※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
年末調整は会社員にとって身近な手続きですが、副業(ダブルワーク・掛け持ちなどを含む)で収入を得ている場合、副業先では年末調整が行われず、収入の種類や金額によっては自分で確定申告する必要があるのはご存じでしょうか。もし判断を誤れば追加の納税が発生する可能性もあるため、仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、副業をしている人が押さえておきたい年末調整と確定申告の基礎を整理し、所得の種類別に必要な手続きや注意点をわかりやすく解説します。
📝この記事のポイント
- 年末調整は会社が従業員の1年間の所得税を精算する手続きであり、本業の給与のみが対象となる
- 副業の収入は年末調整の対象外となるため、所得の種類や金額によっては個人で確定申告が必要になる
- 副業の所得は住民税の申告や所得区分の判断など、本業の年末調整だけでは処理しきれない点がある
- 年末調整は本業の会社が担当し、副業分は自分で確定申告して税金を精算する
- Squareを活用すれば売上データや記録管理を自動化でき、副業の確定申告をスムーズに準備できる
目次
- 年末調整の基礎知識
・年末調整の概要
・年末調整対象者 - 副業は年末調整でなく確定申告!要否の条件
・どこでも年末調整をしていない
・副業から20万円超の所得がある
・副業の所得が20万円以下でも申告するメリットとは - 副業の年末調整・確定申告における注意点
・年末調整は1カ所のみで対応
・副業からの収入にかかわらず住民税を申告
・本業と副業の収入を合算して確定申告 - 副業で年末調整・確定申告をする流れ
- 年末調整に必要な書類
- 副業には導入コスト0円のSquareが便利
- まとめ
- よくある質問
・副業で年末調整は必要ですか?
・副業で確定申告は必要ですか?
年末調整の基礎知識
年末調整とは、会社員やパート・アルバイトなど給与を受け取る人に対して、1年間に天引きされた所得税が正しい金額だったかを確認し、過不足を精算するための手続きのことです。源泉徴収された税金が本来より多ければ還付され、足りなければ追加で納める仕組みになっています。
以下では、年末調整の基本的な仕組みや対象者について整理し、副業をしている人が理解しておくべき前提知識をわかりやすく解説します。
年末調整の概要
年末調整は、会社から給与を受け取る人に対して1年間の所得税額を正しく計算し、過不足を精算するための手続きを指します。給与から毎月天引きされる所得税(源泉徴収税額)はあくまで概算であり、扶養状況の変動、保険料の支払い状況、入社・退職の時期などの影響によって、実際に納めるべき税額との間に差が生じる場合があります1。
年末調整では、源泉徴収された税額と年間の正しい税額を照らし合わせ、払い過ぎていれば還付し、不足していれば追加納付する形で精算します。基礎控除・扶養控除・生命保険料控除・地震保険料控除・配偶者控除などの各種控除は年末調整の段階で反映されるため、会社員は確定申告を行わなくても多くの控除を受けられる点が大きなメリットです。
年末調整を担当するのは、原則として本業の会社(主たる給与の支払者)です。年末調整は、従業員がその年に1枚だけ提出できる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を受け取った会社が行います。
そのため、ダブルワークなどで勤務先が複数ある場合でも、年末調整を行うのは1社のみとなります。
副業による収入がある場合は、年末調整だけでは税額計算が完結せず、確定申告が必要となるケースがあります。たとえば、副業が給与以外の所得で年間20万円を超える場合や、2カ所以上から給与を受け取り、年末調整されていない給与がある場合などです。
年末調整対象者
年末調整の対象者は、12月に行われる年末調整の対象となる人と、年の途中に特例として年末調整する人に分かれます。一般的に年末調整の対象となるのは、1年を通じて同じ会社で勤務している人や、年の途中で入社して年末まで勤務している人です(青色事業専従者を含む)。青色事業専従者は給与として支払われるため、年末調整の対象になります。
ただし、以下に該当する人は12月の年末調整の対象外となります2。
- 年間の給与額が2,000万円を超える人
- 災害減免法の規定により、年間の給与に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人
また、年の途中で退職した場合でも、次のようなケースでは会社が年末調整を行います2。
- 海外転勤などで非居住者になった場合
- 死亡により退職した場合
- 著しい心身障害によって退職した場合(再就職の見込みがある人は除く)
- 12月に支払われる給与を受け取った後に退職した場合
- パートタイマーなどで、年間の給与総額が123万円以下で退職し、かつ年内に他の勤務先から給与を受け取る見込みがない場合
上記に該当しない場合、年の途中で退職した人は年末調整の対象にはなりません。

副業は年末調整でなく確定申告!要否の条件
副業をしている人は、働き方や収入の種類によって確定申告が必要になるケースがあります。たとえ少額でも、ダブルワークで給与 を複数から受け取っている場合や、「給与以外の所得」が一定額を超える場合など、年末調整だけでは精算できないケースがあるためです。
以下では、確定申告が必要となる主なパターンをわかりやすく整理して解説します。
どこでも年末調整をしていない
副業先から受け取った給与は、「本業ではない会社から受け取る給与(従たる給与)」として扱われます3。副業先の給与は年末調整の対象外で、支払い時に源泉徴収されるだけで年間の税額の計算は行われません。
さらに、本業の会社も副業先の給与額を把握していないため、本業の年末調整にも反映されません。結果として、本業・副業それぞれで源泉徴収はされるものの、年間トータルの税額計算はどこでも行われない状態になります。
つまり、未精算分は本人が確定申告で本業と副業の給与を合算し、正しい税額を計算することで初めて精算されるのです。なお、本業の年末調整が済んでおり、年末調整されなかった給与とその他の所得の合計が20万円以下の場合は、確定申告が不要となるケースもあります4。
副業から20万円超の所得がある
給与以外の副業収入(例:個人事業の売り上げ、フリーランスの収入、雑所得など)が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。理由としては、給与所得者でも「給与以外の所得」が一定額を超えた場合は自分で税額を確定する必要があるためです4。
また、副業が給与収入(アルバイト・パートなど)の場合は、2カ所以上から給与を受け取ることになり、原則として確定申告が必要です。ただし、年末調整済み本業の給与以外の所得と年末調整されなかった給与の合計が20万円以下であれば、確定申告が不要となるケースがあります。
副業の所得が20万円以下でも申告するメリットとは
副業の所得が20万円以下で、「所得税の確定申告は不要」とされるケースでも、申告することで得をすることがあります。
まず、源泉徴収されている税金が払い過ぎになっている場合、確定申告で還付される可能性があります。また、副業が事業所得や雑所得に該当する場合は、経費を計上できるため、課税の対象となる所得を抑えられます。経費が収入より多くなれば赤字となり、本業の給与所得と通算できるため税負担が軽くなる場合もあります。
さらに、医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税)などは確定申告をしなければ適用されないため、副業の金額にかかわらず申告することで税金が戻る可能性があります5。

副業の年末調整・確定申告における注意点
副業をしている場合、本業だけでは税金の計算が完結せず、年末調整だけでは処理できない部分が出てきます。副業の種類によっては住民税の申告や本業との合算申告が必要になるため、税金の扱いを正しく理解しておくことが大切です。以下では、副業で特に注意すべきポイントを整理して解説します。
年末調整は1カ所のみで対応
年末調整を行えるのは、従業員本人から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を受け取っている勤務先だけです。扶養控除等申告書は毎年1枚しか提出できない仕組みのため、年末調整を行う会社も自動的に「本業の会社のみ」に確定します。
副業先からの給与は「従たる給与」と扱われ、年末調整の対象外です。副業先では源泉徴収だけが行われ、年末の精算は行われません。したがって複数の勤務先で働いている人は、本業と副業の給与を合算し、確定申告で最終的な税額を確定させる必要があります6。
副業からの収入にかかわらず住民税を申告
所得税では、20万円以下の雑所得や事業所得は申告不要となる場合があります。しかし、住民税は別の制度で運用されており、副業の所得が自治体に自動的に伝わらないケースでは、本人が申告しないと正しい税額が計算できません。
副業が給与の場合、副業先の会社は市区町村へ給与支払報告書を提出するため、通常は本業と副業の情報が自治体で自動的に合算されます。ただし、年の途中での退職や転居、記載内容の不整合などにより自治体が適切に合算できない場合は、本人が住民税申告書で副業分を申告する必要があります。
一方、副業が事業所得や雑所得の場合は、自治体への報告がないため、所得税の確定申告をしない年でも、住民税だけ別途申告が求められます7。
本業と副業の収入を合算して確定申告
所得税は、1月1日から12月31日までの1年間に得たすべての所得を合算して税額を計算する仕組みです。ですので、副業が給与であれ事業所得・雑所得であれ、本業の収入と合わせて申告が必要となります。
特に「給与を2カ所以上から受け取っていて、年末調整されなかった給与や給与所得以外の所得の合計が20万円を超える場合」や、「給与所得以外の所得が年間20万円を超える場合」は、確定申告が必要と国税庁が明確に定めています4。本業の会社が年末調整をしていたとしても、副業に関する税額は自動調整されないため、確定申告で全体の税額を計算し直すことになります。
副業で年末調整・確定申告をする流れ
会社員が副業をしている場合、税金の精算は「年末調整」と「確定申告」の2段階で行われます。まず本業の会社が年末調整で本業分の税額を計算し、次に副業分を含めて年間の所得を確定申告でまとめて申告します。
①本業の年末調整で、本業分の税金を計算する:扶養控除申告書など必要書類を提出し、本業の給与だけで税額を精算。副業分は年末調整に含まれない
②本業と副業の収入を合算して年間所得を把握する :副業が給与・事業・雑所得のいずれの場合でも、本業の給与と合算して所得を計算する
③必要書類をそろえ、確定申告書類を作成する:本業の源泉徴収票、副業の収入・経費の資料を準備し、確定申告書等作成コーナーなどで入力して作成
④確定申告書を提出し、納税または還付を受ける:2月16日〜3月15日にe-Tax・郵送・窓口で提出。追加の納税か還付が発生する場合がある
年末調整に必要な書類
年末調整では、会社に対して必要な申告書を提出することで、1年間の所得税額を正しく計算し、払い過ぎた税金がある場合は還付を受けられます。提出書類は、国税庁が定める以下の控除関係の申告書です8。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の特定親族特別控除申告書
- 所得金額調整控除申告書(※年によって書式や名称が変更される場合があるため、最新の国税庁資料を確認することをおすすめします)
なお、上記の書類はすべて本業の会社に提出するものであり、副業先には提出しません。副業があっても、年末調整をするのはあくまで「主たる給与を支払う1社のみ」である点に注意してください。
副業には導入コスト0円のSquareが便利
副業をしていると、売り上げや経費の管理、請求書の発行など、日々の記録が増えがちです。確定申告では本業と副業の収入を合算する必要があるため、売り上げや経費の金額、請求内容などの取引情報を正確に保存しておくことが、申告作業の負担を大きく左右します。
決済サービスのSquareを使えば、売上管理・請求書発行・入金確認をクラウド上で一元化でき、副業の取引記録を自動で整理できます。また、freee会計やマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトと連携することで、Squareで記録したデータが自動で帳簿に反映され、確定申告書類の作成がスムーズになります。

スマートフォンやパソコンから操作でき、導入コストも0円。副業の規模にかかわらず、日々の記帳負担を減らして確定申告を効率化したい人にとっては便利なツールです。
まとめ
副業をしている場合、本業の年末調整だけでは税金の精算が完了せず、収入の種類によっては自分で確定申告をする必要があります。副業が給与所得(パート・アルバイト、掛け持ちで働くケースを含む)であれば「複数の給与」となるため原則として確定申告が必要です。ただし、本業の年末調整済みの給与以外の所得と、年末調整されなかった給与の合計が20万円以下であれば、確定申告が不要となるケースもあります。
一方、副業が事業所得や雑所得に該当する場合は、年間の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
本業と副業の税金の扱いを正しく理解し、収入や経費を適切に管理しておけば、申告漏れや税金の過不足といったトラブルを防ぐことができます。安心して副業を続けていくためにも、仕組みと手続きをあらかじめ押さえておきましょう。
よくある質問
副業で年末調整は必要ですか?
副業に年末調整はありません。年末調整は本業の会社だけが行えるため、副業分の給与は源泉徴収されるだけで、精算は確定申告で本人が行う必要があります。
副業で確定申告は必要ですか?
副業で確定申告が必要かどうかは、副業の内容によって異なります。副業が給与(ダブルワーク・掛け持ちなど)の場合は、本業と合わせて複数の勤務先から給与を受け取ることになるため、原則として確定申告が必要になります。
ただし、本業の年末調整済みの給与以外の所得と年末調整されなかった給与の合計が20万円以下の場合は、確定申告が不要になるケースもあります。一方、副業が事業所得や雑所得に該当する場合は、年間の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。また、所得税の確定申告が不要なケースでも、住民税は別途申告が必要になることがあります。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2017年9月26日時点の情報を参照しています。2025年11月28日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。

