井の頭線新代田駅から徒歩2分の場所にあるイタリア料理屋のDaitaliaは、黄色いドアが目印のクッチーナロカーレ(街の台所)。食を通じて地元の人がつながれる社交場にもなりつつあるこのお店では、オーナーシェフの佐藤大介さんが食事を用意し、妻の華子さんが来店客を元気に迎え入れている。ここではお二人が店づくりにおいて大切にしていることを伺った。
2019年3月にオープンを迎えたDaitalia。オーナーシェフの佐藤大介さんが、新代田で新たなレストランを立ち上げた理由はずばり、家族で5年ほど住んできた場所でもある新代田に、「Daitaliaのような飲食店舗が必要だと感じたから」だそう。
華子さんは続ける。「座って、ゆっくりできるお店がこのエリアに必要だと感じたんです。あとは事務所が隣同士だけれど交流がなかった二人が、このお店で初めて会うとか。近くの病院の先生と患者さんがここでばったり会って、『お世話になります』と挨拶するとか(笑)。そういう交流が楽しめる店にしたくて。人がつながれる場所があると、周辺が少し豊かになりますしね」
席数は、全部で21席。どの席からも厨房の様子が見れるオープンキッチンの作りが印象的だ。お二人はどのようなこだわりを持ち、店づくりに挑んだのだろうか。
大介さん「カウンターは7席にしました。あえて奇数にしたのは、ペアでカウンターが埋まると想定したときに一席余るからです。一人の人にも来てほしいから、と一席とっておいているんです。だから満席だとしても、一席だけ空いている可能性があるんですよ。それがこの店、この場所の性に合う気がして」
大介さん「僕らが目指しているのは、この地域の人たちが必要とする飲食店舗を作ることです。そのためには自分たちがやりたいことの延長線上に、ここにくる人たちが『楽しいな』『また来たいな』と満足してもらえるお店でなくちゃいけないと思っています」
大介さん「ここでしか味わえない楽しさを提供することも、一つ心掛けていることですね。それがオープンキッチンにした理由でもあります。食べるものができる過程が見れると、食べることにより関心を抱き、よりありがたみを感じるようになると思うんです」
大介さん「自分たちが頼んだものが仕上がるのをカウンターから眺めながら『私のじゃないのか〜』『やっときた!』なんて会話を交わすのも一つの楽しみ方ですよね。逆にテーブル席だと『なかなか来ないな』と感じることもあるかもしれません。待ち時間は一緒でも、見えるものが違うと楽しさが変わります」
料理ができる過程が楽しめたり、予期せぬ出会いや交流があったり。一人で来ても楽しめる仕掛けが随所にあるDaitalia。その他にもう一つ、店づくりにおいて欠かせないことがあるのだそう。
大介さん「笑顔に溢れる店にしたいですね。味や雰囲気はもちろんですが、最終的に印象を残せる店には笑顔がある。人が人に何かをやり続ける限り、その交流に笑顔が生まれるかどうかが大切だと思うんです。機械は笑えませんからね。当たり前の人間らしさが、この店に必要だなと感じています」
大介さん「SquareはDaitaliaを始める前から使わせていただいているので、もう五年以上は経ちますね。銀行振込までの時間が短くて助かっています」
二人に今後Daitaliaとして目指す先を尋ねてみると、大介さんはこう答えてくれた。「Daitaliaから新代田の駅まで118メートルなので、118メートルの列を作ることです(笑)」
華子さん「それくらい人の溢れる場所にしたいですね(笑)。じっくり食事をして、じっくりお酒を飲める場所があると、じっくり人の話が聞けるようになり、人と人がつながっていきます。今では地域の交流場になりつつあって、私たちもお店をはじめてからたくさんの人と会うようになりました。家が店のすぐ近くなんですけど、店と家を行き来する道のりでとんでもない数の挨拶をするんですよ(笑)」
華子さん「出会いが増えたことで生活もすごく変わりましたし、出会いがあるからこそ店をやってよかったなと感じています。今後はその輪をもっと広げて、もっと熱い関係になっていけたらなと思いますね」
大介さん「あごが外れてしまうほど笑いが溢れる場所にできたらうれしいですね。楽しさを想起させる場所でありたいな、と思います」
Daitalia
東京都 世田谷区 羽根木 1-4-18
03-6379-2018
不定休
www.daita-lia.com