関心があるけど起業に踏み込めない理由は、年齢や性別が関係ある!?

起業。一度は考えたことある人も多いのではないでしょうか。イノベーティブなアイデアの実現を目指す起業でなくても、例えば自宅で仕事をしたい、本業以外の収入源を確保したい、もっと自由な働き方を選択したいと考えて起業を考える人は最近増えているかもしれません。ただ、「この歳で起業するにはちょっと若すぎる。もしくは、歳を取りすぎている」「女性で起業している人が周りに居ない」と不安に感じることもあるかもしれません。起業に年齢や性別は関係するのでしょうか。また、日本は起業しにくいと言われますが、実際はどうでしょうか。

未成年でも起業はできるのか

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まずは年齢を考えてみましょう。未成年でも起業は可能かどうか。答えは可能です。例えば、最近話題になっている若手の棋士の場合、プロ棋士は個人事業主であることが多いようです。

未成年が個人事業主になるには成人と同様、税務署に開業届出を提出する必要があります。ただし、ここで未成年の場合は未成年登記を同時に提出しなければいけません。商法では、未成年が自らの名をもって商人として営業をする時には未成年者登記をしなければならない、と定めています。また、未成年登記の申請には法定代理人の記名捺印が必要なので、必然的に未成年は保護者の了承を得て起業することになります。

では、個人事業主ではなく、法人を設立することは可能なのでしょうか。法人の場合、税務署には法人設立届出書を提出する必要があります。届出書に添付する書類の中には、実印の捺印が必要な書類や、印鑑証明書があります。自治体ごとに異なりますが、印鑑登録をできるのは大体15歳以上と年齢制限があります。そのため、法人の設立も実質15歳以上からということになります。

上記のような違いはあるものの、アイデアや資金、周囲からのサポートがあれば成人と同様に未成年でもビジネスを立ち上げることは可能です。

盛り上がるシニア起業

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次はシニア層です。今、シニア層による起業が盛り上がっています。2014年版中小企業白書によると、起業希望者もしくは起業家に占める60歳以上の割合が年々増加しています。1979年では69歳以上の起業家は6.6%だったのに対して、2012年では32.4%にまで増えています。一方で、29歳以下の起業家は1979年では23.7%でしたが、2012年には11.9%に減っています。これらの数字の変化には様々な要素が絡んでいますが、シニア層が会社員時代の知識や技術を利用して起業することは、高齢化・長寿社会の日本には必然的な流れかもしれません。

国や自治体もシニア起業を後押ししています。例えば、厚生労働省の生涯現役起業支援助成金、日本政策金融公庫の女性、若者/シニア起業家支援資金、兵庫県のシニア起業家支援事業などがあります。

女性の起業家は少ない!?

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未成年でも起業が可能なこと、シニア層の起業が増えていることは分かりましたが、実際に起業を考えた時に、どんなハードルがあるのでしょうか。日本は起業が難しい、起業家が生まれにくいと言われています。どれくらい難しいのか、データで見てみましょう。

世界銀行ではビジネス環境の現状(Doing Business)という報告書を毎年発表しています。最新の2017版では、ビジネスのしやすさでは日本は34位(前年は32位)でした。同じアジアでもシンガポールの2位、香港の4位、韓国の5位に比べると順位としてはかなり低いことがわかります。

また、起業のしやすさランキングでは89位(前年は81位)です。こちらも、香港は3位、シンガポールは6位、韓国は11位と、これらの3カ国は上位に位置しています。

OECDが発表している図表でみる起業2016年版(Entrepreneurship at a Glance2016)
では、日本は起業の要因である男女格差が最も顕著だと指摘されています。企業と事業拡大のための資金調達や訓練の利用において、日本は男女の差が最も大きく、OECD平均を大幅に上回っています。また、発明家に占める女性の割合が7%(2014年時点)、女性の自営業率は5%といった点も起業の成果に影響を及ぼしているといわれています。

日本で行われた調査でも同様の点が見られます。前述の2014年版中小企業白書によれば、起業家に占める女性の割合は1979年では39.8%で、80年から90年は増加傾向にあったものの、2000年台に入ると減少傾向を見せ、2012年には30.3%に減少しています。

日本政策金融公庫総合研究所が2017年1月に発表した起業と起業意識に関する調査では、調査対象者のうち起業家の男性は76%、女性は24%です。女性の労働人口(労働力調査(基本集計)平成28年)は年々増加しているのにもかかわらず、起業家に占める女性が増えないことがOECDの指摘に繋がっているのかもしれません。

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起業を阻害している要因は?

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データから日本は諸外国よりも起業がしにくく、特に女性の起業家が少ないことが分かりました。それでは、起業を難しくしている要因には何があるのでしょうか。

上述の日本政策金融公庫総合研究所の「起業と起業意識に関する調査」からは、起業関心層が起業しない理由として、自己資金の不足ビジネスのアイデア不足失敗した時のリスクが大きい、と大きく三つの理由があることがわかります。

では、起業がしやすいとされる国では何が「しやすさ」の要因になっているのでしょうか。例えば、シンガポールは設立時の手続きの簡単さ、法人税の安さ、政府による海外企業の誘致政策の充実、が挙げられています。

もちろんこれらの物理的な要因も重要ですが、「起業と起業意識に関する調査」では起業無関心層の70.8%は周囲に起業家がいないと答えています。そもそも友人や知人、親族に起業家がいるかどうかが起業への関心に影響を及ぼすとしたら、シンガポールのような国土が狭く、起業がしやすい土地柄では、周囲に起業家がいる可能性が高くなり、その分起業への関心も高まるのかもしれません。

ここまで紹介した内容を見ると起業する気がなくなってしまうかもしれませんが、2014年版中小企業白書では起業の満足度についても調査しています。起業したことに6割弱の人が満足と感じていて、また家族との時間が取りやすくなった、ストレスが減ったと答えている人も多いです。

新しいことに挑戦することは、課題に直面する苦しみだけでなく、今までになかった満足感や充実感、この両方を与えてくれるようです。
参考:
起業の準備を楽にする、場所とツール選びのすすめ
自営業に給与明細はない!?年収の求め方と上げ方

執筆は2017年7月12日時点の情報を参照しています。2019年4月24日に記事の一部情報を更新しました。
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