公開日:2022/08/09
更新日:2023/01/16

流動比率とは、流動資産を流動負債で割ったものです。貸借対照表の流動資産と流動負債の比率から、短期間の支払い能力と企業財務の安全性を判断するための指標です。会社の規模や業種によって異なりますが、一般的に国内では流動比率が150%以上であれば、短期的な資金繰りには困らないと考えられ、100%を下回っていると支払い能力に不安があると考えられます。

流動比率の計算方法

流動比率の計算方法は、「流動資産 ÷ 流動負債 × 100(単位%)」です。たとえば、流動資産が300,000円、流動負債が150,000円である場合には「300,000 ÷ 150,000 × 100 = 200%」となります。この数字が100%を超えているときは、1年以内に支払わなければならない負債を、1年以内に現金化できる財産でまかなえる状態であることを表しています。流動負債の支払い能力を示す比率ですので、流動比率の数字はより高いことが望ましいです。

流動比率の適正水準

中小企業の流動比率の適正水準(目安)は下記の通りです。

150%以上

流動比率が150%以上であれば優良水準です。

120~149%

流動比率が120~149%の範囲であれば安全水準です。

100~119%

流動比率が100~119%の範囲であれば改善の余地があります。

99%以下

流動比率が99%以下であれば、危険水準とみなされます。一般的に、流動比率が99%以下だと、資金繰りに影響が出始め、会社の心証が悪くなることがあります。たとえば、銀行融資や助成金の交渉などに影響が出る場合があります。

流動比率は会社の支払能力を示す経営指標の一つですが、流動資産の中には棚卸在庫など、換金性の低い資産が含まれているので、支払能力の安全性を十分に示せない一面があることも事実です。

当座比率と固定比率との違い

企業の安全性を見るための指標には、流動比率の他にも当座比率や固定比率という指標があります。

当座比率

当座比率は流動負債に対して当座資産をどのぐらい保有しているかを示す数値です。貸借対照表の流動資産から棚卸資産を除いた当座資産を、流動負債で割って求めます。当座資産を分子、流動負債を分母とする分数になるため、当座資産を多く保有していると流動比率の値は大きく、流動資産の保有が少ないと値も小さくなります。流動資産と同じように流動負債について返済が必要になった場合の対応能力などが表れるので、数値が大きいほど対応力が高く、逆に数値が小さいと安全性が低いと判断されます。

固定比率

流動比率は短期間の安全性を知る指標ですが、長期的な安全性を判断するための指標として、固定比率があります。株式会社の資金調達手段として考えられるのが、外部から出資をしてもらうことと借金をすることです。借金の場合には返済の必要がありますが、出資の場合には返済する必要がありません。そのため、返済の必要がない出資による資金である自己資本が多いことは、安定性の判断に影響します。

固定比率の計算は「固定資産 ÷ 自己資本 × 100(単位%)」で計算され、100%以下が目安とされています。

【関連サイト】
財務省ウェブサイト|法人企業統計調査からみる日本企業の特徴 - 「当座比率」
財務省ウェブサイト|法人企業統計調査からみる日本企業の特徴 - 「流動比率」

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流動比率によくある質問

流動比率が低いとどうなりますか?

流動比率が100%以下の場合、流動負債に対して返済資金が準備されていない場合があります。短期的な資金調達を確保する、売上債権の回収期間を短くする、債務の返済期間を長くするなどの対策が必要です。取引先の流動比率が低い場合は、相手先企業の倒産などリスクへの対応の必要があります。

流動比率はどのように計算しますか?

流動比率は、流動資産 ÷ 流動負債 × 100(単位%)で求められます。たとえば、流動資産が300,000円、流動負債が150,000円である場合には、300,000 ÷ 150,000 × 100 = 200%となります。流動比率が高いほうが、流動負債を支払える可能性が大きいため、基本的には望ましい状態と言えます。

流動比率の目安はどのくらいですか?

中小企業の流動比率の適正水準(目安)は、150%以上であれば優良水準、120~149%範囲であれば安全水準、100~119%範囲であれば改善の余地があります。 99%以下であれば、危険水準と見なされ、会社の心証が悪くなり、銀行融資や助成金の交渉などに影響が出る場合があります。

流動比率を高める方法は?

流動比率を高めるには、流動資産を増やす方法と流動負債を減らす方法の二つがあります。自社で実現できる方法としては、①流動資産を増やす、②自己資産で資金を調達する、です。
②自分のお金で資金を調達するには、A. 増資する、B. 利益を出して税金を払って内部留保を積み立てる、という二つの方法があります。

流動負債を減らす方法は?

流動負債を減らして固定負債を増やすか、純資産を増やすかの二つの方法があります。具体的には、①短期借入金を長期借入金に借り換えするなどにより、長期資金を手当てするか、②他人のお金ではなく、自分の資産で資金を調達する、の二つです。

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