代官山の坂の上に佇む小さな古着屋、natica vintage。落ち着いた照明の店内には、オーナーがヨーロッパから直接買い付ける100年前のアンティークブラウスから、様々な年代の服や小物が並ぶ。ファッション史に関する知識と、アパレル会社で服の企画や生産部門に携わっていたという経験を生かして集められた商品は、魅力的なだけではなく作りとしてのクオリティーが一様に高い。オーナーの福田さんに、お話を聞いた。
既製服を作る仕事もやりがいはあったのですが、もともと服の歴史学が大好きで、昔の服を自分でも扱ってみたくなったというのがきっかけです。
店名のnaticaはイタリア語で女性のお尻、臀部という意味です。fashionはHigh endなものから様々なテイストの服があります。新しく生まれてくる服も素晴らしい。ただ、その出口もある。そのどちらも見てほしい、そんな考えからnaticaにしました。
元々は(アパレル会社で)服の仕様書などをチェックする立場だった為、仕入れの際はデザインはもちろん、仕様や縫製などを細かくチェックしています。ミシンの縫いの間隔であったり、パターンであったり…今の時代ではコストの問題でカットされる工程も、当時高い値段で売られていたヴィンテージなどにはしっかり施されており、良い作りをしているものが多いんです。
「これ面倒なのに、ちゃんとやってるな〜」とか、そういうところをチェックしながら買い付けをすると、クオリティーが比較的高いものが手に入りますね。あとは、ヨーロッパ各国に友人がいる為、買い付け自体も割と細かく色々な場所を回れてます。
この仕事で難しい点は、いい買い付けができるか・いい服と出会えるかどうかです。全て一点ものですから、行けばいつもいい商品があるとは限らないんですね。事前に各国の友人とコミュニケーションを取って、今回狙っているものをメールで伝えて準備をします。〜の時期に行く予定だからこの辺りのアイテムをチェックしておいてほしい、どこどこのマーケットを覗いておいてほしい、など伝えておくと比較的スムーズに動けますね。
Squareを初めて見たのは、アメリカで古着屋をやっている友人を訪ねたときです。彼がカード決済にSquareリーダーを使っていて、これは便利だなと思いました。日本ではまだ無理だろう、と思って帰国したら、なんと(Squareが)日本でのサービスを丁度スタートした頃で…すぐさま導入しました。お店のオープン時から5年間、もうずっとお世話になっています。
今後の目標は、もっと行ったことのない場所に行って、いろんな人に出会って、見たこともない商品に出会うことです。お店をやっていて、お客さんから自分の知らない世界を教えてもらえるのが本当に楽しいんです。自分もそうやって見つけた面白いものを、このお店を通して色んな人に伝えていけたらなって思います。