もしもの時のために知っておきたい倒産法と倒産処理手続き

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経営者として自社や取引先の倒産は想像したくない事態ですが、万が一に備えて倒産や倒産に関連する一連の法律について知っておくことも大切です。

今回は倒産とは何かから始め、倒産法とよばれる破産法、民事再生法、会社更生法といった法律、倒産法に基づいてどのような倒産処理手続きが行われるのか、もしもの倒産に備えてなにができるのかについて説明します。

倒産とは

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事業を営んでいる人の中には、倒産と聞いて漠然と怖いもの、できれば避けたいものというイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。

メディアや普段の会話の中で見聞きする「倒産」という単語は法律用語ではなく、明確な定義があるものでもありません。株式会社東京商工リサーチによると、この言葉は同社が1952年から集計を始めた「全国倒産動向」により知られるようになったそうです。

参考:倒産とは(株式会社東京商工リサーチ)

中小企業庁は東京商工リサーチの調査結果を基に毎月の倒産件数や負債金額をまとめ、「倒産の状況」として公開しています。

参考:倒産の状況(中小企業庁)

2016年から2018年の3年間で倒産件数は毎年減少していますが、8,000件を超える企業が毎年倒産し、そのほとんどが中小企業です。日本国内に存在する中小企業は約380万社ですから、割合としては多いものではありません。ただ、自社だけではなく取引先が倒産する場合もあるので、倒産は他人事ではないといえます。自社の倒産、もしくは取引先の倒産に直面したときに、冷静な判断ができるように、倒産とはどのような状況で、どのような法律に基づいて処理手続が行われるか知っておくにこしたことはありません。

あらためて「倒産」とはとはどのような状況なのでしょうか。具体的には企業の経営が経済的に行き詰まってしまい、債務を弁済できなくなってしまった状態ととらえることができます。このような状態を処理するための法律が「倒産法」です。

続いて倒産法とはどのようなものなのか説明します。

倒産法とは

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倒産法という単語を使いましたが、「倒産法」という名前の法律は存在しません。倒産法とは、倒産処理を扱う法律の総称で、破産法、会社法、民事再生法、会社更生法などの法律を指します。

倒産法は、倒産した企業を処理するためのものですが、もう一つ忘れてはいけない大事な視点があります。企業には、取引や労働の対価としての請求権である債権を持っている取引先企業や個人、労働者が存在します。倒産法はこれら債権者を保護し、債権者を平等に扱うための法律でもあります。倒産法について知っておくことで、倒産に際して最善の選択をし、自社と密接に関連する取引先、事業を営む上で欠かせない従業員など、事業に関連する人や組織の権利を守ることにもつながります。

倒産というと、一巻の終わりで事業を畳まなければいけないというイメージを持っている人もいるかもしれません。実際は必ずしも法人を解散したり、事業を畳んだりする必要はありません。事業を継続して、長期的な視点で債務を弁済し、経営再建が可能な場合もあります。

続いて、各種倒産法が扱う倒産処理手続きにはどのようなものがあるのか具体的に説明します。

倒産処理手続き

倒産処理手続きには大きく分けて、裁判所を介した法的な手続きをとらず企業と債権者が交渉する任意整理と、法的な手続きをとる清算型と再建型の法的整理があります。ここでは、倒産法の各法律が扱う清算型と再建型の倒産処理手続についてそれぞれ説明します。

清算型

倒産した企業の財産をすべて返済にあて、債権者に弁済する方法です。清算型の場合、法人は解散となります。

清算型の手続きには破産法に基づく破産、会社法に基づく特別清算の2種類の手続がありますが、後者は株式会社のための手続きで、適用される状況は限られています。中小企業の場合は、前者の破産法に基づく破産手続きがとられることが多いです。

破産法に基づく破産手続きでは、裁判所に選任された破産管財人によって手続きが進められます。破産管財人は倒産企業の財産を換価し、債権者に分配します。一連の手続の終了ののち、倒産企業の法人格が消滅します。

再建型

再建型の倒産処理では、企業の事業を存続して、債務を減らしながら経営を立て直すことを目指します。再建型の倒産処理に関わる法律として、会社更生法と民事再生法があります。この二つは対象が異なり、会社更生法は株式会社だけを対象としています。会社更生法の手続きは複雑で、従来規模の大きな株式会社が対象でしたが、2003年の法改正で大幅に緩和されています。

株式会社以外の法人や個人の場合、民事再生法のもとでの再建を検討することになります。民事再生法の手続きでは、裁判所に申し立てを行い、必要に応じて監督委員による監督のもと、再生手続きを進めていくことになります。

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倒産に備えてできること

冒頭で紹介した中小企業庁によるまとめ「倒産の状況」には、原因別の倒産状況も記されています。倒産の原因としては、「販売不振」に続いて「既往のしわよせ」が多くなっています。日々事業を営む中で、少しずつ歯車が狂い、それを放置してしまうといつの間にか資金繰りが苦しくなって、気づいたら倒産を免れることができないほど経営が悪化していたという状況が想像できます。何かおかしいと思うことがあったら、小さなことでも法律や会計の専門家に相談してみましょう。早期に倒産の兆しに気づいた場合は、大事に育ててきた事業をたたむことなく、再建型の倒産処理手続きで事業を継続できる可能性があります。

また、倒産の原因として連鎖倒産も見逃してはいけません。連鎖倒産とは取引先の倒産から倒産に至る事態です。自社の事業は好調でも、取引先の倒産により売掛け金が回収できない、商品が納入されないといった事態が起こると、自社の倒産につながる場合もあります。取引先のリスクが大きい、連鎖倒産が心配という人は中小機構が提供する経営セーフティーネットなどを利用してもよいかもしれません。取引先の突然の倒産に際して無担保・無保証で掛金の10倍(最大8,000万円)まで借り入れができる制度です。

参考:経営セーフティ共済 制度の概要(中小機構)

いざ倒産となると、事業の行く末、債務者への対処、経営者自身の身の振り方などさまざまな心配事がつのり、冷静な判断が難しくなりがちです。もし倒産となった時にどのような手続きをとり得るのか知っておくことは重要です。取引先の倒産にあたっても、どのような手続きがとられる可能性があるのか知っておくことで、ただ悪い想像をするのではなく、自社への具体的なリスクを知る助けとなるでしょう。

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執筆は2019年 2月4日時点の情報を参照しています。
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