういう人物で、どんな経歴で、現在どのような思いで事業を展開していて、どのような夢や目標を抱いているのかを知ることは、既存のお客様にとっても新規のお客様にとっても興味深い情報なのではないでしょうか。

例えば、雑貨を販売するオンライン店舗のウェブサイトがあったとします。初めから店長個人のプロフィールに興味があってウェブサイトを訪れてくるお客様はあまりいないでしょう。多くの場合、商品に興味を持って購入を検討するためにウェブサイトを訪れると思いますが、そこで目にする店長のプロフィールを通して、「どんな人がどのような想いで商品を売っているのか」を知ることができたら、共感・納得をして購入することができるのではないでしょうか。

プロフィールは、商品やサービスを購入するお客様に対して、お店や代表者自身を信用・共感してもらうための「自分(たち)を売り込むツール」です。ウェブサイトに限らず、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディア、チラシ、飲食店であればメニューの一部に載せるなどして、なるべくお客様の目に触れる機会を多く作りましょう。

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プロフィールに盛り込む内容

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誰にとっても魅力的に映るプロフィールを作ることは不可能に近いです。また、全てを語ろうとして長々と書いてしまっても、細かいところまで読んでくれる人はあまりいないでしょう。どのような人からの信用や共感を得たいのかをきちんと定め、読み手を意識したプロフィールを書くようにしましょう。

基本情報

名前、生年月日、出身地、学歴、経歴、現在の職業や肩書きなどの客観的事実を簡潔に書きます。

生年月日や学歴などは、プロフィールを読む人が共通点を見つけやすい情報です。人は、興味の対象と自分との間に共通点を見つけると、自ずと親近感を覚えるものです。あるレストランのシェフが自分と同じ学校の先輩だと分かれば、シェフに対する親近感が増すだけでなく、レストランに対する愛着も湧いてくるかもしれません。

職業や肩書きは、誰もがその内容をすぐに想像できるよう、分かりやすく書く必要があります。寿司職人やピアノ講師などは問題ないかもしれませんが、例えば、ITアーキテクトと書かれてもピンとこない人が多いのではないでしょうか。この場合、「ITアーキテクトとして社内ネットワークのデザインを任される」のように、かんたんな説明を加えるといいでしょう。

しかし、説明が不要な分かりやすい職業であればあるほど他者との差別化が必要になります。寿司職人であれば、見習い時代のお店の名前や、著名人に師事した経歴などがあればその情報も漏れなく記述しましょう。修業年数や、受賞歴などの実績は、プロフィールを見る人にとって分かりやすい判断材料の一つです。

写真

できるだけ顔写真を載せましょう。写真があると無いとでは、お客様がプロフィールの本人に対して抱く印象が大きく異なってきます。人は、想像以上に写真一枚から被写体の人柄や雰囲気など多くの情報を受け取ります。相手の顔が見えるという安心感もありますし、好印象を抱けば、その人が提供する商品やサービスを購入してもいいという信頼に繋がります。

しかし、本人の写真であれば何でもいいというわけではありません。映りが悪いスナップ写真などは、かえって悪印象や不信感を与えてしまう可能性があります。可能な限り、プロのカメラマンに依頼して事業のコンセプトに合った写真を準備しましょう。

士業や経営者であれば、清潔感のあるスーツやシャツの着用がふさわしいでしょう。美容師やカフェ経営者であれば、普段の営業時と同じ服装だとお店の雰囲気が伝わりやすいかもしれません。

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今に至るまでのストーリーとこれから

どんなことがきっかけで、また、どのような想いがあって現在の仕事をしているのかをかんたんに説明してみましょう。

「幼い頃から家業である寿司屋の経営を見ていて必然的に跡継ぎになった」というだけでは、プロフィールを読む人は「仕方なく続けているのかな」という印象を抱いてしまうかもしれません。そこで、「跡継ぎとして家の寿司屋を担っていく上で、次世代ならではの斬新なアイデアを取り入れ、伝統を受け継ぐと同時に新たな分野に挑戦し、より多くのお客様に喜んでもらうための革新的な寿司屋を経営していきたい」という代表者の想いを書くことで、本人が何をきっかけとして寿司職人になったのか、そして、どのような想いで日々お店を経営しているのかが伝わってきます。

どのような想いでサービスを提供していて、どのようなお客様に利用してもらいたいのか、また、自分が提供するサービスを利用することでお客様にとってどんな良いことがあるのかを、本人の言葉で書くことが重要です。

また、商品やサービスを利用した「お客様からの声」を載せても良いでしょう。客観的な意見を載せることで、より信用してもらえるかもしれません。Squareをお使いの場合、Square メッセージを使えば、電子レシートを使ってお客様の声を集めることができます。ぜひ活用してみてください。

中長期的な目標を盛り込むことも、事業を担う者としての高い意気込みを伝える手段になります。例えば、「一年以内に3店舗展開予定」と思い切って宣言することで、プロフィールの読者は期待を膨らませるだけでなく、応援しようという気持ちを抱いてくれるかもしれません。

前述の通り、プロフィールを書くときに意識するべきことは、読み手の受け取り方です。すでにお店のファンになってくれているお客様や、お店に興味があって代表者のプロフィールにたどり着いた見込み客などに、「どのような情報を公開し、どのような想いを伝えれば共感・信用してもらえるのか」を考慮しながら盛り込む内容を選びましょう。

「人間の」プロフィール

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プロフィールは、多くの場合簡潔に書くことが求められますが、だからといって箇条書きになってしまうと、読み手にとって魅力が感じられなくなってしまいます。

例えば、経歴を振り返るところどころで当時のエピソード(珍体験や失敗談など)を織り込んでみたり、読み手に対して語りかけるように語調を揃えたりすると、プロフィールの本人が「一人の人間」であることが伝わるでしょう。もちろん、趣味や性格など個人的な側面について踏み込んで書いてみることも、読み手からの共感を得るための手段の一つです。

歴史の教科書に載っているような過去の偉人の経歴のようにつらつらと記すのではなく、「あなたに喜ばれるサービスを今もこれからも提供していきます」というメッセージを込めた生の人間の説明だということを意識して、人間味のあるプロフィールを書いてみましょう。

今は小さなお寿司屋さんのホームページやチラシの片隅にあるプロフィールだとしても、将来的な成功と事業拡大を考えると、あらゆるメディアにプロフィールが掲載される可能性を考慮して今から準備をしておくことをおすすめします。売り上げ10万部のベストセラーのカバー袖にプロフィールが掲載されるときのことだって考えおくべきです。

執筆は2017年5月16日時点の情報を参照しています。