総額表示義務化、​ネットショップを​含む業種別の​対応策

2021年4月から​一般消費者向けの​価格表示で、​消費税を​含む​「総額表示」が​義務化されます。​本記事では、​消費者に​対して​商品や​サービスを​提供している​事業主を​対象に、​総額表示義務化に​ついて、​どのような​義務なのか、​具体的に​どのように​対策を​すれば​よいのか​小売店、​飲食店、​ネットショップの​業種別に​説明します。

目次



総額表示義務化とは

日本では​1989年に​消費税が​初めて​導入されました。​当時3%だった​税率は、​1997年には​5%、​2014年には​8%、​2019年には​10%​(軽減税率は​8%)と​徐々に​引き上げられてきました。​事業者の​中には​値札の​書き​換えや、​決済・会計システムの​変更を​負担に​感じた​人も​いるかもしれません。

総額表示とは、​商品や​サービスの​購入に​あたって​消費者が​支払う、​消費税を​含む​「総額」を​表示する​ことです。​これまで​値札の​張り​替えなどの​負担を​考慮して、​2013年10月​1日から​2021年3月31日までは​特例措置がとられ、​表示価格が​税込価格であると​消費者が​誤認しない​ことを​条件に、​税込価格を​表示する​必要が​ありませんでした。

2021年3月末に​この​特別措置が​終わり、​一般の​消費者向けに​商品や​サービスを​提供している​個人事業主や​中小企業の​経営者は、​不特定多数の​消費者に​対して​価格を​表示する​場合、​税込の​総額を​表示する​義務が​発生します。​店舗の​値札だけでなく、​チラシを​はじめと​する​広告、​インターネットショップの​価格表示など、​消費者に​対する​価格表示の​すべてが​対象です。​ただし、​「不特定多数の​消費者」に​対して​発行されるのではない​見積書、​契約書、​請求書は​総額表示義務化の​対象では​ありません。

詳しくは​国税庁​財務省の​ウェブサイトに​説明が​ありますので​参考に​してください。

総額表示を​していない​事業者に​対する​罰則は​定められていません。​ただし、​お客様である​消費者に​対して​わかりやすく​価格を​表示する、​事業者と​して​信頼を​獲得すると​いう​観点から​総額表示の​義務化に​従う​ことを​お勧めします。

具体的に​どのように​価格を​表示するのか

消費者に​対して​「税込の​総額で​価格を​表示する」と​いっても、​具体的には​どのように​表示すれば​よいのでしょうか。

特例措置期間に​税抜価格を​表示していた​事業者は、​税込価格に​書き換える​必要が​あります。​たとえば、​総額表示義務化前の​商品の​値札が​「1,000円​(税抜)」だった​場合、​消費税10%を​含めた​「1,100円」と​いう​価格表示は​必須に​なります。​これに​対して​わかりやすく​「1,100円​(税込)」​「1,100円​(税抜価格1,000円)」と​追記する​こともでき、​「1,000円​(税込1,100円)」と​いった​価格表示も​可能です。​このように​支払い​総額である​税込価格が​書かれているかどうかが​重要です。

総額に​小数点が​含まれてしまう​場合は​どうしたら​よいでしょうか。​前出の​国税庁の​ウェブサイトに​よると、​消費税で​1円未満の​金額が​発生する​場合は、​四捨五入・切捨て​・切上げの​どの​方法で​処理しても​構わないと​あります。​また、​価格表示を​行っていない​場合は、​総額表示の​対象に​なりません。

続いて​小売店、​ネットショップ、​飲食店が​どのように​総額表示に​対応したら​よいか​説明します。

小売店が​取るべき対応

小売店では、​店舗に​陳列している​商品の​値札を​総額表示に​する​必要が​あります。​ウェブサイトを​持っていて、​特売情報などを​掲載している​場合には​ウェブサイトの​価格表示も​総額表示に​します。​ウェブサイトでの​宣伝と​同様に、​チラシや​メディアに​掲載している​広告も​不特定多数の​消費者の​目に​ふれる​ものである​ため、​総額表示に​します。

総額表示に​する​ときに​気になるのが​細かい桁の​数字です。​1円未満の​処理に​ついては​すでに​説明しましたが、​「130円​(税抜)」を​総額表示に​すると​「143円​(税込)」に​なります。​「1円単位の​金額を​なく​したい」​「お客様が​買い物しながら概算しにくいのでは……」と​気になる​人も​いるかもしれません。​大手小売業者の​中には、​事業者と​しては​実質的な​値下げに​なってしまう​ものの、​お客様の​利便性を​考慮して​これまで​表示していた​金額を​総額と​する​事業者も​あります。​総額表示に​切り替える​タイミングで、​どのような​対策が​事業と​お客様に​最善なのか検討するのも​一つの​手と​いえそうです。

総額表示と​いっても​値札だけでは​ありません。​2021年4月以降は​ソーシャルメディアへの​投稿でも​総額表示に​するように​気を​つけましょう。​また、​ネットショップも​運営している​小売店の​場合、​後述の​「ネットショップが​取るべき対応」も​参考に​してください。

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飲食店が​取るべき対応

飲食店の​対応は​基本的には​小売店の​対応と​同じですが、​食事の​提供形態に​よって​標準税率または​軽減税率が​適用される​ため、​複数の​形態で​食事を​提供している​場合には​形態別の​価格を​表示する​必要が​あります。

店内飲食、​テイクアウト、​宅配で​食事を​提供している​飲食店の​場合、​店内に​置く​メニューや​チラシには、​それぞれの​総額を​表示しなければなりません。​たとえば​1,000円の​メニューで​あれば、​「日替定食 1,100円​(店内飲食)​/1,080円​(テイクアウト・宅配)」と​いった​具合に​表示します。

小売店同様、​2021年4月以降は​ソーシャルメディアへの​投稿でも​総額表示に​するように​気を​つけましょう。​また、​インターネットで​注文を​受ける​タイプの​デリバリーサービスに​登録している​場合、​多くの​サービスが​総額表示に​対応していますが、​念の​ため次の​「ネットショップが​取るべき対応」も​参考に​してください。

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ネットショップが​取るべき対応

ネットショップ作成サービスや​ECモールを​利用している​場合は、​サービス側で​総額表示に​対応している​ことが​多いです​(※)。​自動的に​商品や​サービスの​価格を​総額表示に​してくれる​サービスも​あれば、​事業者​自身が​設定変更を​行う​サービスも​あります。​注意したいのは、​商品説明や​セール情報と​いった​テキスト部分です。​テキスト内には​以前​記載した​税抜の​価格が​残っている​可能性が​あります。​総額表示義務化に​合わせて​ネットショップの​ページを​今一度​点検するのが​無難です。

ネットショップ作成サービスを​利用せず、​自社で​ネットショップを​構築している​場合は、​ネットショップの​各ページの​チェックが​必要です。​各ページを​チェックし、​総額表示に​なっていない​部分を​洗い出します。

※:Squareで​ネットショップを​構築している​場合、​こちらの​記事から​総額表示設定を​ご確認ください。

消費増税や​軽減税率への​対応、​今回の​総額表示義務化と​いった​制度​変更や​法規制に​適応しやすいと​いう​点では、​ネットショップ作成サービスに​大きな​メリットが​あります。​手間は​かかるかもしれませんが、​総額表示義務化を​きっかけに​ネットショップ作成サービスに​移行するのも​一つの​手かもしれません。​サービスに​よっては​販売が​生じない​限り、​費用が​発生しない​ものも​あります。​ネットショップ改修の​手間と​ネットショップ作成サービスに​移行する​手間を​比較して​移行を​検討してみてください。

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ネットショップと​合わせて​実店舗を​持っている、​チラシを​配布している、​メディアに​広告を​出していると​いった​場合は、​前出の​小売店や​飲食店がとるべき対応も​参考に​してください。

2021年4月以降は​メールマガジンや​ソーシャルメディアへの​投稿でも​総額表示に​するように​気を​つけましょう。

本記事では​2021年4月から​義務化される​価格の​「総額表示」に​ついて​説明しました。​価格の​表示方法の​規制と​聞くと、​難しい​もの、​手間の​かかる​もののように​考えていた​人も​いるかもしれません。​仕組み自体は​難しい​ものでは​ありません。​ネットショップで​あれば、​ネットショップ作成サービスを​利用する​ことで​大幅に​手間を​減らす​ことができます。​実店舗では​書き換えの​手間は​かかりますが、​お客様に​わかりやすく​快適に​お買い物を​楽しんでいただく​ための​一手間と​考えて​総額表示に​取り組んで​みてください。

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執筆は​2021年4月1日​時点の​情報を​参照しています。
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