支払いもおもてなし。ホテルや旅館にもクレジットカード決済を導入しましょう。

ここ数年「インバウンド」という言葉がいろいろなメディアで頻繁に聞かれるようになりました。また、東京や京都といったメジャーな観光地を含め、日本国内のさまざまな観光地で外国人観光客の姿を見かけるようになったのではないでしょうか。 

ここでは外国人観光客の消費実態と、宿泊施設の集客に有効な手段をご紹介いたします。

外国人観光客の消費の実態とは?

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国土交通省観光庁が各地の空港や港で出国する外国人に対して行った訪日外国人消費動向調査によると、平成28年(2016年)の訪日外国人全体の旅行消費額は3兆7,476億円と推計され、前年 (3兆4,771億円)に比べて7.8%増加しています。国籍・地域別では、中国が1兆4,754億円と飛び抜けており、全体の39.4%を占めています。続いて台湾、韓国、香港、米国の順となっています。中国を含めたこれら上位5カ国が全体の76.5%を占めています。

費目別に旅行消費額をみると、買物代の38.1%が最大を占めているものの、前年の41.8%に比べ減少しており、 一方で宿泊料金、飲食費及び交通費は前年に比べて増加しています。訪日外国人一人当たりの旅行支出を費目別にみると、買物代が5万9千円と最も高く、宿泊料金の4万2千円、飲食費の3万2千円が続きます。 宿泊料金は、オーストラリア、スペイン、英国、ドイツ、イタリアなどの欧米豪の国々が上位を占めています。買物代は中国の12万3千円が最も高いです。

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ショッピングにかける金額が前年に比べて減っているものの、宿泊や交通などにかける金額が上がっていることは、日本に来る外国人観光客の目的が買い物よりも滞在体験に変わりつつあるからかもしれません。また、オーストラリアやヨーロッパでは日本に比べて数週間から1カ月を超える長期間の休暇を過ごす習慣があるため、滞在が長くなり、その分宿泊料金が上がることが推測されます。

外国人観光客はどこに泊まっている?

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国土交通省観光庁が行っている宿泊旅行統計調査によれば、平成28年の延べ宿泊者数は4億9,418万人泊でした。そのうち、日本人の延べ宿泊者数は4億2,330万人泊で熊本地震や台風の影響もあってか前年に比べて3.5%減っています。

一方、外国人の延べ宿泊者数は7,088万人泊で前年に比べて8%伸びており、平成19年に調査を開始して以来最高値を記録しています。客室稼働率は全体で60%ですが、シティホテルが78.7%、ビジネスホテルが74.4%と稼働率が高い一方で、旅館は37.9%と他の宿泊施設より稼働率が低いです。

三大都市圏と地方部(※)で外国人延べ宿泊者数を前年と比較すると、三大都市圏で+4.8%、地方部で+13.2%と、地方部の方が伸びていることが分かります。

(※)三大都市圏とは東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫を指します。また、地方部は三大都市圏以外の道県です。

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外国人観光客にはゴールデンルートと呼ばれる、大阪・京都・富士山・ディズニーランド・東京などのメジャーな観光スポットを含むルートが人気だといわれています。三大都市圏にはこれらのスポットが含まれているので、おのずと宿泊利用は増えますが、一方で地方部の伸び率も注目すべきポイントです。たとえば、岡山県は63.2%、香川県は69.5%と前年に比べて宿泊者数が伸びています。これらの伸び率の高い地方部は、外国語による観光情報の充足や免税カウンターの増設などのさまざまな対策を行うことによって、近隣の都市圏を訪れる外国人観光客を呼び込むことに成功しているようです。

支払手段を増やすのもおもてなし

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上記の統計からは外国人観光客が買い物よりも宿泊や飲食、交通にお金を使うようになっていることや、都市圏から地方に足を伸ばしつつあることが分かります。これは地方にある旅館やホテルにとってビジネスチャンスになるのではないでしょうか。一方で気になるのはシティホテルやビジネスホテルよりも旅館の客室稼働率が低いことです。

旅館は温泉や食事、和室空間や温泉街の町並み、女将や番頭とのコミュニケーションを含めて日本文化をトータルに体験できる場所です。外国人観光客を呼び込まない手はありません。

外国語での予約対応や館内案内はもちろんのこと、支払手段を増やすこともおもてなしの一つです。レストランやアクティビティの選択肢の多い都市圏とは異なり、地方の旅館を利用する場合、宿泊料金だけでなく食事やお土産の購入、近隣の観光といったアクティビティも旅館ですませる場合が考えられます。したがってチェックアウト時に支払う金額もまとまった金額になることが予想できます。

これらの金額を現金で支払うことは外国人観光客にとってはあまり現実的な選択肢ではありません。特に、統計上、高額の宿泊料金を払っているヨーロッパやオーストラリアではクレジットカードの利用が浸透しており、これらの国から来た観光客にとってクレジットカードという選択肢がないことはとても不親切に感じるかもしれません。

また、クレジットカードによっては海外旅行、国内旅行でトラブルが起きた際にカードに付帯している保険を利用するためには、旅行代金をクレジットカードで支払うことを条件としています。クレジットカードの利用は外国人観光客だけでなく、国内の旅行者にとってもおもてなしになるかもしれません。

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参考:集客チャンスを絶対に逃さないインバウンド対応

執筆は2017年4月19日時点の情報を参照しています。2019年4月5日、2020年7月1日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、スクエアは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash