中小企業のための販売促進費を有効活用するための基礎知識

販売促進費とは文字通り、販売を促進するための費用です。その意味では、チラシ配布や広告掲載など広告宣伝にかかる費用も販売促進費の一種といえるでしょう。しかし、経理処理では勘定科目を販売促進費と広告宣伝費を区分するのが一般的です。販売促進費と広告宣伝費の区別に悩む人も多いかもしれません。

今回は、販売促進費について説明します。

販売促進費とは

販売促進費と広告宣伝費を区分する明確な基準やルールはありません。正解がないため、販売を促す費用に対して、どちらに分類すべきなのかを迷うことも多いようです。正解がない以上、仕訳時に混乱が起きないように、自社の中でルールを作っておくことが大切です。今回は、わかりやすいよう次のように両者を区分し、具体例を紹介します。

・販売促進費:消費者に直接アプローチをする費用
・広告宣伝費:消費者に間接的にアプローチをする費用

販売促進費の具体例

消費者に直接アプローチをする方法は業種によってさまざまです。主に以下のようなものが考えられます。

・販売奨励金(リベート)を販売代理店に支払う
・試供品・サンプル品を配布する
・割引券・クーポン券を配布する
など

広告宣伝費の具体例

人に間接的にアプローチをする広告宣伝の方法は多岐にわたります。主な方法は次の通りです。

・新聞などへの広告掲載
・折込チラシ
・ネット広告
など

販売促進費と交際費等の分岐点

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得意先へのお中元、接待費は一般的には「交際費等」に含まれますが、広い意味では販売促進費と捉えることもできると考えられます。販売促進費と交際費等の線引はあいまいといえます。しかし、税金の計算には両者の明確な区分が必要です。そこで、販売促進費と交際費等の分岐点について解説します。

販売促進費と交際費等と区分する理由

交際に使った費用(交際費等)は原則全額損金不算入です。ただ、 中小企業(期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人)の場合、「年額800万円まで」または「社外関係者との飲食費の50%」のうちいずれかを損金算入できます。

参考:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算(国税庁)

交際費等の範囲

税法上、交際費に「等」を加えて表現している理由は、一般的な交際費よりも広範囲だからです。具体的な範囲は次の通りです。

(1)対象者
得意先、仕入先、役員、従業員、株主などの「特定の人」が交際費等の対象者です。

(2)交際費等の具体例
・社外の関係者への接待費用
・自社の特定の従業員、役員との飲食費
・お中元、お歳暮などの贈答費用
・社外関係者への土産代、見舞い代、香典・花輪代
など

(3)交際費等から除かれる費用
・社外の関係者への接待費用のうち、一人あたりの参加費5,000円以下のもの(自社の特定の従業員、役員との飲食費は交際費等として取り扱われる)
・自社の従業員、役員が一律に参加する機会が与えられる飲食費
・従業員の慰安のために行われるイベントや旅行のための費用
・会議時の茶菓子や弁当などの飲食物の費用
など

参考:第1款 交際費等の範囲(国税庁)

販売促進費になるもの、交際費等になるもの

販売促進費と交際費等を区分するポイントは次の通りです。

・販売促進費:不特定多数に対する費用
・交際費等:特定の人に対する費用

(1)贈答費用で販売促進費となるもの

贈答費用のうち、不特定多数に対するものは交際費等ではなく、販売促進費(広告宣伝費)に分類できます。主な項目は次の通りです。

・社名入りのカレンダー、手帳、手ぬぐいなどの贈答
・一般消費者に対する景品(※)

※お得意先だけに渡す贈答品は一般消費者を対象にしていないため、交際費等に含まれません。

参考:No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分(国税庁)

(2)販売奨励金(リベート)のうち交際費等になるもの

特定の人に対する販売奨励金は交際費等に含まれます。しかし、「売上の◯%」や「一律月◯万円」など誰に対しても同じ基準を設けている場合は販売促進費に含まれます。

小規模事業者持続化補助金

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商工会議所の管轄地域で事業を行う小規模事業者を対象に、一定の要件のもと、販売促進のための補助金が支給される小規模事業者持続化補助金があります。

平成29年度の公募受付は終了しましたが、次年度にチャンスを見逃さないためにも、小規模事業者持続化補助金の概要をを紹介します。

補助金の受領額
負担した販売促進費の3分の2以内(上限は50万円)

対象事業者
業種に応じて、対象事業者になるための条件が異なります。詳しくは、こちらをご確認ください。

対象となる販売促進費の具体例
・陳列棚の購入
・チラシのポスティング
・新たな販促品の調達、配布
・ECサイトの構築
・新商品の開発(専門家への依頼費を含む)
など

申請から補助金受領までの流れ
平成29年度の小規模事業者持続化補助金を例に説明します。

(1)経営計画書、補助事業計画書を作成する
(2)地域の商工会議者所で条件を満たしているかどうかのチェックを受け、事業支援計画書等の作成、交付を依頼する
(3)締切日までに日本商工会議所(補助金事務局)に申請書類一式を送付する
(4)日本商工会議所による審査後、採択または不採択が決定する
(5)上記(4)での採択により補助金の交付決定後、販路開拓の取り組みを実施する
(6)所定の期限までに実績報告書等を提出する
(7)日本商工会議所が上記(6)の報告書等の確認をする
(8)上記(6)の報告書等の不足、不備がないことの確認終了後、補助金を請求し、受領する

今回紹介した内容は、平成29年の概要です。変更になる可能性もあるため、詳しくはウェブサイトをご確認ください。

参考:平成29年度補正予算 小規模事業者持続化補助金

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執筆は2018年6月18日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash