経営者として多くの人脈を築くと、それだけお世話になった人や知人の葬儀に出席する機会が増えてきます。
葬儀に出席するとき、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。今回は、心得ておきたい葬儀マナーについて紹介します。
「社葬」への出席
経営者は、会社の代表として他社の経営者と仕事をしたり、交流したりする機会も多いでしょう。そのため、経営者は、「社葬」に出席することが多くなります。
社葬とは、会社の経営者や役員など「会社に対し功績のある人」が亡くなったときに、会社側が施主となって執り行う葬儀のことです。遺族が行う葬儀とは別に、取引先や生前に仕事を介して縁のあった人などを招いて行われます。遺族が行うの葬儀と比較して、会社のセレモニーとしての性質が強くなるのが社葬だといわれています。会社のトップである経営者は、自然と会社の代表として他社の役員や交流のあった経営者の社葬に出席する機会が多くなります。
社葬は、遺族が行う葬儀とは異なります。葬儀費用を拠出するのは基本的に会社側です。参列者も私生活の知人よりも仕事上の知人が多くなります。会社としての式典であると同時に、イメージアップなど広報としての側面もあります。
「死を悼む個人」や「故人を見送る個人」としての立場だけでなく、社葬という儀式の意味合いに合わせて「会社の顔」「組織の代表」「故人の経営していた会社と縁のある経営者」としての立場の方が意味合い的に強くなります。経営者という会社を率いる立場を意識した、態度とマナーで臨む必要があります。
社葬のタイプに合わせる
社葬には主に3つのタイプがあります。社葬がどのタイプかによって、参列者が異なります。
社葬には主に「一般的な社葬」「合同葬」「お別れ会」の3つがあります。近年は会社や経営者のスタイルに合わせて、柔軟にカスタマイズされているようです。
社葬のタイプによっては遺族や一般人が参列することも
一般的な社葬は会社が主催し、葬儀費用を負担します。遺族による密葬とは別に、本葬として社葬を行います。参列者への通知や当日の進行も会社の担当部署が中心になります。この他に、合同葬とお別れ会タイプの社葬があります。
合同葬とは、遺族と会社が合同で行う葬儀のことです。費用は遺族と会社の両方が負担します。個人の葬儀のように火葬まで行われることもあります。いくつかの会社を経営していた経営者の場合、2社ないしは数社が合同で社葬を行う場合もあります。この場合も合同葬と呼ばれます。
遺族と会社が共に執り行う合同葬では、取引先や事業関係者だけでなく、故人の私的な知人や親族も参列するケースが多いです。そのため、話題や挨拶も、会社や経営者を意識したものだけでなく、参列者に合わせて柔軟に行うことが必要になります。「遺族もいる」「一般の参列者もいる」ことを想定しておきましょう。
お別れ会は、宗教的な儀式というよりも故人を偲ぶ場としての性質がより強くなります。場所も葬儀会場だけでなく、ホテルやレストランが使われることもあります。合同葬と同様に、故人の経営者としての知人だけでなく、個人的な知り合いも参列する可能性があります。
訃報を受けたら
訃報を受けたら、すぐに会社としての対応を決定します。検討事項には、次のようなものが挙げられます。
・社の代表として誰が出席するか
・出席できない場合の弔電の準備
・香典の額
・供花や供物の対応確認
・その他(当日の受付や雑務手伝いの申し出など)
「服装・挨拶・供物」のマナー
社葬の場合、基本的に服装は「平服」と案内されることが多いようです。喪服やカジュアルな服装ではなく、黒やダークグレー、濃紺などを基調とした暗めの色合いの服装や靴、鞄などが望ましいです。きらびやかな時計やアクセサリー類は控えるようにしましょう。また、会場内ではコートなどの防寒具を身につけることも避けます。
迷ったら、社葬を扱う葬儀会社や社葬に出席した経験のある人に相談するといいでしょう。
また、弔辞を依頼されたら、特段の事情がない限り断らないことがマナーとされています。なるべく簡潔に、故人とのエピソードを含めて数分で終わるような内容ににまとめましょう。
社葬においては、供花や供物を辞退するケースが少なくありません。先方に供花や供物を持参、または送る場合は、事前確認しておく方が安心です。供花や供物を辞退していない場合は、花や供物を扱うお店にどんなものを送ったらいいかを相談し、葬儀の日時に合わせて依頼します。
社葬特有のマナーとして、当日は名刺を必ず持参します。受付で名刺を差し出すときは、そのまま差し出すのではなく、名刺の右肩に弔という字を書く、もしくは左下を内側に折り曲げるのがマナーです。
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葬儀のマナーは、仏式や神式、キリスト教式など宗教によって、異なります。
服装や挨拶などのマナーで迷ったら、社葬への出席経験のある知り合いや、葬儀の専門家である葬儀会社へ相談することもひとつの方法です。
また、個人の葬儀が地域によって風習やマナーに差異が見られるように、社葬にも地域の風習やマナーが関係してくることがあります。社葬が行われる地域や経営者の出身地、会社のある地域の葬儀マナーを確認しておくことも必要です。葬儀会社や社葬へ出席した経験のある人にアドバイスを求めるときは、地域的な風習やマナーがあるかどうかも確認しておきましょう。
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執筆は2018年6月25日時点の情報を参照しています。
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