IT化が進み、多くの人が日常的にインターネットを通じてやり取りをするようになった現在、デジタルデータ化された情報を扱うスキルは、ビジネスの場において必須のものといえるでしょう。
特に最近はスマートフォンなどを利用した情報活用が著しく発展し、「第4次産業革命」とも呼ばれ、その重要性は日に日に高まっています。
データ化された情報は、上手に活用すれば事業運営の効率化やサービス展開を飛躍的に推し進められるといったプラスの効果をもたらしますが、一歩取り扱いを間違えると会社に大きなダメージをも招き得るマイナスの効果をもたらす面も兼ね備えています。そのため、どのように接していくかがこれからの経営において大きな課題となってきます。
今回は、情報リテラシーについて経営者として知っておきたい基礎知識や対策を紹介します。
目次
情報リテラシーとは何か
情報リテラシーとは一般的には、目的に合わせて必要な情報を収集し、その確証や価値を的確に見極め、正しく管理し、活用する能力のことをいいます。
情報機器を活用する能力である「コンピューターリテラシー」、ネットワークに関する知識や技術を活用する能力である「ネットワークリテラシー」、テレビやラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアに加えウェブサイトやブログ、ソーシャルメディアなども含めたメディア全般を活用する能力である「メディアリテラシー」などと重なる部分が多く、「ITリテラシー」という言葉が同義で使われることもあります。
従業員の情報リテラシーを高めることが大切な理由
従業員の情報リテラシーの欠如は時として経営にダメージを与える可能性もあります。重大なミスを起こさないよう、情報に関わる際に注意すべき点を「情報の取得時」「情報の管理」「情報の発信時」という3つの場面に分けて紹介します。
情報の取得時
まず大切なのは、情報を入手する際、ネットワークのログインに必要なIDやパスワードの管理意識を高めることです。誕生日や名前など利用者の個人情報から容易に導き出せるような数字や文字を使用しないことはもちろん、同じものの使いまわしを避けたり、定期的にパスワードを変更したりするなど組織全体で徹底することが求められます。スマートフォンで利用できるIDやパスワードの管理アプリや二段階認証、パスワードの代わりにパスフレーズを使うという方法もあります。
さらに、ネットワークに関しては上記のような個人レベルでの対策に加え、会社全体のセキュリティ対策も併せて行っておくことが必要です。場合によっては、専門の業者に相談し、自社の利用状況に合わせた措置を講じておきましょう。
また情報を得る際には、その内容や情報元が信頼できるかどうかを見極める目を持たなくてはなりません。従業員のメディアリテラシーに普段から気を配っておくことも大事です。
情報の管理
自社が持つ重要なデータの管理に関しては、ハッキング対策などを行うだけでなく、従業員自らが知らず知らずのうちに情報を流出してしまう事態にも備えが必要です。
重要な情報に何かしらの操作を加える際や、社外とのやり取りをする際には、複数のチェックによる管理体制を構築しておきましょう。
またスパムメールや、ウィルス対策に関してもセキュリティソフトの導入はもちろん、一人ひとりの従業員が不審なメールを不用意に開いたり、リンクをクリックしたりしないように意識するとともに、最新のセキュリティ情報を共有するように徹底しましょう。
情報の発信時
ブログやソーシャルメディアを利用して情報発信を行っている会社も多いでしょう。その場合、扱う内容や画像には細心の注意を払っておくことが必要です。
軽率な書き込みを行わないことは当然ですが、「偏りのある表現ではないか」「書かれた内容に確証の持てる根拠はあるか」「誰かを傷つける文言を使っていないか」など、できればチェックリストを用意して、公開前に書き手以外の人が必ず確認することが大切です。
掲載する写真や画像、引用する文章などに関しても同様に、「著作権や肖像権を侵害していないか」「個人情報を流出させるようなものが写り込んでいないか」などを確かめるようにしましょう。
また、注意をしていても、いわゆる「炎上」などのトラブルを招いてしまう可能性はあります。過去のケースを従業員間で共有しておくなど、問題が生じた際の対策を前もって用意しておくことも肝心です。
情報リテラシーを高めるためのアドバイス
情報リテラシーの向上は、いまや特定の部門の担当者だけでなく、組織全体で取り組むべき課題となっています。
また、テクノロジーは日々変化するものなので、常に最新の動向をチェックし、学び続ける姿勢を持つことが重要です。従業員トレーニングや理解度チェックテストなどを通じて、体制をしっかりと構築しましょう。
情報分野に関する資格取得も情報リテラシー向上への取り組みとして大いに役立ちます。代表的なものをいくつか紹介します。
・情報検定(J検)(一般財団法人 職業教育・キャリア教育財団 検定試験センター (旧 専修学校教育振興会))
「情報システム試験」「情報活用試験」「情報デザイン試験」と3つの区分があり、情報リテラシーの向上には、そのなかの「情報活用試験」が適していると考えられます。
情報処理推進機構(IPA)が行っている国家試験で、略して「iパス」とも呼ばれています。セキュリティ、ネットワークなどのITの知識だけでなく、経営戦略といった経営全般の知識やプロジェクトマネジメントの知識など総合的知識を問う試験です。
平成28年度の応募者データによると、受験者の57%が社会人で、その半数以上が非IT系企業に属している人たちです。
・情報セキュリティマネジメント試験(独立行政法人情報処理推進機構)
こちらも情報処理推進機構(IPA)が行っている国家試験で、情報セキュリティマネジメントを通して脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する試験です。ITの安全利用や情報管理の側面にクローズアップした内容となっており、前述の「ITパスポート試験」からステップアップを求める人向けの試験となっています。
詳しい内容は、各ウェブサイトをご確認ください。
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執筆は2018年3月6日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash