自己破産前の救済策、できることを見直そう

事業を進めていくうえで借り入れたお金が返済できなくなり、自己破産の手続きをした、という事例を耳にすることがあります。自己破産は、借金の返済の目処がつかず、事業の運営や自身の生活が立ち行かなくなった際に一度リセットする手段ではありますが、その後さまざまな制限が生じることもあり、できる限り避けるのが賢明だといえます。

今回は自己破産について、基本的な知識や事前に検討すべき解決策などについて紹介します。

自己破産とは

自己破産とは、国による借金の救済策である「債務整理」の一つであり、借金全額の返済が免除される手続きです。

手続きにあたっては、裁判所に「破産・免責申立書」を提出する必要があります。裁判所が申し立ての内容を認め、免責許可が出されると、非免責債権を除くすべての借金が返済不要になります。自己破産が認められるには、まず「支払い不能」状態であると判断される必要があります。

支払い不能とは

「支払い不能」とは、破産法第二条11項において次のように規定されています。

この法律において『支払不能』とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。

引用:破産法(電子政府の総合窓口)

一般的に、次のような状態にある場合に「支払い不能」とみなされることが多いといわれています。

  • 現在の借金を3年から5年で返済することが不可能である
  • 債務額が収入の1.5倍以上ある

あくまでもこれは目安であり、実際の判断は裁判所が行います。

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自己破産してしまう前に知っておくべきこと

自己破産を行った際には、借金の返済が免除され、督促がなくなることと引き換えに、今後の生活に制約をもたらすようなデメリットもいくつか受けることとなります。主だったところとして、次のようなものがあります。

クレジットカードやローンを利用できなくなる
自己破産を行うと信用情報機関にその事実が記録され、いわゆる「ブラックリスト」に載った状態となります。5年から10年など、ある期間は支払い能力がないものとして扱われるので、クレジットカードの作成、利用ができなくなります。また、同様の理由からローンを組むなど、一切の借り入れが不可能となります。

就ける仕事に制限が生じる
自己破産を行なった人は、破産の制限が解除される「復権」が認められるまでの間、就けなくなる職業があります。弁護士や公認会計士、税理士、司法書士などの仕業のほか、警備員、特定保険募集人、国家公安委員などです。該当する職に新たに就けないだけでなく、自己破産時にその仕事を行なっていた場合は、自己破産の手続き期間中その業務が停止されることになります。

財産が処分される
生活するために最低限必要となる家具や家電、衣類などを除き、不動産や自動車、証券など一定以上の価値を持つ財産は金銭に換えられ、返済すべき借金に充当されます。

税金や罰金は免除されない
自己破産によって基本的に借金はゼロになりますが、滞納した税金は免除されません。また、社会保険料や罰金のほか、従業員への給料についても支払う必要があります。

基本的に借金をどうしても返済できなくなった人へ向けての救済措置である自己破産ですが、申し立てを行なっても債務の免責が認められないケースもあります。主に次のような「免責不許可事由」がある場合です。

  • まだ財産があるのに、それを隠して破産申し立てを行なった場合
  • 複数の債権者がいるなかで、一部の債権者に偏った返済を行なった場合
  • 支払い不能状態になり破産申し立てを行なった原因が、ギャンブルや浪費によるものである場合

参考:借り過ぎには十分注意して 自己破産Q&A(富士見市)

自己破産を検討する前にやるべきこと

借金の返済に目処が立たなくなったとき、自己破産ではなくほかの方法で解決できる場合もあります。「任意整理」や「個人再生」といった債務整理が主な方法です。

任意整理とは

任意整理とは、債権者と交渉を行い、借金額や返済方法などの見直しを求める債務整理の一つです。

安定した収入があり、毎月の返済は滞りなく行なっているものの、それが利息の部分のみに該当し、元金の返済にまで至っていない場合などによくとられます。多くは将来利息部分のカットに合意をもらい、今後の返済を元金部分だけにすることで完済を目指します。もし過払い金がある場合には、元金を減らせる可能性もあります。

裁判所が関与せず、交渉力が重要になるため、弁護士や司法書士に依頼して行うのが一般的です。

この任意整理を行うと、信用情報機関に記録が残るため、事故情報の保管期間である5年間はクレジットカードの作成や利用が難しく、ローンの審査にも通りにくくなります。

個人再生とは

個人再生とは、安定した収入がありながら債務の返済が困難である場合に、裁判所に申し立てを行なって返済額を減額してもらい、原則3年で完済を目指す方法です。会社などの場合は個人再生ではなく、通常再生という方法をとります。

個人再生では、返済すべき金額が大幅に減らせるほか、条件が合えば所有している自宅が残せたり、就くことが制限されたりする職種などもないため、これまでの生活基盤をできる限り維持しながら借金を返済し、生活を立て直す機会を得られるのが魅力です。

また「自己破産」の場合と同様に、貸金業者が直接債務者と連絡を取ることができなくなるので、返済の督促もなくなります。

ただし「自己破産」や「任意整理」を行なった場合と同じく、信用情報機関へ情報が記録されるので、5年から10年程度の期間はクレジットカードの作成や利用が認められず、ローンを組むこともできなくなります。

また、個人再生は適用を受けるための条件が比較的厳しいことでも知られています。「借金の総額が5,000万円以下である」「将来的に安定した収入が定期的、継続的にあって計画的な返済が可能である」といった条件をクリアする必要があります。そのため、借金の総額が大きかったり、無職であったりする場合には別の方法が選択肢となるでしょう。

個人再生は、申し立てを行う際に必要となる書類もさまざまなものが必要となるうえに、申し立てを行なった後も審査に時間がかかる傾向があります。メリットを享受するためには仕方ありませんが、ある程度の覚悟をもって臨みましょう。

参考:個人再生の手続き(仙台地方裁判所)

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まずは専門家に相談

借金の返済に困っている場合、犠牲となる部分が多い自己破産は「最後の選択」として、できる限り別の方法で解決を求めるようにしたいものです。それぞれの立場、条件に合わせてどんな方法が向いているかはさまざまなので、何かアクションを起こす場合には、借金の返済に関する知識や情報を豊富に持つ弁護士や司法書士に相談するのが早道だといえるでしょう。また、公的な機関にも各種相談窓口が用意されているので、まずはそちらを使用してみるのも一手です。

参考:多重債務についての相談窓口(金融庁)

執筆は2019年12月20日時点の情報を参照しています。
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