グループ通算制度とは?連結納税との違い、4つのメリット
グループ通算制度とは?
グループ通算制度の概要|国税庁
グループ通算制度と連結納税の違い
連結納税制度から維持されるもの
⑴ 損益通算による節税
⑵ 研究開発税制・外国税額控除
グループ通算制度では見直されているもの
⑴ 親法人の事務負担が軽減される
⑵ 修正申告・更正申告があっても他のグループ法人に及ばない
グループ通算制度のメリットとデメリット
メリット
⑵ 修正・更正申告は他のグループ法人に影響しない
⑶ 損益通算による納税額の減少
⑷ 個別申告を行ってきた企業グループも検討の余地がある
デメリット
⑵ グループ内すべての法人に電子申告が義務化される
⑶ 中小法人・中小企業の特例措置を受けられない可能性がある
⑷ 決算のスケジュール調整が必要・親法人の管理業務が増える
グループ通算制度では、法人税申告に「連帯納付責任」が課せられます。企業グループの中に法人税納付ができない企業があれば、連帯納付責任としてグループ内の他の法人が代わりに納付する必要があります。
個別申告となったグループ通算制度ですが、書面による申告が認められなくなりました。グループ内すべての法人に対して電子申告が義務化されたため、電子申告を行うための環境整備が必須となります。
従来の制度では、親法人の資本金額によって「中小法人」の判定が行われていましたが、グループ通算制度では、一社でも資本金額や出資金額が一億円を超える場合、すべてのグループ内企業が中小法人には該当しなくなります。対象外となった場合は「貸倒引当金」や「軽減税率」など、中小企業向けの特例措置の適用が受けられません。
グループ通算制度では、グループ内すべての法人がそれぞれ法人税の申告・納税を行います。しかし、損益通算や欠損金通算のために全体のスケジュール調整が必要です。さらに親法人は決算スケジュールを作成したり、子法人の進捗管理を行ったりという管理業務や教育などの手間が増えることになります。
グループ通算制度における時価評価と投資簿価修正
グループ通算制度における時価評価
グループ通算制度では、子法人だけでなく親法人も原則は時価評価の対象法人となりますが、次の要件を満たす法人は対象外となります。
子法人…親法人と完全支配関係の継続が見込まれる場合
通算グループへの加入時に時価評価対象外となる法人の要件は以下のとおりです。(連結納税制度より対象法人は縮小)
・適格株式交換等により加入した株式交換等完全子法人
・完全支配関係の発生直前で支配関係がある法人のうち、以下すべてに該当する法人
① 通算親法人との完全支配関係の継続要件
② 加入法人のおおむね80%以上の従業者継続要件
③ 加入法人の主要事業継続要件
① 通算親法人との完全支配関係の継続要件
② 加入法人のおおむね80%以上の従業者継続要件
③ 加入法人の主要事業継続要件
④ 子法人事業と親法人事業の関連性要件
⑤ 上記④事業規模がおおむね5倍以内か子法人の事業を行う特定役員継続要件
通算グループから離脱した場合は、下記で示した一定の要件を満たすことで時価評価の対象法人となります。
・離脱法人の株式を有する他通算法人において離脱後に譲渡等による損失計上が見込まれている場合
【グループ通算/第7回】グループ通算制度の個別項目(時価評価) | ナレッジ | 朝日税理士法人
グループ通算制度の重要ポイント(第2回)グループ通算制度開始・加入の取扱い|出版物(会計情報)|デロイト トーマツ グループ|Deloitte
グループ通算制度に関するQ&A(令和2年6月)(令和2年8月、令和3年6月改訂、令和4年7月改訂)|国税庁
グループ通算制度における投資簿価修正
⑴ 改正の背景
⑵ 税制改正の内容
グループ通算制度における通算税効果額の仕訳と計算方法
会計上の取り扱い
会計処理では、申告税額(未払法人税等)と通算税効果額(未払金・未収入金)は区分して計算する必要があります。
通算効果額の計算方法
第1回 通算親法人の通算税効果額の会計仕訳 | TKC WEBコラム | 上場企業の皆様へ | TKCグループ
【グループ通算/第12回】通算税効果額 | ナレッジ | 朝日税理士法人
通算税効果額等の申告書別表への記載について |国税庁
通算税効果額の計算方法|国税庁
グループ通算制度における法人税、地方法人税および税効果会計に関する開示と注記の取り扱い
⑴ 法人税及び地方法人税の会計処理及び開示
⑵ 税効果会計の取扱い
実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」の公表
グループ通算制度における中間納付の概要と留意点
前期実績に基づく予定申告
仮決算に基づく中間申告
留意点
グループ通算制度における決算時の繰越欠損金の取扱い
控除限度額の計算
中小法人や新設法人の特例
グループ通算制度における繰越欠損金の実務 ~税効果会計の処理を含む~ | 情報センサー2022年5月号 押さえておきたい会計・税務・法律 | EY Japan
グループ通算制度における地方税の取扱い
グループ通算制度の重要ポイント(第1回)損益通算しながら単体申告|出版物(会計情報)|デロイト トーマツ グループ|Deloitte
グループ通算制度に関するよくある質問
グループ通算制度とは、完全支配関係にある企業グループ内の各企業がそれぞれ個別に法人税額を計算し、申告・納税を行う新たな制度です。令和2年度税制改正により、従来の「連結納税制度」の損益通算の仕組みを維持しながら、計算や申告の手続きを簡素化することを目的に「グループ通算制度」が導入されました。
グループ通算制度を適用するための主要な条件は以下の通りです。
⑴適用対象法人
・内国法人(日本国内に本店または主たる事務所を持つ法人)や、その内国法人と完全支配関係にある他の内国法人が対象です。
・完全支配関係とは、一の者(通常親会社)が法人の発行済み株式を直接・間接を問わず100%保有する関係を指します。⑵親法人の条件
・普通法人や協同組合などに限られます。
・以下に該当する法人は除外されます。
➀清算中の法人
➁他の会社の子法人
③通算承認の取りやめから5年以内の法人
➃青色申告の取消通知を受けてから5年以内の法人
➄青色申告の取りやめ届を提出してから1年以内の法人
⑥投資法人、特定目的会社⑶子法人の条件
上記親法人除外条件のうち、③〜⑦までに該当する法人は子法人として認められません。⑷事前申告の必要性
グループ通算制度を適用するには事前申告が必要です。親法人・子法人のすべての連名で親法人の所管の税務署へ提出し、国税庁長官の承認またはみなし承認を受ける必要があります。上記⑴から⑷の条件を満たす法人は、グループ通算制度を適用することができます。
詳しくは国税庁「グループ通算制度の概要」をご確認ください。グループ通算制度では、法人税申告後にグループ内法人に生じた修正・更正内容が他社に及ばない「遮断方式」が採用されます。
”グループ通算制度においては、通算グループ内の他の通算法人の期限内申告におけるグループ調整計算の基礎となる数値の計算に誤りがあった場合には、その数値は当初申告額に固定され、誤りがあった法人についてのみ修正申告又は更正の請求の対象になります(遮断措置)。ただし、一定の要件を満たす場合には、この遮断措置を適用しないこととされています(全体再計算)。
➩ 全体再計算については、グループ調整計算に係る各規定に共通した要件(法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合の全体再計算)のほか、各規定の目的に応じた制度固有の要件が定められています。”
引用:国税庁:1 Ⅲ 遮断措置・全体再計算の判定フロー 詳しくは引用元の国税庁の資料をご確認ください。