【商いのコト】「片づけ」との出会いが価値観を変えた ― ヒバリ舎

成功も失敗も、すべては学びにつながる。ビジネスオーナーが日々の体験から語る生の声をお届けする「商いのコト」。

つなぐ加盟店 vol. 36 ヒバリ舎 内山ミエさん

お客様の心を掴むためにはどうしたらいいか。
商いをする人ならきっと誰もが考えたことがある問いだろう。
そして人によって答えはさまざま。

今回お話を伺ったのは、片づけに関するお客様の悩みを解決するヒバリ舎の代表・内山ミエさん。内山さんが片づけを仕事にしたきっかけは何だったのか。そして、お客様を惹きつけるためにどのような工夫をしているのだろうか。

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仕事・家事・子育てを一人で抱え込む中で体調を崩した

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内山さんが片づけの道に進むきっかけとなったのは、2011年に体調を崩したことだった。当時、フリーランスのウェブデザイナーとして働きながら家事や子育てを一人で抱え込んでいた。

「私が綺麗好きだったということもあって、家事は完全に自分一人でやっていました。でも、自己流なので、自分以外はどこに何があるのか分からないんですよね。そうなると、私がやるしかなくて、どんどん自分の首を締めてしまったんです。私が寝込んだら、家事をする人が誰もいないので家の中がとんでもなく荒れてしまって(笑)。家事の中で片づけだけでもこれまでのやり方を変えなければなと思ったんです。」

それから2年ほど経った後、内山さんは整理収納アドバイザーという資格に出会った。この資格は部屋が片づかない原因を見つけ根本的な解決を図る、いわば片づけのプロフェッショナルの証。興味を持って受講した内山さんは、片づけにメソッドがあることを知り感動したという。

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「自分はそれまで整理や収納が得意と思い込んでいたのですが、間違いだと気づかされました(笑)。だって、自分にしかできないやり方だったから。自分の考えを押しつけずその人に合ったやり方で簡単に片づけられる仕組みを作ることが大事だと知ったんです。」

整理収納アドバイザーという資格と出会った内山さんは、自分と同じ悩みを抱えた人に片づけのメソッドを伝えていきたいと思うようになり、片づけを仕事にすることを決意した。

開業前から考えていた差別化戦略

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▲画像提供:ヒバリ舎

内山さんが片づけを仕事にしようと思い立った当時、世の中ではすでに片づけや断捨離ブームが起きていた。商いを始めるにあたって、内山さんはどう差別化するかを意識したという。

「まず、ロゴやWebサイトのデザインを工夫しました。当時片づけを仕事として活躍されている方々は、華やかな色やかわいらしい色をイメージカラーとして用いていることが多かったんです。私が悩みを解決したいのは、仕事や家事、子育てに奔走するお母さん。中には、派手な色を好まない方もいるのではないかと考え、落ち着いた色を用いたシックなデザインにしました。」

差別化の第一歩は、競合をよく知ること。内山さんはブランディングに着目し、競合とは違ったターゲット顧客に訴求できるデザインのWebサイトを作った。二つ目に意識したのは、提供するサービスの内容。働くお母さんに寄り添ったメソッドを提供するために、“時短”という要素を特に重視したという。

「私もそうでしたが、働くお母さんはとにかく時間がないんです(笑)。だから、部屋をおしゃれにすることももちろん大事なんですけど、その前に無駄な動きをできる限りなくす片づけの仕方を提案するようにしました。」

さらに内山さんは、ウェブサイトのデザインや制作に10年以上携わってきた経験を生かして、サイトのデザインやプロモーションもすべて一人で行った。

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差別化するために内山さんが実践したことを見ていくと、『お客様が何を求めているか』『自分の強みは何か』という二点をよく考えていることが伺える。どちらも商いをする上で考えなくてはならない基本であるが、立ち上げの時点からその意識を細部に至るまで持てたことは大きな強みになるだろう。

こうして2014年、内山さんは整理収納アドバイザーとしての活動を開始した。屋号は『ヒバリ舎』。春が訪れたときのようなうきうきした幸福感を、片づいた部屋で感じてほしい。内山さんはそんな願いを込めて、春を告げる鳥“ヒバリ”を屋号につけた。

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(つなぐ編集部)
写真:小沼祐介