お中元やお歳暮をいただいた時、お店のオープンにお祝いをいただいた時、商談相手を紹介してもらった時、感謝の気持ちを込めてお礼状をしたためる機会は経営者こそ多いのではないでしょうか。
もちろん、現代ではメール一通で済ませることもできますが、お世話になった方だからこそ心を込めて手書きのお礼状を贈りたい時やメールアドレスがわからない時もあります。昔からの常連のお客様に日頃のお礼を兼ねて手紙を出してみるのも良いかもしれません。
今回はお礼状のマナーについてご紹介します。
ハガキか封書か
ハガキは他人に見られても問題のない内容やかんたんな用事を伝える時に送る略式の手紙です。その点、目上の方にお礼状を送る際にはハガキでは失礼だと言われています。
ただ、親しい相手に送る場合や急いで送りたい場合はハガキでも大丈夫なようです。もし、気になるようなら「ハガキで失礼します」という断りを一言入れるようにしましょう。
送る時期は
お礼状はなるべくすぐに送るようにしましょう。お中元やお歳暮なら、お礼状は相手に「届きましたよ」とお知らせをする役割を担っています。また、仕事でお世話になった相手なら、その仕事の進捗具合について触れるような内容にしましょう。
贈答物の場合は届いたその日のうちにはお礼状を出すのが理想的です。一方で、お中元やお歳暮、オープン時のお花は同じ時期にたくさん届くので、毎日お礼状を書くのはあまり現実的ではありません。ビジネスの場合、お礼状は印刷でも構わないのでなるべく早く出すようにしましょう。印刷した文字がそっけなく感じるようなら、一言だけでも手書きのコメントを添えるなどの工夫をしてみてはいかがでしょうか。
また、会食や商談で会った相手にお礼や今後も引き続きお付き合いを続けたい旨を伝えたい場合も、会った次の日にはお礼状を出すようにしましょう。多くの人と会話をするパーティや展示会ではどの方とどんな会話をしたのか覚えておくことが難しい場合もあります。名刺や手帳にメモをしておくことで、お礼状の文面を考える時にあまり悩まずに済むかもしれません。
印象に残るお礼状を書くには
ハガキや封書、切手はペンやメモ帳と同じようにビジネスに必要な文房具として揃えておけば、いざという時にすぐにお礼状を出すことができます。季節に合わせた絵柄のハガキや切手、もしくはイニシャルが入ったオーダーメイドのレターセットなどを使えば、手紙に個性が出ます。
時代劇などで主人公が墨を磨り、毛筆で手紙を書く様子を観たことがあるかもしれません。現在では習字の授業以外で、墨を用意して何かを書く機会は随分減ってきました。お礼状を書くのは筆ペンや万年筆、ボールペンなど、使い慣れた筆記用具で構いません。昔はボールペンは失礼とされていましたが、今ではあまり気にならないようです。
ペンのインクは目上の方には黒が無難だとされています。万年筆はインクのバリエーションが多いので、親しい間柄の方にはブラウンやブルーなど、ちょっと変わったインクを使ってみるのも印象的なお礼状を書く秘訣です。
紙と筆記用具の相性もあるので、いきなり本番の紙には書かずに必ず試し書きをするようにしましょう。消えるインクを使ったペンは万が一内容が消えてしまうことを考えて、使うのは控えたほうが良いです。
他にも、文香を忍ばせたり、イニシャルの入ったスタンプを押したり、さまざまな工夫を凝らすことで相手の印象に残るお礼状を送ることができます。
また、「ワイン好きの〇〇様が心待ちにしていたボジョレーヌーボーの季節が近づいてきましたね」「紫陽花を見ると、貴社のある箱根を思い出します」など、相手を想う一言を添えると、印象に残るでしょう。
Square 顧客リストを使えば、お客様の購買履歴だけでなく、好みや特徴なども残しておくことができます。
お礼状の文例
お礼状にかかわらず、手紙の基本的な流れは下記のようになります。いくつかの文例を紹介します。
頭語(「拝啓」「謹啓」など)
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時候の挨拶(季節を感じさせる言葉)
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安否の挨拶(相手の健康などを伺う言葉)
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感謝の挨拶
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本文
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結びの挨拶
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結句(頭語が「拝啓」なら「敬具」、「謹啓」なら「謹言」)
長年の常連客へのお礼
拝啓 いよいよ秋も深まり朝夕に寒さを覚えるこの頃、お元気でご活躍のことと存じます。
先日はご家族でご来店いただきましてありがとうございます。ふと銀杏の葉を目にし、◯◯様のお母様のことを思い出しました。お母様には当店の銀杏が入った茶碗蒸しを気に入っていただいて、毎回欠かさずお召し上がりいただき誠に感謝しております。
今月からは秋の味覚がふんだんに入った茶碗蒸しになっております。◯◯様がお好きな秋刀魚を使ったメニューもご用意しております。水菓子は奥様のお好きなぶどうでございます。
当店で過ごすひと時が素晴らしい時間になるようおもてなしの準備をしておりますので、ぜひまたご家族でお越しくださるのをお待ちしております。
師走に向けて日々忙しさが増すかと思いますが、季節柄くれぐれもご自愛下さいませ。
敬具
お歳暮のお礼
拝啓 師走の候、貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、この度はお心のこもったお歳暮をお送りいただきまして、誠にありがとうございます。東北の珍しいお菓子を社員一同美味しくいただきました。変わらぬお心遣いに厚く御礼を申し上げます。
最後になりましたが、貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
パーティーで会った方へのお礼
謹啓 清らかな香り漂う梅花の候、ご清祥のこととお喜び申し上げます。
先日、貴社を訪れた折には貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。◯◯専務、◯◯部長をはじめ、みなさまのプライベートな一面も拝見することができ、ますます貴社のファンになってしまいました。
◯◯専務には前職よりお世話になっておりまして、私が起業を考えていることを打ち明けてからも様々なアドバイスをいただいた上に、今回はおもてなしまでいただき、深謝しております。貴重なアドバイスを今後の仕事に活かしてまいります。何とぞご厚誼のほどよろしくお願い申し上げます。またお目にかかれますことを楽しみにしております。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げ、お礼とさせていただきます。
謹言
お礼状を多く出すタイミングだと、どうしても似たような文面になってしまうかもしれません。本文で一言でもいいので、「何が嬉しかったのか」「どう嬉しかったのか」などを具体的に伝えましょう。また、同じ方からお中元とお歳暮の両方が届くかもしれません。その場合は、同じような文面を相手に送ってしまわないように気を付けましょう。
どこまでかしこまった文面にするかは相手との関係にもよります。もし、文面が堅苦しいことが気になるようなら、レターセットを絵柄の入ったものにすると印象が柔らかくなるかもしれません。
大切なのは感謝の気持ちをできるだけ早く伝えることです。もし、数日空いてしまった場合は、お礼が遅くなった旨を詫びる一文を加えましょう。
メールやソーシャルメディアを使って、気軽でかんたんにコミュニケーションができる時代だからこそ、手書きの手紙は一段と違って見えるかもしれません。相手の印象に残るお礼のカタチとして、お礼状を活用してみてはいかがでしょうか。
執筆は2017年10月18日時点の情報を参照しています。
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