下北沢駅東口からほど近いビルの3階にある、バー/ラウンジのmou(ムー)。こじんまりとした店内には、DJの機材や珍しいクラフトビールが入った冷蔵庫がコンパクトに配置され、壁にはパンチの効いたアートが飾られている。個性的だけど、絶妙な統一感があるスペースだ。この空間のオーナーであるDJのmoriuraさんに話を伺った。
「mouはクラフトビールや自然派ワイン、そして音楽が気軽に楽しめるラウンジのような立ち位置です。僕自身がDJカルチャーで育ったことから音楽の機材やスピーカーと、個人的に好きなクラフトビールや自然派ワインが両立している場所にしました」
「このスペースを形容する言葉として、わかりやすく掲げているのが『drink and food』のダジャレで、『drink and mood』です。ここでは音楽も楽しめますが、それよりもムード(状態)を大事にしています」
moriuraさんが、何よりも「ムード」を大切にする理由は。
「ビールやワイン、音楽、カルチャーなど、mouに来てくださる人はそれぞれ目当てが違いますが、お酒の飲み方や音楽の聞き方について話し合いながら、お互いに気持ちのいい距離感を探ってほしいと思います。そうするうえで、お店のムードは一躍を担っているように感じていて。その思いから音楽やお酒をあえて主体にせず、『あそこに行けば何かが見つかる』という期待に打ち返せる状態(=ムード)を用意しておけるよう心がけています」
mouが大事にするムードを作るうえで、空間づくりには力を入れたそう。
「もともとお風呂があったり、キッチンがなかったりしたので、ほぼDIYで作り替えました。基本設計は、mouの下にあるヴィンテージショップ『The Sun Goes Down』のオーナー海野くんと僕のその場のアイデアから生まれました。ミキサーにはイギリスのロータリーミキサーを選んだり、僕が長年DJをしていた青山のトンネルで使われていたハンドメイドの特注品を組み替えて、鳴るように配置したり……環境づくりにはこだわりました」
ムードが人をつなぐmouには、どのような人が集うのだろう。
「いろんな人がいろんな人を連れてきてくれますが、DJ周りの友達が多いこともあって、アーティストやミュージシャンのお客様がよく来ます。そこから派生してワインが好きな人が来てくれたり。なかにはツイッターやインスタを見て、来てくださる方もいれば、海外のお客様もいます。この店が持つ感度に共感してくれる人が多いのかなと、思っています。勘違いかもしれませんが(笑)」
moriuraさんがお店を通して提供したいものとは。
「この店にはたくさんのフックを用意しているので、目的とは違う何かを持って帰ってもらえたらうれしいです。たとえばもともとワインを飲まない人がワインを飲んでくれるようになったり。実際にそういう人もいるので、うれしいです」
今後挑戦したいことを尋ねてみると…。
「直近では、イベントの録音のアーカイブが聴けて、他では手に入らないアイテムが買えるmouのウェブサイトを立ち上げようと思っています。先の話をするのであれば、国内外問わず、自然派ワインが好きなアーティストやクリエイターと生産者の方の間に立って何かグッズや、ワイン自体を作るのに関われたらおもしろいなと思っています」
「オープン時はバタバタで、クレジットカードのことを完全に忘れていたんです。Squareは審査が早いこともあって、すぐに決めましたね。気軽なデザインも気に入りましたし、端末も届いたらすぐに使えたので助かりました。今後屋外イベントに出店する機会があると想定したときに、持ち運びが楽、かつレジいらずという点も魅力でした」
「酔っ払っているときに現金を数えるのって面倒じゃないですか。mouは幸いコンビニが近くにありますが、ATMの手数料をお客様に払わせるのも申し訳ないですし。クレジットカードが使えればその分もう1、2杯お話ができますよね。それと基本的にクレジットカード払いが多い海外のお客様がいらしたときでも、差し込むだけで決済ができるので、コミュニケーションも楽になりますね。画面上から送れるレシート機能も活用しています」
夜遊びスポットにタクシーですぐに行ける下北沢。だからこそ夜の出発点として立ち寄るのも、終着点として流れ着くのも大歓迎だそう。
「ここは朝の2時まで営業しているので、ご飯のおいしいところでワインやビールをたしなんでから『もう少し飲みたい』と思う人と、『ここからまた飲みに行きたい』という人の交差点になってくれたらいいなと思っています」
drink & mood mou
19:00-26:00 / 定休日(火)
東京都世田谷区北沢2-32-7 3A
twitter.com/mou_shimokita