飲食店経営においてFD比率のバランスをとることは、安定した売り上げを確保するために重要な要素のひとつです。そこで今回は、FD比率とはどのようなものなのか、計算の仕方、そして飲食店経営にFD比率を活かすための具体的な方法について説明します。
FD比率とは
FD比率とは、売り上げに占める「FOOD(フード:料理)」と「DRINK(ドリンク:飲料)」の割合を指します。
FD比率は同じ飲食店でも業態によって割合が異なります。たとえば、ドリンクが主な売り上げになるカフェやバーなどではフードよりもドリンクの比率が高く、食事がメインのレストランではフードの方が高いようです。
ただ、あくまでも一般的な目安であり、フードの割合が多いとされる業態でも積極的にドリンクをお客様に勧めている場合は、ドリンクの比率が高くなります。
FD比率の求め方
FD比率を求めるためには、フードとドリンクごとの売り上げを計算する必要があります。週間や月間でFD比率を求めるのもよいですが、毎日のFD比率を出すことで曜日や天気など多角的な視点から売り上げの傾向を読み取ることが可能になります。
FD比率の計算式は、以下の式より求めることができます。
FD比率 =(フードの売り上げ ÷ 売上高)× 100 / (ドリンクの売り上げ ÷ 売上高)×100
たとえば、一日の売り上げが10万円だったとします。フードメニューの売り上げが8万円、ドリンクメニューの売り上げが2万円の場合、FD比率はフードが80%でドリンクが20%と計算できます。
FD比率から考える売り上げ拡大は
自店のFD比率が分かったとしても、その割合が適当かどうかの判断に困るという場合もあるでしょう。
提供するメニューによって、考え方が異なりますが、フードよりもドリンクの比率を上げることで利益を増やせると一般的に考えられています。多くの場合、ドリンクメニューの方がフードメニューよりも原価が低いためです。原価の低いドリンクメニューの注文数を増やすことによって、効率よく売り上げを伸ばせるのです。
フードメニューで売り上げを伸ばすためには、回転率を上げるもしくは客単価を上げるなどの方法があります。しかしながら、1人のお客様が注文できるフードメニューはそう簡単に増やせないのではないでしょうか。
一方、ディナーの前の食前酒や食後のコーヒーなど、ドリンクメニューはフードメニューよりも勧めやすく、そのため、客単価アップと売り上げ拡大につなげられます。ぜひ、売り上げ目標に合わせてFD比率目標も設定することをオススメします。
FD比率を飲食店経営に生かすためには
実際に設定したFD比率目標をどのようにお店の運営に活かしていけばいいのでしょうか。今回はドリンクメニューの比率を高くするためのヒントを紹介します。
メニューやポップを工夫する
ドリンクメニューの注文数を増やすためには、いかに最初の一杯しか注文しないお客様に追加のドリンクを注文してもらえるかがポイントです。お客様が不快にならないようにアピールするのなら、メニューやポップを工夫してみてはいかがでしょうか。
たとえば、「この一品にはビールがオススメ!」や「カレーのお供にラッシーはいかがですか?」というように、フードメニューと一緒にドリンクメニューを注文してもらえるようなアピールをしてみるのもよいでしょう。
また、キャンペーンやイベントとして、季節限定や期間限定のドリンクメニューのポップなどを作成し、店内の壁や座席のテーブルに置いてお客様の興味を引くことも効果が期待できます。
裏メニューを用意する
新規のお客様だけでなく、リピーターのお客様も来店します。リピーターの場合、既存のドリンクメニューを一通り試し終わっている、毎回注文するドリンクが決まっている人もいます。
そんなリピーターのお客様には、裏メニューを用意することをオススメします。
たとえば、外国のお酒や幻と呼ばれるお酒、地酒など他店では味わえないような裏メニューを用意しましょう。ただし、ドリンクメニューの注文を増やすことばかりに力を入れ過ぎて、裏メニューに原価が高いものばかりを用意してしまうと、かえって売り上げを減らすことにもつながるので注意しましょう。
また、リピーターのお客様に「いつもご利用いただいているお客様限定でご紹介しております」と伝えることで、特別な存在であることをアピールすることもできます。
ワンモアドリンクを提案する
ファーストドリンクしか注文しないお客様に対し、直接ドリンクを勧める方法として「ワンモアドリンクの提案」という方法があります。これは、スタッフがお客様に「もう一杯いかがですか?」というように、積極的にお客様にドリンクメニューを勧める方法です。
ただし、「ワンモアドリンクの提案」は、時としてお客様の気分を害するリスクも少なからずあります。たとえば、スタッフが何度もお客様に提案したり、提案するタイミングを間違えたりすれば、お客様が楽しく食事をしている雰囲気を壊してしまいかねません。
コップの残りが4分の1を切ったらオススメするなど、提案するタイミングや方法をスタッフにきちんとトレーニングする必要があります。大切なのは、ワンモアドリンクを提案することの大切さを従業員一人ひとりが認識することです。また、お客様が何を望んでいるかを考えて行動するホスピタリティも必要です。
ぜひ、売り上げだけでなく、FD比率にもフォーカスし、飲食店経営に活かしてみてはいかがでしょうか。
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執筆は2018年5月31日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash