現金管理コストや機会損失のリスクが明らかに。キャッシュレス化、人手不足解消でもメリット大
Square、中小規模事業者および消費者対象に「現金のコスト意識とキャッシュレスに関する調査」を実施
日本の中小規模事業者が現金集計や銀行への入金に割く時間は、年間約147時間に及ぶことが分かりました。これは、人件費に換算すると日本全体で約8,861億円に上ります(※1)。事業者は完全キャッシュレスに移行することで、月間で12時間以上の余裕ができるため、人手不足解消への効果や、経営にインパクトのある業務に時間を回し生産性向上に繋がる効果が期待できると推察されます。
日本の中小規模事業者にお客様が好む支払い方法を質問したところ、お客様に日頃接している従業員の方が、経営者に比べ、現金以外のニーズを感じ取っていることが分かりました。特に、クレジットカードの需要について最も認識のギャップが大きく、従業員の54.8%がクレジットカードを「お客さまが好む支払い方法」と回答したのに対し、同様の回答をした経営者は39.1%に止まり、15.7ポイントも認識にギャップがありました。
消費者の約23%が「カード払いできず購入を諦めた」経験がある
消費者を対象としたアンケートでは、全体の22.9%がクレジットカードが利用できなかったために購入を諦めた経験があると回答し、クレジットカード決済に対応していないと機会損失につながる可能性が極めて高いことが分かりました。
上智大学 法学部 法科大学院所属教員 森下哲郎教授
今回の調査結果について、森下教授に内容をご確認いただき、次のコメントをいただきました。
今回の調査は、日頃意識しにくいものも含め、事業者にとっての現金のコストを多角的に分析している点で興味深い。 一定数の消費者が、クレジットカードが利用できなかったために購入を諦めたことがあるという回答も踏まえると、カード決済を導入することによる手数料等のコスト、現金の取扱いコストの削減というメリットに加えて、カードという選択肢を顧客に示すことによる経営へのメリットの評価が大切だろう。 また、消費税率10%引き上げに伴い、カード決済によるポイント還元を導入する動きがある。ポイント付加は、消費者のカード利用促進の重要なモチベーションとなり得る。今回の調査では、対面では現金で支払いたいという消費者が多かったが、決済に対する消費者のニーズが変わる可能性が大きい。消費者ニーズに適ったカード決済導入により、ビジネス機会拡大につながるのではないか。 国内企業の99.7%を占める中小企業でキャッシュレス化が広がることが、日本のキャッシュレス化の鍵を握るといっても過言ではない。2020年インバウンド需要増、消費税率引き上げは、キャッシュレス決済に対するあり方を考える好機である。
益子陶器市に出店する際に、Squareでクレジットカード決済を受け付けている後藤氏は、次のように述べています。「カード決済導入後、現金のみ受け付けていた時と比べ、売上が2割程度上がりました。とあるお客様には『いつもオンラインでは売り切れの器を見つけ、財布に入っていた現金では足りなかったけれど、クレジットカード対応していたので、躊躇せず購入しました。とても嬉しい!』と喜んでいただいています」
「クレジットカード決済の導入に躊躇する小規模事業者の多くは、決済手数料がネックと考えていると言われています。Squareは、事業規模や業態に関わらず、個人事業主でもスマートフォンを使って簡単にクレジットカード決済を受け付けられるサービスを生みました。Squareが日本で事業を開始して以来、他社も追随し、いまでは初期費用や手間暇、手数料など圧倒的に導入が簡単になりました。しかし、まだ日本では、現金のほうがお得という認識が根強く残っています。今回の調査では現金を取り扱うことにもコストがかかっていることが明らかになりました。特に中小事業者において、人手不足が問題となっているなか、今回のこの調査が、キャッシュレス化が生産性の向上につながることを認識していただくきっかけになればと思います。
①従業員100人以下の中小規模事業者を対象とした調査
実施期間:2018年9月28日〜10月2日
対象:従業員100人以下の中小規模事業者に従事する632人
有効回答数:632名
調査手法:インターネットリサーチ(調査:ジャストシステム「Fastask」利用)
実施期間:2018年10月1日〜10月2日
対象:全国の20歳以上の男女
有効回答数:1,464名
調査手法:インターネットリサーチ(調査:ジャストシステム「Fastask」利用)