東京都現代美術館のある清澄白河駅から徒歩10分。大通りを一本入ったところに見える白い空間が、現代アートの作家を幅広く紹介しているKANA KAWANISHI GALLERYだ。作家と出版社のパイプ役から始まり、やがてアートギャラリー設立へと至った経緯を、オーナーの河西さんに伺った。
「ギャラリーを始めたきっかけですが…。最初は『良い作家と海外の出版社を繋げる』といったパイプ役を担うところからスタートしました。そこから作品集を何冊かつくることができ、やがて作家さんとともに作品を売るためのアートフェアに参加し始めました」
「批判的な意見もありましたが、作品の良さが伝わり、だんだんと売れていきました。しかし作品は売れるものの、作家本人とはアートフェアのみの関係で、付き合いが浅かったんです。『作品を展示するギャラリースペースがなければ作家さんとの信頼が築きにくい』と感じて、2015年にKANA KAWANISHI GALLERYのオープンへと至りました」
「『この作品は強いな』『良い作家、良い作品だな』と思ったら周りを気にせず仕事する、ということを心がけています。展示する作家さんたちを自分で探すことはあまりなく、周りの方から『河西さんこういう作品好きそう』という流れで紹介してもらうことが多いですね。なかでも普遍的な題材を扱っているものが好きですね」
「(作品が)『売れそうだな』と思う展覧会はお客さんに伝わってしまうようで、売れるか売れないかを気にせずに行っている方が大切だなと感じます。結局好きなもの、信じるものをやっていかないと伝わらないですよね」
「立ち上げから付き合いのある安瀬英雄という写真家がいまして、3.11東日本大震災の風化を題材に、iPhoneで東京の街中を切り取っているシリーズがあるのですが、ある時アメリカの出版社から連絡が入って、村上春樹さんの「風の歌を聴け」の英訳版の表紙に決まったんです。その作品は2018年5月の『Photo London』というアートフェアがきっかけで大英博物館への収蔵も決まりました」
「『アート作品はカードでしか買わない』と決めているお客さんがいたんです。そのためカード決済の必要性を感じ、アートオフィスの立ち上げと同時にSquareを導入しました」
「カード決済サービスは他にもありますが、Squareの方がデザインもおしゃれですし、手数料も安いのがいいですね。振り込みでの支払いはお客さんとのやりとりに数日間はかかってしまうのに対し、カード決済なので『その場で取引が終わる』というのは気持ちが良いですね」
「扱っているものが日本の現代美術なので、今後はより海外のマーケットへのチャレンジを視野に入れてます。具体的には海外のアートフェアに出て、キュレーターやコレクターに関心も持ってもらいたいですね。そのためには『日本の文化を取り入れた作品』を発信していく重要性も感じています」