新型コロナウイルスへの対応

【一歩ずつ、前へ】オンラインでも良質のサービスを提供するためには。広松木工

Square (スクエア), ブログ編集者

Square 加盟店が今どのようにビジネスと向き合い、どのように前に進もうとしているのか。【一歩ずつ、前へ】は、加盟店の今の声をお届けするシリーズです。

今回お話を伺ったのは、70年の歴史を誇る家具メーカー「広松木工」。家具の生産量が国内で最も多いとされており、家具のまちとしても知られる福岡県大川市に本社を構えています。暮らしに溶け込み、年を重ねるごとに味わいを深める家具を作るために、大量生産は一切せず、職人の手作業で一つひとつを丹念に作り上げている家具メーカーです。

今年は新たな日常に対応するために、毎年恒例の催し物「スプリングフェア」をオンラインで開催することになったりと、新たな取り組みに挑まれてきました。ここでは広松木工で働く藤野龍也さんに、新たな生活様式が推奨されるなか取り組まれてきたこと、今後に向けて模索されていることについて伺いました。

ーーまずは藤野さまの自己紹介と、広松木工さまについて教えていただけますか。

「私は広松木工のなかで小売をまとめる役割と、オンラインショップを担当しています。広松木工自体は今創業70周年を迎えて、今の社長になってから徐々にデザイン性を重視した家具作りとなり、デザイナーさんと一緒に風合いや雰囲気を作り上げ、ファンづくりをしてきて、今の広松木工があります」

ーー広松木工さまの家具は年を重ねるごとに味わい深くなるところ、生産過程に無駄がないところも特徴的ですよね。

「家具にはいろんな仕上げ方法があります。ウレタンでコーティングをしたり、ピアノ塗装といってかなりつるっとした表情に仕上げたりといった仕上げ方法があるなかで、広松木工では8割から9割ほどオイル仕上げを採用しています。

日頃のダイニングテーブルには、コップなどを置きっぱなしにすることもありますよね。オイル仕上げはどうしても輪じみがついたり、汚れがついたりしやすい仕上げ方法ではあるんですけれど、自分たちで簡単にメンテナンスができるので、そういったシミや汚れも自分たちの味に変えていくことができます。メンテナンスを繰り返しながら、愛着を持って、長く使っていただきたいなというところで、採用している仕上げ方法です。

納品させていただいてからお客様との本当の付き合いがはじまると思っているので、そこからお客様とも末長くいいお付き合いができたらな、というモットーで営業しています。

『無駄のない』でいうと、そうですね。家具にできない端材とかを基本的には燃やして捨ててしまうのが一般的だと思います。でも、広松木工では捨てずに、端材を丸めて量り売りしているんです。

ドラム缶のような機械のなかにサンドペーパーを貼って、そのなかに端材を入れてガラガラまわして、自然と角をとっていくんです。そうすると、不揃いの球体になります。飾ってもらってもかわいいですし、着色していない木自然の色なので、経年変化を楽しんでいただいています。これを作るときに木の細かい粉が出るので、それも捨てずに木の粘土にしています」

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▲ ファクトリーショップ 大川本店の外観

ーー感染症拡大の影響について、緊急事態宣言が発令される前と、今の状況を簡単にご説明いただますか。

「本店のFACTORY SHOP大川とFACTORY SHOP博多とで2店舗あるんですが、大川店のほうは休業せずにずっと店舗を開けていました。博多の店舗はリバレインという施設に入っているんですけど、リバレイン自体が閉める判断を下したので、博多店は休業という形で対応させていただきました。リアル店舗の客足というのは、4月以降からがくんと落ちたのが現状ですね。数字のとり方としては、以前見積もりを出していたお客様へのフォローだったりをしっかり重視させて、なんとか受注を確保していったという形です。

緊急事態宣言が解除されてから、最初のスタートダッシュは戻りが悪かったんですけど、徐々にお客様の足取りは戻りつつあるというところです。博多店のほうは第二波が起きはじめた段階で、感染者が少し増えると客足が減る、その繰り返しのような状況です」

ーーこのような状況のなか、オンラインに転換するビジネスも多いですが、広松木工さまは感染症が広まる以前からオンラインショップをお持ちでしたよね。

「オンラインストアは7年前くらいにはじめましたね。全国でうちの家具を使ってくれているファンのお客様がありがたいことに多くいらっしゃって、毎年関東のほうでは個展を開いたりしています。ただ、広松木工が大川という辺鄙な土地にあるので、来ていただけないお客様に実物は見れないものの、何かしらしっかりアクションを取りながら、家具をご購入いただければいいな、という思いからオンラインショップははじめていました」

ーーこの期間に新たにはじめたことや、新たな日常に適応していくために試みていることはありますか。

「正直、今も模索している状況です。来店する人に対して完全予約制にするか、しないか、ということも考えていたりはします。それと店舗に来ていただかなくても、リモートで接客できるようにすることは模索していますね。

あとはオンラインショップの情報量の充実だったりとか、お客様がなるべくものを見なくてもその情報があればわかるね、伝わるね、という部分をより充実させていけたらな、というところで今、活動しています」

ーー直近では、毎年4月の最初の週末に開催されている広松木工さまの大きなイベント、「スプリングフェア」の開催を、オンラインでされたことを拝見しました。スプリングフェアとは、広松木工さまにとってどのようなイベントなのでしょうか。

「来ていただく方限定にはなるんですけど、スプリングフェアは感謝祭という位置付けで行わせていただいています。広松木工のファンの方や、なかなかうちの家具が高くて買えない、というお客様に、たとえば現品で少し傷が入っているけど、『この価格でいかがですか』などと提案して、ご納得いただけたら買っていただく、という形で開催していましたね。

あとはチャリティ的な要素もありまして、毎年オークションをしています。オークションの売り上げの一部は植林や、障害者の学校に寄付させていただいたり、というところが活動の位置付けです」

ーーオンラインでの開催となると、本来のようにお客様と直接会話したり、説明したり、ができないですよね。オンラインで開催するうえで苦労されたことはありましたか。

「基本的にA品での割引はしないので、現品なんですよね。現品というのはどうしても傷が入っていたり、色が褪せていたりします。お客様が得られる情報が画像だけなので、傷をこと細かに説明して、納得していただいたうえでご購入いただかないと、やっぱりクレームにつながってしまうところが非常に難しくて。いつもの広松木工のオンラインショップの商品ページよりかは少しかっこ悪い写真構成になるんですけれども。なるべく細部まで伝わるような形で作り上げました。それと基本的にはリアル店舗だと見て、買うという形なのでご納得いただけるんですけど、オンラインショップは画像しか方法がないので、期間(※)も長めに設定しました」

※通常は4月の最初の週末の二日間のみ。今年は4月14日から5月31日まで開催されました。

ーーはじめての試みだったかとは思うのですが、オンラインで開催してみた感触はいかがでしたか。

「毎年お客様と顔を合わせて感謝祭という位置付けでやってきたなかで、それがやっぱりできなくなったのは非常に残念なことではあるんですけど。一方で、関東にお住まいでスプリングフェアをご存知のお客様がなかなか来れない状況になっていたので、『今回オンラインショップで開催してくれて私も買えました』とか、『また来年もやってください』というお声もいただけたのは、非常にうれしかったなと感じるところです」

ーーオンラインで買えるとなると、みんな一斉に買い始めることができるので、スタートダッシュが激しいのでは……と思いました。

「最初の1日目の三時間くらいは注文が止まりませんでしたね。あとは終了間際、悩まれていたお客様が『買おう』とご決断されて注文が殺到した、ということはありました」

ーー2020年9月には、神楽坂の「AKOMEYA TOKYO in la kagu」で、家具展の開催が決定していますね。ワークショップは開催せず、「おうちで作れるワークショップキット」を提供される予定だと拝見しました。

「ワークショップとなると人が集まって、若干密になる状況があるので、そこはどうしても避けたいという思いがありました。今回東京でイベントをするだけでもリスクが高いこともあり、ワークショップは今回やめて、ステイホームでおうち時間を楽しむ流れのなか、何かしらご自宅で広松木工のワークショップを楽しんでいただけたらという思いで作ることになりました」

ーー最後となりますが、新たな日常のなかで、広松木工さまとして変わらないといけないと考えること、変わらず続けていきたいことを教えていただけますか。

「リアル店舗だけに頼らない営業や販売ツールというのを確立しなくちゃいけないな、というのは改めて感じましたね。ただ信頼関係があってこそですし、安くはない家具を買ってもらうわけなので、遠隔で接客ができるシステムを導入していきたいなと思います。

それと、丁寧なつくりをしないと木というのは割れたり剃ったりしてくるものです。これから長くお客様に使っていただけるものにはなるので、嘘のない接客をして、職人たちが丹精を込めた工程を組んで、しっかり末長くご愛用いただける商品を作り続けていきたい、提供しつづけていきたい、というのは今後も変わらない心持ちですね」

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執筆は2020年9月7日時点の情報を参照しています。
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